UPDATE 2025.09.17
POST 2025.09.17
FX取引において、トレンドの転換点や売買タイミングを見極める上で重要なのが、「デッドクロス」と「ゴールデンクロス」シグナルです。これらは移動平均線を用いた代表的なテクニカル指標で、売りサイン・買いサインとして多くのトレーダーに活用されています。
この記事では、デッドクロスの意味やもう一つの売買シグナルであるゴールデンクロスとの違い、実際のチャートでの指標の見方や具体的な戦略の概要などについて、初心者にもわかりやすく解説していきます。この機会にデッドクロスを利用したFX取引について理解しておきましょう。
デッドクロス(Dead Cross)とは、チャート上の短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜ける現象のことを指します。これは、価格が下落傾向に転じたサイン(=売りシグナル)として、テクニカル分析で頻繁に使われるパターンです。
典型的なデッドクロスの構造として、短期移動平均線(例:5日線や25日線)が長期移動平均線(例:50日線や75日線)を上から下に突き抜けることが売りのサインとなります。
このサインが発生すると、相場全体が下落トレンドに入る可能性が高まると判断され、多くのトレーダーが売りエントリーを検討します。
短期線が中期移動平均線(例:20日線)を下抜けるケースも「ミニデッドクロス」と呼ばれ、より短期的な下落シグナルとして注目されます。
また、デッドクロスは移動平均線だけでなく、「MACD(移動平均収束拡散手法)」や「ストキャスティクス」などの他のインジケーターでも使われる概念です。これらの活用法については後ほど詳しく解説します。
移動平均線を使った売買判断のシグナルには、「デッドクロス」に加えて「ゴールデンクロス」もあります。それぞれの違いを確認しておきましょう。
デッドクロスは「売りサイン」として有名です。
短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けることで、
と判断されます。
特に両方の移動平均線がともに下落している状態であれば、強い売りトレンドの発生中と考えられます。
反対に、ゴールデンクロスは「買いサイン」とされます。
こちらは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜ける形となり、
として活用されます。
特に両方移動平均線がともに上昇している状態であれば、強い上昇トレンドの継続と判断されることもあります。
シグナル名 | 内容 | トレンド | ポジション例 |
---|---|---|---|
デッドクロス | 短期線が長期線を上から下に突き抜ける | 下落トレンドの可能性 | 売りを検討 |
ゴールデンクロス | 短期線が長期線を下から上に突き抜ける | 上昇トレンドの可能性 | 買いを検討 |
両者の仕組みを理解することで、チャートを使った売買タイミングの見極めがしやすくなります。
クロスオーバー(Crossover)とは、2本以上のテクニカルラインが交差することで売買判断を行う分析手法の総称です。
例えば、
と呼ばれます。
このように、移動平均線の交差からトレンド転換を判断する戦略を「クロスオーバー戦略」と呼び、トレンドフォロー型のトレーダーに多く用いられています。
デッドクロスやゴールデンクロスを正しく理解するには、その基礎となるテクニカル指標の仕組みを知っておくことが重要です。ここでは、特に関係の深い3つの代表的なインジケーターを解説します。
移動平均線は、FXのテクニカル分析で最もよく使われるインジケーターのひとつで、一定期間の終値の平均をつないで作成されるラインです。
移動平均線を使うことで、次のようなことが視覚的にわかります:
主な移動平均線の種類
種類 | 特徴 |
---|---|
SMA(単純移動平均線) | 最も基本的。過去の終値を単純平均して描画。滑らかで見やすい。 |
EMA(指数平滑移動平均線) | 直近の価格により大きな比重を置く。反応が早く短期トレード向き。 |
WMA(加重移動平均線) | 各価格に重みをつけて平均化。EMAと似ているがやや複雑。 |
移動平均線の交差ポイント(クロス)が、デッドクロスやゴールデンクロスを生み出します。
MACD(マックディー Moving Average Convergence Divergence)は、移動平均線をベースにしたインジケーターで、トレンドの転換点や売買シグナルを視覚化するのに役立ちます。米国の投資アナリスト、ジェラルド・アペル氏によって開発されました。
この2本のラインのクロス(交差)が、デッドクロス・ゴールデンクロスに相当する売買シグナルを生み出します。
ストキャスティクス(Stochastics)は、価格の位置が過去一定期間の高値・安値のレンジ内で、どのあたりにあるかを数値化したオシレーター系インジケーターです。
ストキャスティクスにも「デッドクロス/ゴールデンクロス」の概念があり、2本のラインの交差が売買判断材料となります。
MACDは、それ単体でもトレンド転換を見極めるのに有効ですが、デッドクロス・ゴールデンクロスの概念を理解していると、より信頼性の高い売買判断が可能になります。具体的な事例を見ていきましょう。
MACDにおけるデッドクロスとは、MACDラインがシグナルラインを上から下へ突き抜ける現象を指します。この現象が発生すると、相場が下落トレンドへ転換するサインとして、多くのトレーダーが「売り」を意識し始めます。
また、2本のラインがクロスする角度が鋭角(急角度)であるほど、
とされ、シグナルの信頼度が高まる傾向があります。
逆に、MACDラインがシグナルラインを下から上に突き抜けることを、ゴールデンクロスと呼びます。このタイミングでは、相場の上昇トレンドが意識され、買いのサインとして活用されます。
ゴールデンクロスの場合も、クロスの角度が急であればあるほど、
が裏付けられるとされ、積極的な買いエントリーが検討されやすくなります。
デッドクロスやゴールデンクロスは、移動平均線だけでなくMACDやストキャスティクスなど、他のインジケーターでも同様に発生する重要なシグナルです。
これらを複合的に使いこなすことで、より精度の高いエントリーポイントや損切り判断が可能になります。
実際のチャートでは、ゴールデンクロスが発生した箇所から上昇トレンドが始まり、デッドクロスの発生後には下降トレンドへ転じるケースが多く見られます。
このように、移動平均線のクロスは、売買のタイミングを示す重要なシグナルとして、多くのトレーダーが参考にしています。
シグナルを確認したあとは、トレンドの方向や勢いをチャート全体から把握することが重要です。
デッドクロスとゴールデンクロスは、非常に有効なテクニカル指標ですが、注意すべき点もあります。以下のポイントを理解し、より精度の高いトレードを目指しましょう。
クロスが発生しても相場が思った通りに動かないケース(=ダマシ)もあります。
例えば、デッドクロスが出たのにその後に反発して上昇したり、ゴールデンクロスが出たのに価格が停滞するなど、シグナルが機能しない局面も存在します。
対策
・MACDやRSIなどの他の指標と併用し、複数の根拠から判断する
・トレンドの勢いや出来高、サポート・レジスタンスも確認する
価格が一定の範囲内で上下するレンジ相場では、短期と長期の移動平均線が何度も交差します。このような環境下では、デッドクロス・ゴールデンクロスが頻発するため、信頼性が低下します。
対策
・クロスの発生回数が多い=レンジ相場の可能性
・トレンドが明確になるまで無理なエントリーは控える
デッドクロス・ゴールデンクロスは、過去の価格データをもとに描かれる「遅行指標」です。そのため、クロスが発生した時点で、すでにトレンドが始まっていた、あるいは終わりかけていることもあります。
対策
・ローソク足のパターンや出来高の変化、リアルタイム性のある情報と組み合わせて判断
・エントリーや利確・損切りタイミングは、総合的な視点で設計する
デッドクロスとゴールデンクロスは、売買シグナルの判断やFXにおけるトレンドの転換点をつかむ上で非常に有効なテクニカル指標です。特に初心者にとっても視覚的に分かりやすく、トレードの入り口として覚えておくべき基本といえます。
ただし、以下のような注意点を押さえておきましょう:
これらのリスクを理解した上で、MACD・ストキャスティクス・ボリンジャーバンドなどの他インジケーターと組み合わせて分析することで、より信頼性の高いトレード判断が可能になります。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人