UPDATE 2025.09.17
POST 2022.04.01
FX初心者の方は、「FXは危険性が高いのでは?」「大きな損失が出たらどうしよう」など、不安を感じることがあるでしょう。しかし、適切なトレード管理と情報収集を行えば、リスクは抑えられます。
本記事では、初心者トレーダーが陥りやすいレバレッジリスクやロスカットリスク、相場環境の変化によって生じる為替変動リスク、金利変動リスク、流動性リスクなどについて分かりやすく解説します。リスクを回避するための考え方や、避けるべき取引例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
金融の分野における「リスク」とは、期待する収益の不確実性(上振れ・下振れの幅)という意味です。FXトレーダーにとってのリスクは、取引の結果が予測どおりにならない可能性を指します。
FXにおける代表的なリスクは、以下の通りです。
それぞれ詳しく解説します
FX取引における為替変動リスクとは、通貨ペアの為替レートが変動することで損をする可能性を指します。FXでは、米ドル/円などの通貨ペアを売買して利益を狙いますが、相場が予想とは逆の方向に動くと損失が発生します。
例えば、米ドル/円を150円で1,000ドル分購入したとしましょう。この時点では、1,000ドルの価値は15万円です。その後、米ドル/円が140円に下がった場合、1,000ドルの価値は14万円となってしまうため、購入時との差額である1万円が損失になります。
このように、為替レートの変動が取引結果に直接影響を与えるのが為替変動リスクです。為替変動リスクは、ポジションが多いほど増加するため、適切な取引量に調整しましょう。
レバレッジリスクとは、自己資金よりも大きな金額で取引できる「レバレッジ」を利用することで、利益だけでなく損失の可能性も拡大するリスクのことです。
例えば、1ドル=150円の時に、150万円の証拠金で25倍のレバレッジをかけて3,750万円分(25万ドル)を購入したとしましょう。その後、相場が1円下がり149円になると、損失額は25万円となります。
レバレッジは資金効率を高める手段として有効ですが、相場が急に動いた場合には損失も大きくなりやすいです。損切りの設定やポジション量の調整を行い、リスクを抑えつつ安定した取引を目指しましょう。
ロスカットリスクとは、証拠金維持率が定められた基準を下回った際に、保有ポジションが強制的に決済されるリスクのことです。
証拠金維持率とは、資産評価額(口座に預け入れている総資産の評価額)が取引必要証拠金(現在の保有しているポジションに対してかかっている証拠金)に対してどの程度余裕があるかを示す割合のことです。FX会社によって基準は異なりますが、50%や100%などに設定されています。
例えば、証拠金維持率が50%に達した時点でロスカットが発動する口座で、米ドル/円の買いポジションを持っていたとしましょう。相場が急落して証拠金維持率が50%を下回った場合、その時点でポジションは強制的に決済されます。
ロスカットは損失を拡大させないための仕組みですが、強制決済が発動することで思わぬ損失が確定したり、利益を得る機会を失ったりする可能性があります。証拠金の余裕を持たせたり、取引量を調整したりすることで、ロスカットリスクを減らしましょう。
金利変動リスクとは、各国の金利が変動することによって発生する損失のリスクです。
FX取引では、スワップポイント(異なる通貨間の金利の差額)が利益または損失として発生します。スワップポイントは、保有している通貨ペアの金利差に基づいて決まり、通貨ペアのどちらを買うかによって受け取る場合と支払う場合があるのが特徴です。
例えば、高金利通貨を買い、低金利通貨を売るポジションを保有していると、プラスのスワップポイントを受け取れます。しかし、市場金利が変動して金利差が縮小した場合、受け取るスワップポイントが減少したり、逆に支払う側に転じたりすることもあります。
特にスワップポイントは、ポジションの保有期間が長くなるほど影響が大きくなるため、長期保有を前提とする取引では、金利変動リスクに注意が必要です。金利政策や地政学的リスクなどにも目を向け、定期的に金利差の動向を確認するようにしましょう。
FX取引における信用リスクとは、トレーダーが取引しているFX会社や、その会社が依頼しているカバー先の経営状態が悪化した際に発生するリスクのことです。カバー先とは、FX会社が自社の為替変動リスクを抑えるために、顧客の注文と反対方向の取引(ヘッジ取引)を発注する銀行や金融機関のことです。
信用リスクの例としては、トレーダーが利用しているFX会社が経営不振に陥り、預け入れた証拠金の返還が遅れてしまうことや、一部が返還されない可能性が挙げられます。
ただし、日本国内のFX会社では「信託保全」が義務付けられており、顧客資金は分別管理の対象となります。この制度により、万が一FX会社が破綻しても、預け入れた資金は原則として保護される仕組みです。
信用リスクの発生頻度は低いものの、万が一に備えて財務内容が安定している信頼性の高いFX会社を選ぶことが大切です。また、金融庁に登録された正規業者であるかどうかも必ず確認しましょう。
流動性リスクとは、市場の取引量が少なくなることで、売買が困難になったり、希望する価格で取引が成立しにくくなったりするリスクのことです。通常、FX市場は世界中で24時間取引されており、流動性が高くスムーズに取引できますが、市場が急激に動いた際や取引量が少ない時間帯には流動性が低下することがあります。
例えば、経済指標の発表直後や主要国の祝祭日は、取引量が減少しやすくなります。また、過去には、突発的な事件や災害、政情不安が発生し、取引が制限されたこともありました。こうした状況では、取引できたとしても希望価格での約定が難しい状況となり、スプレッド(売買価格の差)が大きく広がる可能性があります。
流動性リスクを回避するためには、国内・海外の経済イベントや取引時間帯を確認することが重要です。特に、流動性が低下しやすい時間帯(週明け早朝、祝祭日など)や市場が大きく動くタイミング(重要な経済指標発表時等)を避けることで、リスクを軽減できます。さらに、取引量の多い主要通貨ペア(例:米ドル/円、ユーロ/米ドルなど)を中心に取引することで、流動性リスクを軽減できます。
FXにおいて重要なことは、むやみに利益を追求するのではなく、リスク(価格変動の幅)を適切にコントロールしながら、収益の安定を図ることです。
大きなリターンを狙えば、その分リスクも高まりますが、リスクゼロで利益を得ることはできません。そこで、ここではリスクをコントロールするための基本的な考え方をご紹介します。
為替相場は常に変動しており、未来の動きを正確に予想することは、どんな投資家や専門家であっても不可能です。
100%の確率で値動きを予測することができない以上、損失が発生する可能性は常に存在します。そのため、ある程度の損失は避けられないものと捉え、損失を受け入れる姿勢を持つことが非常に重要です。
FXでは、損失が発生することを前提に、どれだけその損失を小さく抑えられるかが鍵となります。
実際、FXで100回取引をして、一度も損失を出したことがないトレーダーは、ほぼ存在しないと言っても過言ではありません。安定して利益を出しているトレーダーは、損失があったとしても、それ以上に利益を積み上げている人たちです。
損失をいかに小さく抑え、トータルで利益が残るようにするか。その視点を持つことが、長くFXを続けていくための鍵になります。
ここからは、FXで初心者がやってしまいがちな危険性が高い取引を、理由や具体例を交えながら解説します。FXのリスクの多くは、ポジション調整やトレードルールの構築など、ご自身の行動である程度コントロールできますので、まずは正しい知識として理解しておきましょう。
投資は本来、根拠に基づいて判断すべきものです。例えば、「特定のローソク足パターンが現れたから」「雇用統計が予想を上回ったから」といった、明確な材料に基づいて意思決定を行う必要があります。
確かに、勘で取引してうまくいく場合もありますが、再現性がなく安定した成果にはつながりません。まずは分析手法を学び、根拠に基づいた判断ができるようになることが大切です。
FX取引では、あらかじめルールを定め、それに基づいて感情を排した機械的な取引を行うことが非常に重要です。例えば、以下のようなルールが考えられます。
ルールを持たずに取引を行うと、感情に流された判断をしてしまい、大きな失敗を招く原因になります。自分なりのルールを持ち、それに忠実に従うことが成功の鍵です。
一度に多くのポジションを持つことは、FX初心者がよく陥るミスの一つです。「大きな利益を出したい」「前回の負けを取り返したい」などという気持ちから通貨量を増やしてしまうと、相場が予想と違う方向に動いた際の損益も大きくなります。
例えば、証拠金10万円で1,000通貨ずつ取引していたところ、利益を狙って5,000通貨に増やした場合、1円の値動きによる損益は5倍になります。ポジションが増えることで証拠金維持率(証拠金の余裕度を示す割合)が低下し、最悪の場合、ロスカットが発動して取引を継続できなくなるリスクもあります。
そのため、取引に慣れないうちは、1回の取引ごとのポジションを小さく保ち、慎重に進めましょう。無理なく取引を続けることで、予期しない相場の動きにも落ち着いて対応できるようになります。
「チャンスを逃しているのではないか?」「相場に参加していないとつまらない」などといった理由で、常にポジションを保有しようとするのも、初心者が陥りやすい失敗の一つです。
しかし、これも結局は感情に流されているにすぎません。ポジションを持っている期間は、常にリスクと隣合わせという見方もできます。
常にポジションを持つのではなく、ポジション保有の意思決定は、根拠とルールに基づくものにしましょう。ポジションを持つ根拠が揃った時だけポジションを持ち、条件が揃っていない時にはじっと我慢して相場を見つめることも重要です。
上記はSBI FXトレードで取引可能な通貨ペアの一覧となります。
FXではさまざまな通貨ペアを取引することができますが、あれもこれもと複数の通貨ペアに手を出すことは大きなリスクを伴います。
特に、マイナーな通貨ペアになると、世界的に見た流通量や情報量が少なく、急激な変動を起こす可能性もメジャーな通貨に比べて高くなります。小さなポジションでも、相場が大きく動くと予想外の損失が生じる可能性がある点に注意が必要です。
また、マイナー通貨ペアは、取引量が少ないためスプレッド(売買価格の差)が広がりやすく、思い通りの価格で取引を成立させにくくなる可能性も高くなります。
そのため、初心者の場合は、米ドル/円やユーロ/円など流動性が高く安定したメジャー通貨から始めると安心です。
自分が取引をする通貨ペアをあらかじめ決めて、基本的にはその通貨ペア以外には安易に手を出さないようにしましょう。
適宜に損切りができないというのは、初心者が最も陥りやすいミスの1つです。
「もう少し待っていれば値段が回復するかもしれない」と感情に流され、さらに損失が拡大するのは、FXを始めたばかりの時に誰もが一度は陥る失敗でもあります。
深追いしたことでさらに損失は大きくなり、資金を動かすことができなくなって、「今買えば(売れば)大きな利益が出るのに」というようなビッグチャンスを、指をくわえて見ているしかなくなります。
「損失が〇〇%になったら損切りする」というルールを決めて、事前の注文方法などを覚えておくことで、適切な損切りができるようになりましょう。
長期保有を前提としていないにもかかわらず、ポジションをもったまま放置するのは非常に危険です。ポジションを持っているということは、常にリスクを抱えているという事でもあります。
知らない間に損失が拡大し、強制ロスカットになってしまうかもしれません。また、スワップの支払いが生じる通貨ペアのポジションを持っていると、気付いた時には損失がかさんでいるという事態にもなりかねません。
ポジションを持ったら、資産評価額や証拠金維持率などは、最低でも1日1回は確認するようにしましょう。
FXでは、証拠金維持率が一定以下になったら強制的にポジションを決済し、損失を確定させる「ロスカット」という仕組みがあります。
証拠金以上の損失を生じさせない重要な仕組みですが、ロスカットのラインが「証拠金維持率の何%なのか」ということを把握していない人が少なくありません。
ロスカットの基準はFX会社によって異なります。自分が取引をしているFX会社のルールをあらかじめしっかりと確認し、ロスカットを避けられるよう十分な証拠金を維持しながら取引を行いましょう。
世界各国の市場がオープンするタイミングでは、相場の動きが活発になります。特に、ロンドン市場やニューヨーク市場の開始直後は取引量が増えやすく、相場が大きく動く傾向があります。相場が活発に動く時間は、利益を得られるチャンスである一方、損失が拡大するリスクも高まるため、注意が必要です。
しかし、FX初心者の中にはこの時間を把握していない人も多く見られます。
上記の表に記載した、各市場の活発な時間帯を理解しておくことで、効率的なエントリーやポジション調整が可能になります。まずは基本的な市場の動きや時間帯の特徴を把握し、戦略的に取引を行うようにしましょう。
FXは、あくまでも生活費や緊急資金などを除いた余裕資金で取引を行うことが基本です。しかし、FX初心者は「大きな利益を狙いたい」という欲が出て、生活に必要な資金を取引に回してしまう傾向があります。
必要資金は失う訳にはいかないので、ついつい取引に感情が入りすぎてしまいます。
冷静に取引を行うためにも、たとえ少額だとしても余裕資金のみで取引を行うようにしましょう。
FX投資で失敗を少しでも防ぐためには、上記3点を意識して下さい。FXで失敗を回避するために覚えておくべきポイントを解説していきます。
FXでは常に勉強や分析をすることが重要です。
投資の理論も日々進化しているので、分析手法を覚えるのはもちろん、さまざまなサイトや本から最新の情報や取引手法を常に仕入れるようにしておきましょう。
理論に基づかない取引は、結局は「勘」で投資しているにすぎません。理論に基づいて取引ができるよう、常に勉強することがFXにおいては非常に重要です。
FXには、相場の急変に備えるためのさまざまな注文方法があります。現在のレートでそのまま注文する 「成行注文」・「2WAY注文」だけではありません。以下のような注文方法を覚えて、急な変動にも対応できるようにしておきましょう。
あらかじめ指定した価格で売買を行う注文方法
現在のレートより高くなったら買う/低くなったら売るといった、損切りやブレイク狙いに使われる注文
2つの注文を一度に出し、どちらかが成立すると、もう一方が自動的にキャンセルになる注文(「150円になったら買い、160円になったら売り」などと注文することで、上昇・下落のどちらにも対応できます)
新規の注文と、その注文の決済注文を同時に出せる注文方法(「150円になったら買い」、「160円になったら決済」と注文することでポジション保有から利益確定まで一括で設定できる)
これらの注文方法を使いこなすことで、自身が相場を見ることができない時間であっても、自動的にリスクをコントロールすることが可能になります。
FXでは理論や情報も重要ですが、実際の取引で経験を積むことも非常に重要です。
最初は少額でも構わないので、ご自身の資金でリアルな取引に挑戦してみることで、相場の動きや感情のコントロールについて実感を持つことができます。
SBI FXトレードでは、米ドル/円の取引であれば「約6円」から取引することが可能です。これは他のFX会社と比べてもかなり少額となっています。無理のない資金で取引を覚えていきましょう。
FXでは、100回取引をして1度も損失を出さないことは不可能に近いので、どのような方であってもある程度の失敗を経験することを理解する必要があります。また、金利変動リスクや流動性リスクといった相場環境の変化で生じるリスクもあります。
その点を踏まえて、まずは少額でスタートしてFXの経験を積むことが重要です。
SBI FXトレードであれば最低投資単位は1通貨です。そのため、米ドル/円の取引であれば「6円」でスタートできます。(1ドル=150円・レバレッジ25倍の場合)
口座開設は無料で、PCやもしくはスマートフォンから手軽にできますので、失敗を恐れずにFXにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
SBI FXTRADE
FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
SBI FXTRADEは、スプレッドやスワップポイント、通貨ペア数など、業界最良水準のサービスをご提供しています。また、初心者の方から、上級者までご満足いただける取引ツールをご用意しております。
この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人