UPDATE 2025.09.04
POST 2025.09.04
外貨でお金を運用してみたい方には、「外貨預金」や「FX(外国為替証拠金取引)」といった方法があります。どちらも外国のお金(米ドルやユーロなど)を使った運用ですが、かかる手数料や税金、もらえる利息などに違いがあるため、正しく把握することが大切です。
そこで、この記事では外貨預金とFXの違いやそれぞれのメリット・デメリットを、表や具体例を使いながら分かりやすくご紹介します。どちらが自分に合っているかを考える参考にしてください。
外貨預金とは、日本円を海外の通貨(米ドル、ユーロなど)に交換して、銀行に預け入れる運用方法です。普段使っている銀行でそのまま始められることも多く、投資が初めての方でも比較的取り組みやすいのが特徴です。
日本は長く低金利が続いていますが、海外の通貨の中には高金利のものもあります。例えば米ドルやポンド、トルコリラといった通貨で外貨預金をすれば、日本円の預金よりも高い金利(利息)を受け取れる可能性があります。
また、為替差益(かわせさえき:為替レートの変動による利益)を得られる可能性があることも、外貨預金の特徴の1つです。たとえば、取引時点で1ドル=150円の時に米ドルを預け入れ、その後円安が進み1ドル=160円になったとします。この時、預け入れていた米ドルを日本円に戻せば差額の10円分だけ多く戻ってくるため、利益が出るという仕組みです。
FX(エフエックス)は「外国為替証拠金取引」と呼ばれるもので、証拠金を担保とし、外貨の売買で利益を目指す投資方法です。最大の特徴は、「レバレッジ」と呼ばれる仕組みにより、少ない資金でも大きな取引ができる点です。たとえば、証拠金10万円でレバレッジを25倍に設定すると、250万円分の取引ができるようになります。
うまくいけば利益を大きく狙えますが、反対に損失も大きくなるリスクがあるため、注意が必要です。
さらに、FXでは「スワップポイント」という利益を受け取れる場合があります。これは、2つの通貨の金利差によって発生するものです。たとえば、2025年8月時点では米ドルの金利が日本円より高いため、「米ドル/円」を買うとスワップポイントがもらえる可能性があります。
このスワップポイントは、外貨預金における利息に似ていますが、通貨の組み合わせによって金利差が日々変動するという特徴があります。
外貨での運用方法としてよく比較されるのが「外貨預金」と「FX(外国為替証拠金取引)」です。
それぞれの特徴を、以下の比較表で整理しました。
項目 | 外貨預金 | FX(外国為替証拠金取引) |
---|---|---|
取引コスト | 外貨購入時・日本円への再交換時に為替手数料がかかり高め | スプレッド(買値と売値の差)のみのため安い |
レバレッジ | なし(預け入れた金額内でのみ取引可能) | 国内では最大25倍のレバレッジが利用可能(お客さま自身で資産評価額や取引数量をコントロールすることで、実質的にレバレッジを設定できる) |
利益のチャンス | 円安時のみ利益を得られる | 円安・円高のどちらでも利益を狙える |
利息の受け取り | 満期時に利息を受け取る | 付与日数に応じてスワップポイントが発生 |
税金 | 利子:源泉分離課税 為替差益:総合課税 |
一律20.315%の申告分離課税 |
保全の仕組み | ペイオフ制度の対象外 銀行破綻時の保証は無い |
信託保全制度の対象 FX会社破綻時に資金が守られる |
取引の方法 | 銀行によっては営業時間に限られる | 基本的に月曜日から金曜日は24時間実勢レートで取引可能(メンテナンス時間を除く) |
決済のタイミング | 定期預金は満期時のみ 普通預金は随時可能 |
任意のタイミングで決済可能 |
外貨預金では、外貨購入時と日本円に戻す時の両方で為替手数料がかかります。例えば、銀行によっては1ドル当たり片道1円前後の手数料が発生します。
一方、FXでは多くの会社で取引手数料が無料で、実質的なコストは「スプレッド(買値と売値の差)」だけです。
たとえば、米ドル/円のスプレッドは、狭い会社で0.2銭程度(※2025年8月時点の水準)と非常に低コストです。
外貨預金ではレバレッジを使えず、預け入れた金額の範囲内でしか取引できません。
そのため、大きな利益を得るには、それ相応の資金を要します。
一方、FXでは最大25倍のレバレッジが使えるため、たとえば1万円の証拠金で25万円分の取引が可能です(レバレッジはお客さま自身で資産評価額や取引数量をコントロールすることで、実質的にレバレッジを設定できます)。
少額からでも大きな収益を狙えるのは、外貨預金にはないFXならではのメリットです。
外貨預金では、円安になった時だけ利益(為替差益)が出ます。反対に、円高になった場合は損失が出てしまいます。また、外貨預金では売りから入る取引(ショート)はできません。
一方、FXでは、「買い(ロング)」だけでなく、「売り(ショート)」から取引を始められます。
そのため、円安でも円高でも、相場の動きに合わせて利益を狙うことができます。
外貨定期預金では、満期時に利息が支払われます。金利は、預け入れ期間に応じた利率(年利)が設定されるのが一般的です。満期前解約時にも利息を受け取れますが、手数料がかかる場合もあります。
FXには満期の概念がなく、ポジションを保有している間は付与日数によってスワップポイントが発生します。これは、2通貨間の金利差に基づく損益で高金利通貨を買っていれば受け取れますが、逆に低金利通貨を買っている場合は支払う必要がある点に注意してください。
外貨預金にかかる税金は、利子と為替差益の2つが対象であり、それぞれに対し異なる税制が適用されます。
FXでは、全ての利益に対し「先物取引に係る雑所得等」として、一律20.315%の申告分離課税が適用されます。申告分離課税は総合課税と違い、他の所得とは合算されず、固定の税率が適用されます。建玉を反対売買、決済した段階で課税対象となるため、FXで決済していないポジションの評価損益やスワップポイントは、課税対象とはなりません。
また、損失が出た場合には、他のFX会社や他の先物取引(日経225先物や商品先物など)との損益通算が可能です。さらに、損失を翌年以降に最大3年間繰り越し、利益と相殺できる繰越控除も申請できます。
※税制は変更の可能性もあるため、詳細は税務署や税理士に確認してください。
外貨預金は、ペイオフ(預金保険制度)の対象外です。通常の日本円による預金では、1,000万円までの元本とその利息が保護されますが、外貨預金にはこの制度が適用されません。そのため、銀行が破綻した場合、預け入れたお金が戻ってこない可能性もあります。
一方、FXでは、法律によりFX口座に預け入れた証拠金は分別管理され、信託銀行・信託会社で信託保全されています。FX会社が破綻しても、証拠金は守られる仕組みです。
外貨預金は、市場の取引価格をもとに各銀行が独自に設定した為替レートで取引されます。取引可能な時間帯は銀行によって異なり、一部のネット銀行では24時間対応しているものの、多くの場合は銀行の店頭窓口が開いている時間帯に限られます。
一方、FXでは外国為替市場の実勢レートに基づいて取引が行われる仕組みです。FXは、月曜日から金曜日であれば基本的に24時間取引が可能なため、タイミングを見て売買しやすいのが魅力といえます。
さらに、FXでは自動注文も可能です。たとえば「1ドル=150円で買う」という指値注文を出しておくと、価格が150円に到達した時点で自動的に注文が実行されます。こうした注文は、常に相場をチェックできない方でも活用できます。
外貨預金には、定期預金と普通預金があります。外貨定期預金は、原則として満期時まで解約できません。預け入れ期間(満期)は1ヶ月から数年と長めです。一方、外貨普通預金であれば、いつでも自由に入金・引き出しが可能ですが、定期預金よりも金利が低めに設定されています。
FXでは、保有ポジションを任意のタイミングで決済できるため、トレードスタイルや戦略に合わせてタイミングを選べます。例えば、スキャルピングなら数秒から数分、ポジショントレードであれば数ヶ月から数年といったように、柔軟な取引が可能です。
外貨預金は、銀行を通じて比較的簡単に始められる資産運用方法です。以下に、主なメリットとデメリットを整理しました。
メリット | デメリット |
---|---|
日本円預金に似たシンプルな仕組みで、銀行を通じて簡単に利用できる | 為替手数料が高くコストがかかるため、長期保有でも利益が限定されやすい |
円安時に為替差益が期待できる | 為替変動により元本割れする可能性がある |
高金利通貨を選べば、日本円預金より利息が高い | ペイオフ(預金保険制度)対象外で、銀行が破綻時の保証がない |
外貨預金は、仕組みがシンプルで使いやすい反面、為替手数料や為替リスクなど、コスト面・リスク面の課題があるものの、「リスクを抑えた外貨資産運用」を考えている方に向いているといえるでしょう。
FXは、少額からでも大きな金額の取引ができる点で魅力のある投資手段です。ただし、リターンと同時にリスクも大きくなるため、注意が必要です。
メリット | デメリット |
---|---|
円高・円安の両方で利益を狙える | 為替相場の急変動で短時間に大きな損失が出る可能性 |
スワップポイントで利益を得られる | レバレッジをかけているので、リスクも拡大する |
レバレッジを利用することで、口座資金よりも大きな取引が可能 | 証拠金が不足すると強制決済(ロスカット)される場合がある |
24時間取引が可能で、柔軟なタイミングで売買できる | 自身でリスク管理や損益判断を行う知識・準備が求められる |
FXは、「円安・円高どちらの局面でも利益を狙える自由度の高さ」と「レバレッジによる効率的な資金運用」が魅力です。
ただし、逆に働けば損失も拡大しやすく、相場の急変や証拠金管理の不備によりロスカットが発生することもあります。
そのため、FXは「リスクをしっかり理解し、自分で取引管理できる方」に向いている投資方法です。
外貨預金は、低リスクで安定した運用を目指したい方向けの資産運用です。為替リスクはあるものの、通貨を預け入れるだけで金利を得られます。例えば、普通預金に預け入れている日本円をより高い金利の外貨(米ドルやトルコリラなど)に変えて、長期的に運用したいといった場合におすすめです。
一方、FXは短期売買から長期投資まで柔軟に対応可能で、取引コストも低め。デイトレードのように頻繁に取引をするスタイルにも適しています。
また、FXはレバレッジを活用することで、少額資金でも相場の動きに応じた利益を狙うことが可能です。ただし、その分リスクも高く、相場変動への迅速な対応が必要です。そのため、FXは余裕資金での運用に適しています。
FXと外貨預金は、併用することでバランスの取れた運用が可能です。例えば、FXで得た利益の一部を外貨預金に移すことで、リスクをとって増やした資金を安定運用に回す、といった使い方もできます。
FXを始めたいと思った方は、まずFX口座の開設からスタートしましょう。FXの魅力は取引コスト(スプレッド)の低さ、為替差益・スワップポイントの両方を狙える、といった点にあります。そのため、スプレッドとスワップポイントの水準がFX会社選びの重要なポイントです。
数あるFX会社の中でも、SBI FXトレードはスプレッドが業界最狭水準で、コストを抑えた取引が可能です。特に、短期売買を繰り返すデイトレードでは、このスプレッドの狭さが大きなメリットとなります。
スワップポイントも業界最良水準で、さらに、業界最多となる34種類の通貨ペアの取引が可能です。高金利通貨の選択肢が豊富で、自分に合った運用先(通貨ペア)を見つけやすくなっています。
SBI FXトレードには、FXと外貨預金の中間的な運用ができる「つみたて外貨」というサービスも用意されています。つみたて外貨は、指定した日に指定した金額(外貨)を自動で購入するサービスです。購入した外貨を一定期間保有し、価格変動やスワップポイントによる利益を狙いたい方に向いています。
つみたて外貨は外貨預金と異なり、満期がなくいつでも売却が可能です。また、預け入れた資金は全額信託保全の対象となるため、会社の経営悪化の際にも資金は原則守られます。
さらに、つみたて外貨では、通貨を定期的に購入することで価格変動のリスクを抑える手法である「ドルコスト平均法」を活用できます。そのため、FXで価格変動を予測するのが難しいと考えている方にもおすすめです。
FXと外貨預金は、それぞれ運用スタイル・リスクの大きさ・取引の自由度が異なります。取引コストやレバレッジの有無など、本記事で解説したポイントを参考にしながら、ご自身の目的や資金に合った外貨資産運用を選んでみましょう。
SBI FXトレードは業界トップクラスとなる「34種類」の通貨ペアがあり、1通貨単位から取引できるため、非常に少ない資金からFX取引が可能です。また、スプレッドは業界最狭水準となっており、利益を上げやすい環境が整っているため、初心者の方にも安心してご利用頂けます。
「つみたて外貨」では、為替変動などのリスクを最小限に抑えながら、長期の外貨運用がスタートできます。
外貨預金より柔軟に売買したいけれど、普通のFX投資はリスクが高いと感じる方は、SBI FXトレードの「つみたて外貨」で外貨投資を始めてみましょう。
SBI FXTRADE
FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
SBI FXTRADEは、スプレッドやスワップポイント、通貨ペア数など、業界最良水準のサービスをご提供しています。また、初心者の方から、上級者までご満足いただける取引ツールをご用意しております。
この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人