UPDATE 2024.12.26
POST 2024.12.26
投資家にとって魅力的な通貨ペアの一つに「ポンド/円」があります。ポンド/円は、近年大きな値動きを見せており、ハイリターンを狙える可能性を秘めた通貨ペアです。しかし、その値動きは様々な要因によって複雑に変化するため、今後の動向を正確に予測することは容易ではありません。
本記事では、ポンド/円の特徴や為替相場を動かす主な要因を詳しく解説します。さらに、過去の値動きを振り返りながら、今後のポンド/円の動向を予測するためのヒントを提示しますので、ぜひ利益拡大の参考にしてみてください。
イギリスは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国で構成された島国で、正式名称を「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」といい、UKと短く表記されることもあります。
国土は24.3万平方キロメートル(日本の約3分の2)、首都はロンドンで公用語は英語です。
イギリスは、古くから欧州の歴史において重要な役割を果たしてきました。第二次世界大戦後は経済大国としての地位は低下したものの、欧州ではドイツに次ぐ経済大国として今も影響力を持つ国です。
1973年に、現在のEU(欧州連合)の基盤となるEC(欧州経済共同体)に加盟。1993年はマーストリヒト条約の発効によりEUが発足し、当時はイギリスも加盟していました。しかし、2016年にデビッド・キャメロン首相(当時)によって行われた国民投票により、イギリスはEU離脱を決断、2020年1月31日正式にEUを離脱しました。
離脱の背景には、グローバル化に対するEUへの懐疑的な見方が国内で広まったことにあるとされています。
イギリスは、立憲君主制と議会主権という二つの原則を基盤とする政治体制です。議会は非選出で選ばれた貴族の上院と、国民の選挙で選ばれた下院で構成されており、王権を持つ長い歴史で培われた独特のシステムを持っているため、日本やアメリカとは異なります。
ただし上院の現在の権限は限定的で、法案の審議や修正などに携わる形式的な役割にとどまっています。一方、下院は法案の提案や可決、予算の承認など、実質的な権限を持っています。
ポンド(GBP)は、歴史や政治など様々な要因が複雑に絡み合い、独特の性質を持つ通貨です。
かつて大英帝国として繁栄していた時代から、第二次世界大戦前後までは世界の基軸通貨として君臨していました。その後はアメリカの経済成長により米ドルが基軸通貨となりましたが、それでもポンドは米ドル、ユーロ、日本円に次いで世界第4位の取引量を誇る主要通貨の一つです。
EUに加盟していた時代でも、イギリスは国民の反対を受けて通貨統合を行いませんでした。ポンドの発行と金融政策の運営は、中央銀行であるBOE(イングランド銀行)が行っています。そのため、ECB(欧州中央銀行)の金融政策に依存するEU加盟国と比べ、イギリスは状況の変化に対して柔軟に対応できる点が特徴です。
また、イギリスは北海油田を有しているため、原油価格の変動でポンドの価値が影響を受けやすいという側面もあります。さらに、地理的にユーロ圏と近く、経済的にも繋がりが深いこともあり、中長期的にはFXにおいてもユーロ(EUR)/円と似た値動きをする傾向が見られます。
ただし、経済規模や社会情勢の変化などから、ユーロや日本円に比べて流動性が低下しやすく、その結果値動きが荒くなりやすい傾向があります。
ポンド/円は、FX取引において米ドル/円に次ぐ活発な取引量を誇る主要通貨ペアの一つです。他の通貨ペアと比較して値動きが荒い傾向にあり、ハイリスクではあるものの、ハイリターンが狙えるケースもあることから人気となっています。
この値動きの荒さは、イギリスと日本の経済指標や政治情勢がそれぞれ異なり、市場心理の影響を受けやすいためと考えられています。
また、ポンド/円は、1単価あたりの円価格が大きいため、レバレッジをかけなくても大きな利益を狙えるという魅力があります。一方で、損失も大きくなる可能性があるため、注意が必要です。
レバレッジとは、証拠金と呼ばれる担保をFX業者に預け、その証拠金の何倍もの金額を取引できる仕組みです。例えば、レバレッジ25倍の場合、1万円の証拠金で25万円分の取引が可能となります。
FXでは、ロンドン市場が開かれている時間にも注意が必要です。ポンドは時差の影響で、日本の夕方から深夜(日本時間16時~深夜1時頃・冬時間は17時〜深夜2時頃)にかけて取引が活発化します。欧州各国の経済指標が発表される16時頃や、NY時間が始まる21時頃に活発化する傾向にあると言われています。
さらに、ポンド/円は「ポンド/米ドル」と「米ドル/円」の2つの通貨ペアを介して価格が生成されるため、米ドルの値動きにも間接的な影響を受けます。米ドルとポンド、日本円の値動きが連動すると、ポンド/円の変動率がさらに高くなる点に注意が必要です。
ポンド/円の為替相場は、上昇と下落を繰り返すことが多く、値動きに影響を与える要因は多岐にわたります。ここでは、主な要因を見ていきましょう。
FXトレーダーにとって、経済指標は市場動向を予測する上で欠かせない存在です。この経済指標が市場の予測を上回れば上昇し、下回れば下落しやすい特徴があるため、イギリス経済を分析するために主要な指標を理解することは、為替取引において大きなアドバンテージとなります。
経済指標には、BOE(イングランド銀行)の政策金利発表や貿易収支など様々なものがありますが、ここではイギリス経済の現状と将来を展望する上で特に重要な5つの経済指標を取り上げ、それぞれが為替相場に与える影響を詳しく解説します。
四半期GDPは、四半期の間に国内で生産されたモノやサービスの価値を合計したもので、その国の景気サイクルを測る重要な指標として広く用いられています。
GDPの伸び率が高いほど、経済が活発で企業収益の増加や雇用創出などが期待できます。逆に成長率が低い、もしくはマイナス成長(景気後退)の場合は、経済活動の停滞が懸念され、投資家心理が悪化してポンド下落が加速する可能性も考えられるでしょう。
このように、四半期GDPの動向を分析することで、経済成長率や景気動向、そして市場心理などを把握することができます。
イギリス国家統計局は「失業率・失業保険申請件数」を毎月発表しています。イギリスの失業率は、16歳以上の就労が可能な人口のうち、過去4ヶ月以内に仕事をしていない人の割合を指します。失業保険申請件数は、職業安定所に求職者手当を申請し、受給資格を得ている人の数を示しています。
景気が良ければ、企業では雇用創出が行われ失業率が低下しますが、反対に景気が悪くなると失業率が上昇します。失業率は消費者の支出に影響を与えるため、イギリスでは経済指標として非常に重要視されており、発表直後には為替相場が大きく動くことがあります。
イギリス経済を分析する上で、最も重要な指標の一つとされているのが「MPC議事録の公表」です。これは、BOE(イングランド銀行)によって年8回開催されるMPC(金融政策委員会)の議事録で、2週間後に発表されます。
MPC議事録とは、銀行の総裁やアナリスト、外部委員など9名のメンバーが参加し、委員個々の金利引き上げ・引き下げの賛否意見やその理由、経済動向など議論した内容を記録した文書です。これは、ポンドの金融政策だけではなく、世界経済にも大きく関わります。
投資家にとっても重要な情報源であり、文書が公表されることで今後の市場予想にも大きな影響を与えます。
資産購入プログラムは、BOE(イングランド銀行)が国債やその他の金融資産を購入することで市場に資金を供給し、金利を低下させる政策です。
この政策によって投資が促進され、資金の流通が増え、経済成長を後押しする効果が期待できるほか、景気刺激や金融市場の安定化にもつながる政策となります。しかし、デフレ(物価が継続的に下落すること)が続くと投資の魅力が低下し、通貨価値が下落する傾向があります。そのため、資産購入プログラムは一時的な措置として行われ、景気回復が見込まれると終了となります。
CPI(消費者物価指数)は、消費者が購入する代表的な財・サービスの価格変動率を指数化したもので、ONS(イギリス国家統計局)が発表する物価統計です。これにより、イギリスの物価動向や家計の購買力、さらに経済全体への影響などを把握することができます。
CPIはインフレ率を測定する指標としても用いられています。ただ、CPIは、あくまでも家計が購入する代表的な財・サービスの価格変動率を指数化したものであり、すべてのモノやサービスの価格変動を網羅しているわけではないので注意しましょう。
イギリスはユーロ圏と地理的にも近く、政治・経済が密接に関わっています。特にイギリスの貿易相手は、半分以上をユーロ圏諸国が占めており、ドイツ、フランス、オランダなどが主な取引相手です。
ユーロ圏経済が景気後退に陥ると、イギリスへの輸出需要が減少し、イギリス経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、エネルギー価格の高騰などは、ユーロ圏経済の先行きに不透明性を高めており、イギリス経済にもリスク要因となるでしょう。イギリス経済を分析する際には、常に隣接するユーロの社会情勢の変化を捉えておくことが重要です。
FXトレーダーにとって、BOE(イングランド銀行)の政策金利は、ポンド/円の為替相場を左右する重要な変動要因の一つです。これは、金利差が通貨の需給関係に影響を与えるからです。
一般的に、金利が高い国の通貨の方が金利の低い国の通貨よりも魅力的とみなされます。なぜなら、金利が高い国に投資することでより多くの利息を得られるからです。
BOEは、MPC(金融政策委員会)を開催し、政策金利の決定を行っています。BOEが政策金利を引き上げると、ポンド建て資産への投資が活発になり、需要が高まります。この需要増加により、ポンド/円の為替相場は上昇傾向を示す可能性があります。
そのため、BOEの発表をチェックし、分析することが重要です。
ポンド/円は、世界で最も取引されている通貨ペアの一つであり、投資家にとって魅力的な通貨です。とはいえ、BOE(イングランド銀行)の金融政策や米国の経済指標、さらにはグローバルな株価指数など、様々な要因に左右されるため、今後の動きは不透明です。
今後も確実なFX取引のために、社会情勢の変化や市場の最新動向を把握し、投資戦略を立てていきましょう。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人