FXにおける損切りの重要性と損失を抑えるためのタイミングの見極め方

損切りをするタイミング

相場の格言に「見切り千両、損切り万両」という言葉があります。

これは損失がまだ浅いときに見切りをつけるのには千両の価値があり、損切りをするのは万両(千両の10倍)の価値があるという意味です。

FXを含めた投資において、損切りはそれほど重要なものです。

ここでは「なぜ損切りが重要なのか」や「具体的な損切りはどのようにすれば良いのか」について解説します。

ご自身の大事な資産を守るための参考にしてみてください。

目次

FXにおける損切りとは

損切りとは

前提として、FXにおける損失の発生を100%避けることはできません。

思い通りに相場が動く事もあれば、そうでない事もあるため、利益と損失を繰り返しながらトータルでのプラスを目指すものです。

損失の発生を避けられないFXについては、いかにダメージを最小限に食い止めるかという点が非常に重要です。そこで活用するのが「損切り」です。

損切りの目的:損失を最小限に留めること

FXにおける損切りとは、含み損を抱えているポジションを決済し、損失を確定させることです。言い換えれば「負けを受け入れること」です。

損切りするのは確かに厳しい判断です。「もう少し待っていれば、戻るかもしれない」という思いに駆られることでしょう。

放っておくとどんどんと損失が膨らみかねないFXにおいては、一定のところで見切りをつけることが非常に重要です。

損切りができる・できないで損失額は大きく違う

損切りできる・できない

人間には「損失回避バイアス」といって、利益を得る喜びよりも損失を被る悲しみの方を大きく感じるため、なるべく損失を避けようとする傾向があります。

しかし、それでも逃げずに損切りをすることで、致命傷となるダメージを負う前に自分の資産を守ることができるのです。

損切りができる人・損切りができない人

損切りが「できる人」と「できない人」では、前者の方が損失額は小さくなる傾向があります。そのことがよく分かる例を見てみましょう。例えば以下の条件で取引をしたとします。

1ドル=100円の時に上がると予想して「買い」

上がると予想して買い注文を入れている状態で、1ドル=99円…98円…と下がっていくと、評価額はマイナスになっていきます。このまま95円…90円と進んでいく前に、どこかで見切りをつける必要があります。

損切りができる人は、例えば1ドル=98円となったタイミングで「予想が外れた。これ以上損失が広がる前に一度損切りして、仕切り直そう」と考え、持っているポジションを決済します。

一方、損切りができない人は、1ドル=96円になった段階でも「もう今さら損切りできない。戻るまで待とう」と考え、徐々にマイナスが増えていくのを横目で見ながら決断を先延ばしにします。

損切りのタイミング

FXにおいては、全ての取引で利益を出すことは実質的に不可能です。どんなに成績の良いトレーダーであっても、損失の出る取引を必ず経験しています。

つまり、実質的に損切りを何度も経験しているという事で、その損切りのタイミングが秀でているからこそ、損失を少なくして相対的に利益を出せているという事になります。

損切りの決断が素早く正確な人は、トータルで利益が出る可能性が高い人で、逆に損切りの決断ができない人は、トータルでなかなか利益が出にくい人と言えます。

損切りができないとロスカットで損失が出る可能性がある

ロスカットとは、ある一定水準以上の含み損を抱えてしまうと、FX会社が強制的にポジションを決済する、自動決済機能のこと。ロスカットは、損失拡大を防ぎ、投資家の資産を守るための大切な仕組みです。

ただし、ロスカットが執行されるということは、口座内の資産に対して大きな含み損を抱えていることを意味します。

そのため、損失を抑えるためにもロスカットを避け、なるべくその前に損切りをすることが大切です。

証拠金維持率に注意

ロスカットの水準は、証拠金維持率によって決まります。

FXをする際には、ご自身の口座の資金残高と証拠金維持率に、十分に注意する必要があります。

証拠金維持率

口座全体の証拠金維持率が50%を下回った場合は、全ポジションを強制決済するルールが定められています。

詳しくは 「ロスカット」のページをご参照ください。

具体的な損切りの方法

自分で相場を常に見ながら損切りのタイミングを図るのは、実際問題かなり大変です。家事や仕事があって、常に相場を見ていられない人の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

あらかじめ自分の定めたタイミングで損切りをする方法としては、下記2つの方法が有効的であると言えます。

  • ストップ注文(逆指値注文)

  • OCO注文

事前にこの注文方法で損切りの設定をしておけば、決断に迷うことも遅れることも無くなります。

自分の取引スタイルにはどちらの注文方法が合っているのか、実際に試してみましょう。

ストップ注文(逆指値注文)

ストップ注文(逆指値注文)とは、指定した為替レートより高くなったら「買い」、安くなったら「売り」をする注文方法です。

指定した為替レートより高くなったら「売り」、安くなったら「買い」をする指値注文とは、逆の注文方法です。

ストップ注文(逆指値注文)

  • 買いポジションを持っている時の損切り(下がった時の売り注文)

  • 売りポジションを持っている時の損切り(上がった時の買い注文)

買いポジションを持っている時

以下のグラフは、上がる想定で買いポジションを持ったけど、予想に反して下がってしまった場合の、逆指値注文となります。

ストップ注文

米ドル/円で、1ドル=110円の時に新規買い注文をして、「もし100円まで下がってしまったら損切りしたい」と考えた際にストップ注文を出します。

こうしておけば、為替レートが1ドル=100円になったタイミングで、自動で売り注文が執行されます。

売りポジションを持っている時

ストップ注文

新規売り注文をしている場合も同様です。1ドル=110円の時に新規売り注文をして、「もし120円まで上がってしまったら損切りしたい」と考えた際にストップ注文を出します。

こうしておけば、為替レートが1ドル=120円になったタイミングで、自動で買い注文が執行されます。

このストップ注文は、損切りをして損失を限定させるために有効な注文方法です。詳しくは 「指値注文・逆指値注文の活用方法」をご覧ください。

OCO注文

OCO(オーシーオー)注文とは、2つの注文を同時に出し、どちらかが成立したらもう片方の注文が自動でキャンセルされる注文方法です。

例えば、現在1ドル=110円の買いポジションを持っているとします。

そこで「100円になったら損切りしたい。逆に120円になったら利益確定したい」と考えた場合、OCO注文なら2つを同時に発注することが可能です。

  • 100円になったら損切りの売り注文

  • 120円になったら利益確定の売り注文

ストップ注文と同様、上記のようなOCO注文を出すことで、ロスカット・損失拡大を避けることができます。また損切りの注文だけでなく、利益確定の注文も出せるため、損失を限定しつつも利益を狙いたいときに活用すると良いでしょう。

もちろん、ポジションを持っていない状態からOCO注文で新規注文をすることも可能です。新規注文の場合、「上がった場合には新規売り注文を入れる」「下がった場合には新規買い注文を入れる」という形での活用が可能です。

損切り水準の決め方

具体的な損切りとして水準は一般的に3つあります。

損切り水準

  • 値幅

  • 損失額

  • テクニカル(トレンドラインで決める)

損切りする水準は人それぞれですが、一般的な損切り幅は、利食い幅(新規注文→利益確定をする幅)の半分以下です。

利食い幅=損切り幅にしてしまうと、スプレッド分だけマイナスになってしまうのに加え、なるべく損失を小さくする意味でも、損切り幅は利食い幅の半分以下にすると良いでしょう。

値幅で決める

値幅を損切り基準とする際には、「買値から1円下がったら損切りする」など、新規で注文が成立した為替レートからの差額を基準に損切りしましょう。

直近の安値や100円・105円といったキリの良い心理的な節目を下回ったタイミング、○円(△pips)・□%下がったタイミングなど、損切りラインが分かりやすい点が特徴です。

損失額で決める

損失額を損切り基準とする際には、「損失が1万円に達したら損切りする」など、損失額を基準に損切りしましょう。

自分で決めた損失額に達したら損切りするため、損失額は最大でも自分で決めた金額になります。ただ、損失額に臆せずに損切りを実行できるかがポイントです。

テクニカルで決める

テクニカルを損切り基準とする際には、「トレンドラインを下回ったら損切りする」など、各分析ツールを基準に損切りしましょう。

「トレンドライン」とは、相場が上昇・下降・横ばいのうちどのトレンドが発生しているかを判断する線のこと。「テクニカル(トレンドラインで決める)」を損切り基準にするのは、為替レートがトレンドラインを突破すると、トレンドが変わり損失が膨らみかねないため、傷が浅いうちに損切りをしようという考え方によるものです。

初心者のうちは値幅や損失額で決めても良いですが、慣れてきたら、相場の動きに対応した、より損失を抑えられる可能性が高いテクニカル(トレンドライン)を損切り水準にするのがおすすめです。

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pipsに注目

トレンドラインを見る際には「pips(ピップス)」に注目しましょう。

pipsとはFXで使われる単位のこと。FXでは多様な通貨が取引されるため、どれくらい変動したのかをpipsという共通の単位で表します。pipsは通貨ペアによって異なり、例えば米ドル/円など円が絡む場合は「1pips=1銭(0.01円)」、ユーロ/ドルなど円が絡まない場合は「1pips=0.0001通貨※」になります。

※通貨とは、ドルやポンドのこと。ユーロ/ドルの場合は、「1pips=0.0001ドル」。

pipsと利益額について、例えば1ドル=110円のときに、10,000通貨の買いポジションを持ったとします。このとき1pips上昇すると、110円の利益、10pips上昇すると1,100円に利益が出ます。

このpipsがいくら変動したかを損切り目安にすることができます。

損切りの目安となるpips

トレード手法 トレード時間の目安 損切り目安pips
スキャルピング 数秒~数分 5pips未満
デイトレード 1日 50pips未満
スイングトレード 数日~数週間 150pips未満

上記はあくまでも目安ですが、トレード時間が短いほど、期待できる利食い幅が狭いため、損切り目安pipsも小さくなります。

損切りするタイミングは、通貨ペアや相場の状況にもよりますが、参考にしてください。

損切りのタイミング

いくら損切りが大切だとはいえ、むやみやたらに損切りをしていては、利益を伸ばすべきときに伸ばせません。

そこで、ここでは以下3つの損切りのタイミングについて解説します。

  • レジスタンスラインとサポートラインから少し余裕を持たせる

  • 直近の最安値を損切りポイントとする

  • トレード記録を付ける

損失が一気に膨らみそうになる前に損切りをするのが「レジスタンスラインとサポートラインから少し余裕を持たせる」と「直近の最安値を損切りポイントする」になります。

一方、自分の取引結果を振り返ることで、損切りのタイミングを整理するのが「トレード記録を付ける」です。順に見ていきましょう。

レジスタンスラインとサポートラインから少し余裕を持たせる

レジスタンスラインとサポートライン

レジスタンスラインとは高値同士を結んだ線のこと。上値抵抗線ともいわれ、レジスタンスラインで上昇が抑えられる可能性があります。ただし、レジスタンスラインを超えると、一気に上げが加速するケースもあります。

一方、サポートラインとは安値同士を結んだ線のこと。下値支持線ともいわれ、価格がサポートライン付近に接近すると、買いが増え、反転するパターンが多くあります。ただし、サポートラインを割り込むと、下げが加速するケースもあります。

損失が膨らむリスクを抑えるためにも、レジスタンスライン上・サポートライン上ではなく、少し余裕を持たせた位置で損切りをするようにしましょう。

ただし、一般的には1分足や5分足など期間が短いローソク足で引いたレジスタンスライン・サポートラインは相対的に機能しない可能性が高く、日足や4時間足のように期間が長いローソク足で引いたラインは相対的に機能する可能性が高くなります。そのため、一般的には期間が長いローソク足が活用されることが多くなっています。

直近の最安値を損切りポイントとする

直近の最安値を下回ったタイミングが損切りポイントになりえます。具体的な期間の目安は以下を参考にすると良いでしょう。

トレード手法 直近の目安
スキャルピング 数分~1日
デイトレード 数日~数週間
スイングトレード 1週間~数ヶ月

直近の最安値を下回ると、トレンドが転換し、さらに損失を膨らませてしまう場合があるため、傷の浅いうちに損切りをします。

ただし、100%トレンドが転換するともいい切れません。「最安値を下回ると、トレンドが転換する」というのはあくまでセオリーのようなもので、例外も多くある点は注意しましょう。

本当にトレンド転換しているのかどうかを判断する力は、経験を積む中で養っていくしかありません。

トレード記録を付ける

トレード記録とは、その名の通り、これまでのトレードをまとめたものです。トレード記録に記載する内容は例えば以下のような項目です。

  • 取引通貨ペア

  • 取引数量

  • エントリーした時間

  • 決済した時間

  • 損益(pips)

  • エントリーした根拠

  • 決済した根拠

  • 決済後の動き

  • 改善点

損切りのタイミングについて、例えば「決済後の動き」を記録しておくと、自分の損切りのタイミングは果たして適切だったのかを、決済後の値動きと照らし合わせることで確認できます。

また、適切でなかったとしたら、何を間違えていたのかは「エントリーした根拠」や「決済した根拠」を振り返ることで、推測可能です。

トレード記録を付ける上での注意点は「記録を付けるだけで満足しない」こと。あくまでトレード記録はFXで利益を上げる(損失を抑える)ために付ける「手段」であり、「目的」ではありません。手段と目的を混同しないようにしましょう。

FXに損失は付き物!損失をできるだけ少なくするポイント8つ

トータルでのプラスを目指す

ここまでも触れてきましたが、FXにおいて損失は付き物です。そのため、できる限り損失を抑えることがFXで安定した利益を得るポイントです。

ここでは、できるだけ損失を少なく抑える8つのポイントを紹介します。

損失をできるだけ少なくするポイント8つ

  • 利益を狙えば損失もあると理解する

  • 利益を狙うことを重視するより損失を抑えることを意識

  • 自分の損切りルールを制定する

  • 損切りルールに沿う・感情を持ち込まない

  • 大きなポジションを持たない

  • ハイリスクな取引をしない

  • 損切りルールを定期的に見直す

  • 色々な通貨に手を出さない

どの心構えも重要です。FXで損失が続いた場合などにも随時見直して、次の取引に臨みましょう。

利益を狙えば損失もあると理解する

FXを一定期間以上やっていて、1度も損切りをしたことがない人は、恐らく存在しないでしょう。100%勝てる取引が存在しない以上、利益を狙う限りは損失も付き物です。

FXにおいて損失は当然あるものとして考え、その失敗を次に活かすことが重要です。そのため、ある程度の損失を許容できる人でないと、FXには向いていないといえるでしょう。

利益を狙うことを重視するより損失を抑えることを意識

著名な投資家ジョージ・ソロス氏は「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」という名言を残しました。

FXをしていると、つい利益に目が行きがちですが、損失を抑えて自分の資産を守り、FXの世界から退場しないことが大切です。

加えて、FXはトータルで利益を出せば良いため、ハイリスク・ハイリターンな取引をするよりも、損失を抑え利益を出せる比率を高めることが重要です。

自分の損切りルールを制定する

損切りルールとは「○○になったら損切りする」という決まりのこと。

FXにおいて、実際に損失が膨らんでいくのを目にすると、冷静に損切りができないこともあります。

そこで損切りルールを制定することで、損切りをする際の迷いが少なくなり、ルールがあれば迷いそうな場面でも、即座に損切りができるようになるかもしれません。

損切りルールに沿う・感情を持ち込まない

上記で決めた損切りルールは、必ず守るようにしましょう。

人間の心情として、為替レートが損切りラインに到達したとしても「ここで損切りせず、もう少し待てば含み損が減るかも」と思ってしまいがちです。しかし、そのような感情を持ち込むことで、判断が鈍り、さらに損失が膨らんでしまうリスクがあります。

感情をできるだけ持ち込まず、ルールに沿って機械的に損切りをするようにしましょう。

大きなポジションを持たない

大きなポジションを持つと、利益も大きくなりますが、当然損失も大きくなります。

特に初心者でパフォーマンスが安定しない人は、思わぬ損失を被ることもあります。

FXに慣れるまでは、大きなポジションを持ってハイリスクな取引をするのではなく、小さなポジションで経験を積み、実力をつけることを優先しましょう。

ハイリスクな取引をしない

FXではレバレッジをかけることができるため、ついつい自分の資金力以上の取引をしてしまいがちです。

取引数量を増やしすぎると、想定と逆に動いた時の損失リスクも高まります。すぐにロスカットになる可能性も高まるため、ハイリスク・ハイリターンと言えます。

常に損失が出る可能性を考えて、自身の資金力の範囲で無理のない売買を心がけましょう。

損切りルールを定期的に見直す

自分の制定した損切りルールは、週に1度や月に1度など定期的に見直すことが大切です。

相場は常に変化しています。そのため、今までの損切りルールがこれからの相場に適切だとは限りません。

損切りルールは定期的に見直して、時世やトレンドに合わせて微調整するようにしましょう。

色々な通貨に手を出さない

多くの通貨ペアに同時に手を出してしまうと、それだけチェックする情報が多く、トレンドを追いきれなくなるリスクがあります。

加えて、マイナー通貨を取引する場合には、トレンド判断の参考となる情報が少ない点も注意が必要です。また、色々な通貨に手を出すということは、それだけ損失機会が増えることを意味します。

手を広げすぎず、同時に取引する通貨ペア数は1~3つ程度を目安にしましょう。

FXに損切りは必須!まずは少額スタートから

FXにおいて、ロスカットや塩漬けを避け、自分の資産を守るためにも、損切りはとても重要です。

また、FXではトータルで利益を出せば良いため、適宜損切りをしつつ、利益を伸ばせるときに伸ばしていく手法が有効です。ただ、損切りが大事だと頭で分かってはいても、いきなり大きな金額で取引して、リアルな損失額を目にすると冷静に損切りできるとは限りません。

そのため、まずは少額でFXをしながら損切りに慣れ、マイナスを抑えつつ利益を伸ばせるスキルを身につけていきましょう。

少額取引可能なSBI FXトレードをご検討ください

SBI FXトレードでは、最低取引単位が「1通貨」となっているため、米ドル円での取引であれば「約4円」から始めることができます(レバレッジ25倍)。

初心者向けの各ツールも充実しているため、FXをこれから始めるという人にも多く選ばれています。

最初はある程度の損失が出てしまう前提でトレードを覚えていき、徐々に色々な取引方法や損切りに慣れていきましょう。

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