スイスフラン/円 新規注文の受付停止についての当社の考え

2015/02/03

特別レポート

1月15日にスイス国立銀行(SNB)が3年以上続けていた無制限介入による対ユーロでのスイスフランの上限値撤廃を受けたマーケットの急変、いわゆる「スイスショック」は外国為替市場に様々な影響を与えました。海外を中心にFX業者は顧客からの未収金が発生したことによって、会社の存続が危機的な状況にまで追い込まれる業者もありました。

世界の個人投資家のFX取引の50%を占めるといわれる日本では、5年前から金融当局の尽力によって、顧客資産の信託保全やロスカット・ルールの整備・遵守の義務付け(2010年2月完全施行)やレバレッジ規制(2010年8月施行)といった不測の事態に陥った場合のリスクを低減するルールが整備されていたことから、今回のスイスショック時の異常なボラティリティの状況であっても、個人投資家の損失は限定的なものでありました。

金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」においては、ロスカット取引に係る留意事項として、『顧客の損失が、顧客が預託する証拠金を上回ることがないように、価格変動リスクや流動性リスク等を勘案してロスカット取引を実行する水準を定めているか。』とあります。しかしながら、今回のスイスショックによって、一般社団法人金融先物取引業協会の発表では、FX業者の顧客未収金が1日で約34億円(1月15日分)発生しました。この個人投資家が投下資金を超える損失の発生という事実は、個人投資家の保護に努めるFX業者としては、多いに反省すべき事実であると考えます。

これまで当社では、HP上に今回の「スイスショック」に関連した各種レポートをディスクローズさせていただいていますように、かつて例を見ない為替市場の変動をもたらした「スイスショック」については、様々な角度から調査分析を行いました。当社は、個人投資家保護の観点から「取引価格の継続配信」「不要なスプレッド拡大を避ける」といった措置を取ることによって、お客様の影響はほとんどありませんでしたが、日本の個人投資家の方々の保護のために何ができるのか、どう改善すべきであるのかを社内で協議を重ねて参りました。

このような状況の中、SNBは非公式ながらも「新しくユーロスイス相場のターゲットを1.05/1.10に設定してきた。」との報道が入ってきております。再びターゲットを設定するのか、しないのか、今後のSNBの動向は予測できない状況にあり、マーケットへの直接的な影響は計り知れません。前回同様に取引価格の継続配信をしていたとしても、一瞬後のマーケット価格が数円違うという状況も想定されます。

当社としては、新規注文(取引機会)の提供については、大変重要な責務であると認識しております。しかし、それ以上に重要なのは、お客様がリスクを取られて保有されていているポジションの適切なリスク管理の機会を継続して提供することであると考えます。当社では、ロスカット執行時に採用する価格は最も狭いスプレッドを採用していることや初心者の方にも適切なリスク管理のもとで、FX取引を楽しんでいただけるように1万通貨単位以下のスプレッドを業界最狭水準で提供していることなどは、当社の根幹をなすプライスポリシーの証左です。

一部のFX業者の中には、低スプレッドを謳うものの、自社都合によって本来FX業者が取るべきマーケットリスクをお客様に転嫁したり、自社の利益を優先しマーケットと乖離したスプレッドをワイドにし、リスクプレミアムをお客様に転嫁するなど、恣意的なレート操作が散見されます。

今回当社では、緊急の社内会議を開催し、諸般のマーケットリスクを検討したうえで、スイスフラン/円の新規注文の受け付けを停止する措置を取るに至った次第です。

お客様の皆様におかれましては、何卒ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。

今後も引き続き、当社は、お客様の"喜び"のために、さらなるサービスの向上に努めることをお約束いたします。どうか皆様、私たちとともに健全な外国為替証拠金取引市場の発展、ひいては豊かな国民経済を創造して参りましょう。