UPDATE 2025.03.07
POST 2025.03.07
FX取引でよく聞くスプレッドですが、その意味を理解していない方は、意外に多いのではないでしょうか?スプレッドはFX取引での実質的なコストといわれており、FX取引を始めるなら、理解しておきたい言葉です。
この記事では、通貨によるスプレッドの違いやスプレッドが変動する要因などについて解説します。この記事を最後まで読んで、スプレッドを理解し、FX取引を始めるための参考にしてください。
FXにおけるスプレッドとは、通貨ペアを買う時と売る時の価格差を指します。また日常生活でも、スプレッドの影響を受けることを知っておきましょう。
例えば、アメリカに旅行する際には、日本円を米ドルに交換します。この時「1ドルにつき150円」で両替できたとしましょう。しかし、同じタイミングで米ドルを日本円に戻す(売る)と、1ドルあたり149.50円になることがあります。
150円を1ドルに両替した後、すぐに日本円に戻したとしても150円未満になってしまうのです。
この差額の「0.5円」がスプレッドです。
スプレッドが各FX会社によって異なる要因には以下のようなことがあります。
スプレッドは取引における事実上の手数料となるため、FX取引を始める際には必ず理解しておくべき重要な要素です。
FX会社には顧客の注文執行によって損失を被るリスクがあります。そのリスクを回避するために、FX会社は独自にスプレッドを設定しています。
例えば、市場で米ドルの買い注文が大量に入り、米ドルの価格が上がることがあります。そうなると、FX会社は安い価格での注文を執行した後、高くなった価格で顧客注文を執行することになり、リスクが生じます。このリスクを避けるために、FX会社は自分の取引先である金融機関に対して、顧客と同じ取引を行うカバー取引を行います。
リスクの許容度は各FX会社によって異なるため、同じ通貨ペアであっても、スプレッドに差が発生します。リスク回避を行い大きな損失を出さないことで、FX会社は顧客に安定的な取引を提供しています。
FX取引では、顧客とFX業者が直接取引を行いますが、その取引をそのままにしておくと顧客が利益を得たときにFX業者は損失となってしまいます。そこでFX業者は顧客の注文に応じて、自らも銀行等の金融機関に対して同様の注文を行い、リスクをヘッジしています。このヘッジ取引のことを、カバー取引といいます。
通貨ペアによってスプレッドが異なるのは、通貨の変動率と流動性の違いによるものです。たとえば、需要が高く流通量が多い米ドル/円のような通貨ペアは、急激な値動きが比較的少なく変動率が安定しているため、スプレッドが狭くなります。
流動性が高い通貨は取引量が多く、いつでも売買できるということです。例えば、ユーロ/円やポンド/円、豪ドル/円なども変動率が低く流動性が高い通貨ペアといえます。一方、トルコリラ/円のような新興国通貨ペアは、変動率が高く流動性も低くなりがちなので、スプレッドも広くなる傾向があります。
スプレッドは、取引量の多い時間帯や価格が安定している状態では狭くなる傾向があります。
例えば、日本時間22時から翌2時までは、ニューヨーク市場やロンドン市場が開いているため、取引量が増加します。
一方、ニューヨーク市場やロンドン市場が閉まっており、東京市場が開いている日本時間の8時から17時では、米ドル円以外は比較的取引量が少なく、スプレッドが広くなる場合があるため注意しましょう。
スプレッドが変動すると取引をためらう投資家がいるため、原則固定にするFX会社もあります。ただし、スプレッドを固定にしているFX会社でも、天災や政治変動が起こった場合や大手企業の倒産などにより、為替相場が急変した際には、固定にしているスプレッドを変動させる場合があります。
取引の際にコストがいくらになるのか、具体例を挙げて説明します。例えば、FX会社Aではスプレッドが0.18銭、B社では0.3銭だと仮定します。100銭が1円なので、どちらの会社で取引しても大差ないと感じるかもしれません。
1万通貨の米ドル/円を取引した場合の例を挙げます。A社で取引をした場合、10,000×0.18=1,800銭となり、日本円に換算すると18円です。同様に、B社でも1万通貨のスプレッドを計算すると、30円となります。
A社とB社を比較すると、1万通貨の取引1回分のスプレッドの差額は12円です。1回だけの取引では、どのFX会社で取引してもスプレッドに大差はないように感じるでしょう。
しかし、FX取引は1度だけで終わるものではありません。仮に100回取引を行っただけでも、差額は1,200円になります。年間で考えると、かなりのコストになってしまうことが想定できるのではないでしょうか。
また、FX取引ではスプレッドを「pip(ピップ)あるいはpips(ピップス)」で単位表示するケースがあります。日本円を含む通貨ペアの場合、一般的に「1pip=1銭」となりますが、日本円を含まない場合は、1pipがいくらになるかは通貨ペアによって異なります。なお、スプレッドは取引のたびに自動的にコストとして反映されるため、別途支払う必要はありません。
FX取引で大きな損失を出さないために、スプレッドが大きく変動する要因を把握しておくことが重要です。スプレッドが大きく変動する要因には、以下のようなことが挙げられます。
スプレッドが急変する際には、原則固定にしている会社のスプレッドも変動しています。それぞれの項目について詳しく解説しますので、急変した場合に備えて確認しておきましょう。
世界経済の中心であるアメリカの経済指標が発表された際に、スプレッドが変動する場合があります。例えば、米国雇用統計が発表されると、米ドルの為替相場に強い影響を与えることが少なくありません。
米国雇用統計の結果が良ければ米ドルが買われ、悪ければ米ドルが売られる傾向にありますが、大きな動きになった場合には、発表前後にはスプレッドが変動する場合があり注意が必要です。
また、政策金利変更の発表後も、為替相場の値動きの要因になり得ます。安定した取引をするためには、これらの重要な経済指標の発表スケジュールを把握しておくことが大切です。
突然のニュースや予想外の出来事が発生した場合も、スプレッドは変動します。実際に、2022年の2月に勃発したロシアウクライナ問題によって、ユーロ/円相場は急変しました。
2022年2月には128.90円だったユーロ/円は、翌月の3月には134.66円となっています。2025年1月時点でも世界では地政学リスクは存在しています。そのため、為替取引を安定して行うには、日々の情報収集が大切です。
SBI FXトレードでは、豊富な為替ニュースを提供しています。ホームページのマーケット情報にてレポートを配信しており、スマホからもリアルタイムで最新の為替ニュースをチェックすることができます。
為替市場の取引量が少ない日本時間の早朝、クリスマスや年末年始の時期は、スプレッドが大きく広がる可能性があります。
日本時間の早朝は、市場参加者が少ないため、取引量も比較的少なく、為替相場の値動きが発生しやすいため、スプレッドが変動する要因になり得るでしょう。
クリスマスや年末年始も、トレーダーの多くが休暇に入るため、取引が少なくなり、スプレッドが急変しやすくなります。
経済指標の発表や突発的な出来事が発生すると、スプレッドが広がりやすくなります。スプレッドが広がると、以下のような危険性があるため、注意が必要です。
ここでは、スプレッドが広い市場環境における注意事項について解説します。
スプレッドが広がると、取引コストが増加する可能性があるため、注意が必要です。例えば、1万通貨の米ドル/円を取引する場合、スプレッドが0.18銭なら、18円の取引コストとなります。
しかし、スプレッドが1銭になれば、100円の取引コストになります。つまり、0.18銭から1銭にスプレッドが広がってしまうと、約6倍ものコストが発生してしまうということです。
スプレッドが広がれば、その分取引コストが増え、利益を獲得しにくくなる可能性があるため、注意しましょう。
為替相場が急変しスプレッドが広がることによって、ロスカットラインを超えてしまう可能性が高まるため、注意が必要です。過去には、天安門事件や米国同時多発テロ、リーマンショックなどの経済危機が発生した際には、大きく為替相場が変動しました。
ロスカットとは、一定水準の損失に達すると決済を強制的に行うことです。ロスカットは、利用者の損失が膨らむことを防ぐために行われます。もしロスカットが設定されていなければ、預けた保証金を全額失うだけではなく、損失を埋めるために追加資金が必要になるケースもあるでしょう。
ロスカットは大きな損失を防ぐために各FX会社が設けているものですが、ロスカットになってしまうと、その時点で損失は確定してしまいます。スプレッドが広がるようなニュースや出来事がないか、日々の情報収集をしっかり行うことが重要です。
もちろん、相場の急変によって損失が大きく膨らむ可能性がある一方で、大きな利益を得る可能性もあります。
スプレッドが広がってしまうと、コストが増え、ロスカットされる可能性があります。スプレッドが広がった場合の対策は、以下の通りです。
ここでは、スプレッドが広がってしまった場合の対策について解説します。長くFX取引を行えば、為替相場の急変に遭うこともあります。FXを始める前に、対策についてしっかり確認しておきましょう。
スプレッドが比較的狭い通貨ペアの取引を行うことが、対策となり得ます。スプレッドが狭い通貨ペアは、具体的にはユーロ/米ドル、米ドル/円、ポンド/米ドルなどです。
流通量が多く流動性が高いこれらの通貨ペアは、他の通貨ペアと比べると、スプレッドが広がりにくく、安心して取引が行えるでしょう。一方で、トルコリラ/円などの新興国通貨ペアは、比較的スプレッドが広く、変動しやすい通貨ペアだといえます。
ただし、先に挙げたユーロ/米ドル、米ドル/円、ポンド/米ドルなど安定性が高い通貨ペアでもリスクがゼロではないことを理解しておきましょう。相場急変時にはどの通貨ペアもスプレッドが広がる可能性があるため、注意が必要です。
スプレッドが広くなった際には、FX取引を控えることも有効な対策になります。たとえば、アメリカの雇用統計や政策金利変更などの重要指標や政策が発表されると、為替相場が急激に動き、ロスカットに遭う可能性があります。
このような相場変動に不安がある場合、発表前後の取引を避け、一時的に市場から離れることもリスクを減らす手段の一つです。
スプレッドとは、通貨ペアを買う時と売る時の差額のことです。FX取引での実質的な手数料といえます。
特に、アメリカの雇用統計やFRB(連邦準備制度理事会)の政策金利発表後には大きく変動する場合があるため、定期的にニュースを確認することで、損失を最小限に抑えることができます。
SBI FXトレードでは、業界最狭水準のスプレッドを提供しており、コストを抑えての取引が可能です。取引単位が1通貨(一部通貨ペアを除く)となっており、少額の資金から始められるので初心者でも安心です。口座開設は無料でできるので、まずは少額の資金で始めて、投資に慣れていくことから始めてみてください。
SBI FXTRADE
FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
SBI FXTRADEは、スプレッドやスワップポイント、通貨ペア数など、業界最良水準のサービスをご提供しています。また、初心者の方から、上級者までご満足いただける取引ツールをご用意しております。
この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人