円安と円高はどう違う?為替相場の仕組み | SBI FXトレード 

円安と円高はどう違う?為替相場の仕組み

FX初心者ガイド

UPDATE 2024.12.18
POST 2022.04.01

円安と円高はどう違う?為替相場の仕組み

1. 日々変動する為替相場

各国の通貨の価値は、相対評価によって決まります。自国通貨を外国通貨に交換する際の比率は、日々さまざまな要因によって変動しており、これを「変動相場制」と呼びます。

為替相場(為替レート)とは、異なる通貨を交換(売買)する際の比率を指します。為替相場は日々変動し、その交換比率は、相対評価で決まります。

外国通貨の価値が上下に動けば、同時に円の価値も上下に動くのです。

円安や円高は、この価値の変動を示す用語で、例えば日本円と米ドルの取引の場合、「1ドル150円から130円になり、20円、円高になった」などと表現されます。

為替相場では、円安・円高いずれかの流れが一度生じると、その傾向が継続しやすいという特性があり、これを「トレンド(相場の方向性)」といいます。トレンドにうまく乗ることができれば、利益につなげることができるでしょう。

1-1. 円安とは

円安とは、外国の通貨に対して日本円の価値が低くなる(安くなる)ことを意味しています。

例えば「1ドル=120円」とした場合、「1ドルと交換するのに120円必要」と考えてみましょう。仮に、為替変動によって「1ドル=150円」になった場合は、「1ドルと交換するのに150円必要」となります。

この状態は「日本円の価値が下がった」ともいえますし、「米ドルの価値が上がった」ともいえるため、「円安=ドル高」と表現します。

「1ドル=120円」から「1ドル=150円」になるというのは、ドルが高くなった状態なので、円は安くなっているのです。この点を誤解しないようにしましょう。

1-2. 円高とは

円高とは、外国の通貨に対して日本円の価値が上がることを意味しています。円安のケースと同じように考えてみましょう。

例えば、「1ドル=120円」の場合は「1ドルと交換するのに120円必要」な状態です。ここから為替変動で「1ドル=100円」になったとすると、「1ドルと交換するのに100円必要」となり、以前より少ない日本円で1ドルと交換できます。

この状態は「日本円の価値が上がった」といえると同時に、「米ドルの価値が下がった」ともいえるため、「円高=ドル安」と表現します。

円安か円高か迷った際は、「その通貨と交換するのに何円必要か」を基準に考えるとイメージしやすいでしょう。

2. 円安・円高が経済に与える影響

自国通貨である円の価値が上がったり下がったりすることは、経済情勢に大きな影響を及ぼし、国内企業や私たちの生活にも大きな影響を与えます。

では、円安や円高になると具体的にどのような影響をもたらし、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

2-1. 円安のメリット

円安のメリットは、輸出に有利になることです。

円安により、日本円に対して外国の通貨の価値が高くなっているため、外国からすると「日本の製品やサービスを安く買える」状況になります。同じ品質の製品やサービスが安くなることで、需要が増加し、販売が好調になります。

日本では自動車や半導体などの輸出が盛んなため、輸出企業の業績が好調になると株価が上昇し、日本経済全体が好景気になる傾向にあります。また、円安によって外国からの観光客も増加するため、観光・宿泊業界に良い影響をもたらします。

加えて、売り上げを外国の通貨で受け取った場合、日本円に換算することでより多くの日本円を得られるため、売り上げが増加する点も円安のメリットです。

2-2. 円安のデメリット

円安のデメリットは、輸入に不利になることです。

円安により、外国の通貨に対して日本円の価値が低くなっているため、外国の製品やサービスを買う際により多くの日本円が必要になります。輸入企業にとっては「仕入れのコストが高くなる=販売価格も高くなり売れにくくなる」という構図が生じやすく、業績悪化を招く恐れがあります。

特に、大半を輸入に依存しているエネルギー資源や輸入食品の価格が上昇すると、電気代やガソリン代、食料費などが値上がりし、私たち消費者の生活を直撃します。また、日本から海外への旅行も割高になってしまいます。

そのため、円安は消費者感覚ではネガティブな影響が目立つようになります。

2-3. 円高のメリット

円高のメリットは円安の時とは逆で、輸入に有利になることです。

円高になると外国の通貨に対して日本円の価値が高くなっているため、外国の製品やサービスを安く購入できるようになります。輸入企業の仕入れ(コスト)が下がるため、販売価格にも反映され、物価が下がる傾向にあります。価格が下がることで輸入品の売れ行きが良くなり、輸入企業の業績や株価が上昇につながることがあります。

また、電気代やガソリン代、食料品の価格などが下がり、海外旅行にも行きやすくなるため、消費者感覚ではポジティブな影響を感じる機会が多くなります。

2-4. 円高のデメリット

一方、円高のデメリットは輸出に不利になることです。

円高により、外国の通貨に対して日本円の価値が高くなっているため、外国からすると日本の製品やサービスが割高になります。その結果、海外での輸出品の売り上げが減少し、輸出企業の売上高や業績、株価が低迷する傾向にあります。

また、海外から日本への旅行が割高になることで観光客が減少し、観光・宿泊業界も同様に影響を受けます。

さらに、日本経済に大きな影響を与える大企業の多くは輸出を主軸としているため、円高が進むとこれらの企業の業績が悪化し、日本経済全体にネガティブな影響を与える可能性があります。

3. 為替相場が動く要因は?

為替相場が変動し、円安や円高が生じるメカニズムは複雑ですが、主に5つの要因があります。

円安・円高が生じる主な要因

  • 景気
  • 金利
  • 輸出・輸入
  • 財政状況
  • 政治情勢

ここからは、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

3-1. 景気

日本の景気が拡大し、企業の業績が伸びている時は、円高に向かう傾向にあります。好景気の時は円の価値が上昇すると予想され、日本企業の株式や国債(政府が発行する債券)を購入しようとする投資家が増え、円の需要が高まるからです。
一方で、日本の景気が悪化すると円の需要が減少し、円安に向かう傾向にあります。

3-2. 金利

中央銀行(日本の場合は日本銀行)の金融政策による金利の変動も、為替相場に影響を与える重要な要因の一つです。日本の金利が他国よりも高ければ、日本の銀行に預金したり、日本の株を購入したりする投資家が増加するため、円高になります。逆に、金利が低ければ円安に傾きやすくなります。

金利水準は、物価の安定や景気拡大を目的に、各国の中央銀行が金融政策を通じてコントロールすることがあります。

3-3. 輸出・輸入

輸出入も円安や円高に影響する要因です。例えば、日本からアメリカへの輸出が増加すると、日本の物やサービスの代金を支払うためにドルを円に交換する動き(=ドルを売って、円を買う)が増え、円高に向かう傾向にあります。

逆に、アメリカから日本への輸入が増えると、円をドルに交換する動き(=円を売って、ドルを買う)が増えるため、円安に向かいやすくなります。

3-4. 財政状況

国の支出が収入を大きく上回ることを財政赤字といいます。財政赤字が続き、多額の借金が積み上がるなど財政状況が悪化すると、投資家や国債の購入者が減少するため、為替相場は下落しやすくなります。

3-5. 政治情勢

国の政治情勢が不安定になると、為替相場が下落し、安定すると上昇する傾向にあります。戦争に巻き込まれたり、国内で内戦が発生したりすると、その国の経済に大きな影響を及ぼすと懸念され、投資を控える人が増えるためです。

4. FXは円安でも円高でも利益のチャンスがある

外貨預金の場合、外貨を預け入れた時よりも円安に動かなければ、利益は得られません。しかし、FXは外貨の「買い」と「売り」どちらからでも取引を始められるため、円安でも円高でも利益を狙うチャンスがあります。

ここからは、円安の場合と円高の場合、それぞれ詳しい例を見ていきましょう。
為替相場は細かな上下の値動きを繰り返しながら変動します。円安・円高のどちらの局面でも利益が狙えるようにしておけば、取引のチャンスを増やすことができるでしょう。

4-1. 円安の場合

為替相場がこれから円安に動くと予想した場合、「買い」の取引から始めます。日本円と米ドルの取引の例を見てみましょう。

買いから始める場合(円安を予想)

例えば、1ドル=150円の時に円安になると予想してドルを買ったとします。その後、1ドル=160円に上がった時に売れば、1ドルあたり約10円の利益を得ることができます。

逆に、1ドル=140円に下がると、1ドルあたり約10円の損失が発生します。

4-2. 円高の場合

為替相場がこれから円高に動くと予想した場合は、「売り」から取引を開始します。同じく日本円と米ドルの取引の例を見てみましょう。

売りから始める場合(円高を予想)

例えば、1ドル=150円の時に円高になると予想して、ドルを売ったとします。その後、1ドル=140円に下がった時に買い戻せば、1ドルあたり約10円の利益を得ることができます。

逆に、1ドル=160円に上がると、1ドルあたり約10円の損失が発生します。

5. 円安・円高の仕組みを知ってFX投資に活かそう

FXは円安・円高いずれの局面でも利益を狙えるため、収益機会が頻繁に訪れます。円安や円高の仕組みを理解し、今後の取引に活かしましょう。

ただし、為替相場はさまざまな要因で変動します。利益を狙えるチャンスがある一方、予想に反して相場が動くと損失が発生する可能性もあります。そのため、十分な情報を集めた上で、慎重に取引を行うことが重要です。

円安・円高を学んだら、実際にどのように為替が動くのかを確認してみてください。SBI FXトレードは取引単位が1通貨(一部通貨ペアを除く)となっているため、少額の資金で実際にトレードすることも可能です。ぜひ、様々な経済指標による為替動向を生かした取引を経験してみてください。

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この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

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