円安と円高はどう違う?為替相場の仕組み
外貨預金など、一般的な外貨建て金融商品は、円安に動かなければ為替差益を得られません。しかし、FXの場合は円高に動いても為替差益を得ることができます。
この記事では、「円安」と「円高」のそれぞれの違いや為替相場が動く仕組み、FX取引に円安・円高がどう関わるのかなどについてわかりやすく解説します。
仕組みについて理解し、円安・円高、どちらの局面でも利益を狙えるFXの強みを活かした取引を行いましょう。
為替相場は日々変動し続けている
為替相場(為替レート)とは、異なる通貨を交換(売買)する際の交換比率のことです。為替相場は日々変わり続けており、通貨の交換比率は、相対評価で決まります。
外国通貨の価値が上下に動けば、同時に、円の価値も上下に動くのです。
円安や円高は、このときの価値の変動を表しており、例えば日本円と米ドルの取引の場合、「1ドル100円から80円になり、20円、円高になった」などと表現します。
為替相場では、円安・円高いずれかの流れが生じると、その傾向が継続しやすいという特性があり、これを「トレンド(相場の方向性)」といいます。トレンドの流れに乗ることができれば、上手く利益につなげることができるでしょう。
円安とは
円安は、特定の外国通貨に対し、日本円の価値が低くなることを表しています。
日本円と米ドルの場合、1ドル=100円から1ドル=110円になれば「円安」です。これは、元々は1ドルを買うのに100円で済んでいたのに、110円払わなければならなくなるということで、「円安=ドル高」となります。
たとえば、10,000円をドルに両替するとしましょう。
為替相場が1ドル=100円であれば、10,000円で買えるのは100ドルです。しかし、為替相場が変動し、1ドル=110円になれば、10,000円で買えるのは90ドルになります。
1ドル=110円の場合、1ドル=100円のときと比べると同じ10,000円で取得できるドルが少なくなった(=円安)ということです。
円高とは
一方、円高とは、特定の外国通貨に対して日本円の価値が高くなることを表します。
1ドル=100円から1ドル=80円になれば「円高」で、1ドルを買うのに100円かかっていたのが、1ドル80円で買えるようになったということです。円の価値が上がり、ドルの価値が下がったので、「円高=ドル安」となります。
こちらでも、10,000円をドルに両替する例を見てみましょう。
為替相場が1ドル=100円であれば、10,000円で買えるのは100ドルです。しかし、1ドル=80円であれば、10,000円÷80円で125ドルも買うことができます。
1ドル=80円の場合、1ドル=100円のときと比べると同じ10,000円で取得できるドルが多くなった(=円高)ということです。
円安・円高は経済情勢に大きな影響を与える
自国通貨である円の価値が上がったり下がったりすると、経済情勢に大きな影響が表れます。国内企業に影響するほか、私たちの生活にも大きな影響があります。
円安や円高となると、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか、それぞれ見ていきましょう。
円安のメリット・デメリット
円安は、輸出に有利です。輸出品の海外での価格が安くなることで、よく売れるようになります。また、販売代金は外貨で受け取るため、円安の状況では円換算したときに売上高が増加することもメリットです。
日本は自動車メーカーなどの輸出企業が経済的に大きな割合を占めており、輸出企業の業績が上がると好景気になります。
一方で、輸入には不利です。日本はエネルギー資源や食糧の多くを輸入に頼っているため、円の価値が下がり外貨の価値が高くなると、ガソリンや小麦など食品の価格が上昇します。
円安では、景気はよくなるものの、インフレを招く傾向があるといえるでしょう。
円高のメリット・デメリット
円高の場合は、輸入に有利になります。海外の製品やサービスを安く輸入でき、国内の物価が下がるため、消費者としては円高のほうがお得だと感じるかもしれません。より多くの外資を手に入れられるので、海外旅行にも出かけやすくなるでしょう。
反対に、円高は輸出には不利です。輸出品の価格が高くなることで売れにくくなり、輸出企業の業績に影響します。
また、売上の減少にもつながります。たとえば、10ドルの物を輸出した場合、1ドル=100円であれば円に換算したときに1,000円の売上になりますが、1ドル=80円の円高になると売上が800円に下がってしまいます。
急激な円高局面になると国内物価が下がる一方、景気は悪くなりデフレになる傾向があります。
為替相場が動く要因は?円安・円高になる仕組み
為替相場が変動し、円安・円高が起こるメカニズムは複雑ですが、主に以下の5つがあります。
円安・円高が起こるメカニズム
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景気
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金利
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輸出入
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財務状況
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政治情勢
ここからは、為替相場が動く要因ついて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
景気
日本の景気が拡大し、企業の業績が伸びているときは、円高に向かう傾向にあります。好景気のときは円の価値が上昇すると予想でき、日本企業の株や国債(国家が発行する債券)を買おうとする投資家が増加して、円の需要が高まるためです。
一方で、日本の景気が悪化したときには、円の需要が低下するため、円安に向かう傾向にあります。
金利
中央銀行(日本の場合は日本銀行)の金融政策などによる金利の変動も、為替相場が動く要因の一つです。他の国よりも日本のほうが高金利であれば、日本の銀行に預金したり、日本の株を買ったりする投資家が増加するため、円高になります。逆に、金利が低ければ円安に傾きがちです。
金利水準は、物価の安定や景気拡大のため、各国の中央銀行が政策によってコントロールすることがあります。
輸出入
輸出入も、円安や円高に影響する要因です。たとえば、日本からアメリカへの輸出が増加すると、日本の物やサービスの代金を支払うためにドルを円に交換する動き(=ドルを売って、円を買う)が増え、円高に向かう傾向にあります。
逆に、アメリカから日本への輸入が増えると、円をドルに交換する動き(=円を売って、ドルを買う)が増加するため、円安となるのです。
財政状況
国の支出が収入を大きく上回ることを財政赤字といいます。財政赤字が続き、多額の借金が積み上がるなど財政状況が悪くなると、投資を考える人や、国債を買おうとする人が少なくなるため、為替相場は下落しやすくなります。
政治情勢
国の政治情勢が不安定になると為替相場が下落し、安定化すると上昇する傾向にあります。戦争に巻き込まれたり、国内で内戦が起こったりすれば、その国の経済に大きな影響を与えると懸念され、投資を控える人が増えるためです。
FXに円安・円高はどう影響する?
FXは「円安・ドル高」「円高・ドル安」など為替相場の動きを予想し、為替差益を得ることが主な目標です。
円安や円高は利益・損失に直結しているため、仕組みについて十分理解しておく必要があります。思惑と逆の方向に為替相場が動いた場合は損失が発生するため、取引のタイミングは慎重に見極めることが大切です。
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FXは円安でも円高でも収益を狙うチャンスがある
外貨預金などの場合、外貨を預け入れたときよりも円安に動かなければ、利益は得られません。しかし、FXは外貨の「買い」と「売り」どちらからでも取引を始められるため、円安でも円高でも利益を狙うチャンスがあります。
ここからは、円安の場合と円高の場合、それぞれ詳しい例を見ていきましょう。
為替相場は細かな上下の値動きを繰り返しながら動いていきます。円安・円高どちらの局面でも利益が狙えるようにしておくと、取引のチャンスを増やすことができるでしょう。
円安の場合
為替相場がこれから円安に動くと予想した場合、「買い」の取引から始めます。日本円と米ドルの取引の例を見てみましょう。
1ドル=100円の状態から、為替相場が円安になると予想し、ドルを買ったとします。その後、1ドル=110円に上がったときに売れば、1ドルあたり約10円の利益を得ることが可能です。
逆に、1ドル=90円に下がると、1ドルあたり約10円の損失が発生します。
円高の場合
為替相場がこれから円高に動くと予想した場合は、「売り」から取引を開始します。同じく、日本円と米ドルの取引の例を見てみましょう。
1ドル=100円の状態から円高になると予想し、ドルを売ったとします。その後、1ドル=90円に下がったところで買い戻せば、1ドルあたり約10円の利益を得ることが可能です。
反対に、1ドル=110円に上がると、1ドルあたり約10円の損失が発生します。
円安・円高の仕組みを知って取引に活かそう
FXは円安・円高いずれの局面でも利益を狙えるため、収益機会が頻繁に訪れます。円安や円高の仕組みついて理解し、今後の取引に活かしましょう。
なお、為替相場はさまざまな要因で変動します。利益を狙える局面はチャンスである一方、思惑と逆に為替相場が動けば、損失が発生する可能性もあるため、予想に必要な情報を集めたうえで、慎重に取引を行いましょう。