為替ノート
2018/07/09
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米6月雇用統計、失業率上昇は問題なし、賃金伸び悩みが課題
今週6日発表の米6月雇用統計、結果
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
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非農業部門就業者数(万人) | 17.6 | 32.4 | 15.5 | 17.5 | 24.4 | 21.3 |
失業率(%) | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 3.9 | 3.8 | 4.0 |
時間給賃金(前月比) | 0.3% | 0.1% | 0.2% | 0.1% | 0.3% | 0.2% |
時間制給賃金(前年比) | 2.8% | 2.6% | 2.6% | 2.6% | 2.7% | 2.7% |
先週末発表の米6月雇用統計は、非農業部門就業者数が21.3万人増と予想(19.5万人)を上回ったほか、5月、4月分の就業者数も上方修正されました。この結果、直近3ヵ月の就業者数は21.0万人超となり、労働市場の堅調が続いていることが確認されました。
一方で失業率は前月の3.8%から3ヵ月ぶりに4.0%台へ上昇しましたが、既に職に就いているか、求職中の成人の割合を示す労働参加率が62.9%と前月(62.7%)から上昇したことが影響しており、労働参加率の上昇がなければ失業率は50年ぶりの低水準にまで改善が進んでいた可能性もあったとして、失業率の上昇は懸念する状況にはない、というのが市場の一般的な見方となっています。中でも25歳~54歳の労働参加率は79.3%に達するなど、2009年7月から始まった今回の景気拡大局面で最高水準となり、労働市場の堅調を確認する結果となりました。
米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)
6月FOMCで示された経済見通しでは、自然失業率の予想が4.1%~4.7%とされており、今回、失業率が3ヵ月ぶりに4.0%台へ上昇したものの、FRB当局者が長期的なインフレの進行や資産バブルを招かずに持続可能な経済成長の目安とされる水準を下回っており、FRBの金融政策には影響することはないだろうというのが市場の一般的な見方となりました。
先月20日にポルトガルで開催された金融フォーラムに参加したパウエルFRB議長は、労働市場の引締まりは、より多くの米国民の労働市場への復帰を促し、生産性改善およびインフレ加速を伴わない生産拡大につながる可能性もある、と述べており、こうした発言を裏付ける結果となりました。
米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)
また、時間給賃金は前月比+0.2%と前月(+0.3%)から低下、前年比も+2.7%と前月から横ばいとなり、市場予想(+2.8%)を下回るなど賃金の上昇をきっかけにするインフレ加速への兆候は確認されませんでした。労働市場の逼迫がどの程度のペースで物価上昇につながり、持続的な賃金増へ結びつくのか、今後の焦点となりそうです。
また、トランプ大統領の保護主義的な通商政策による一部輸入製品の上昇が企業の設備投資や雇用、さらには従業員への給与に影響を及ぼすことはないのか、各国の報復関税措置の影響も含めて今後の動向には注意が必要です。
6月雇用統計のポイント
今後のドルの行方を占う上での注目点
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