暗号資産市場レポート

暗号資産はマクロ環境に沿って下落したが、まだ下落幅は限定的

2023年03月02日 更新

先週のハイライト

  • ・インフレ懸念の再燃から、BTCなどの主要暗号資産は下落に転じたが、依然として他のアセットよりもアウトパフォームしている
  • ・BTCは金曜日に23,500ドルのサポートレベルを下回る
  • ・BTCの対ドルベーシスは低下した一方、ETHは堅調に推移し特に6月限月は非常に底堅い
  • ・上サイドのストライクのオプションは売りに転じ、オプション市場のセンチメントは変化
  • ・スポットとボラティリティは正の相関を維持している

先週の動き

先週は強い米経済指標を受けてインフレ懸念の再燃から暗号資産は下落。金曜日には米金利上昇、米ドル高、米株下落となるなか、BTCは23,500ドルを割り込んだが、下落する過程であまり新規の買いが見られず、マクロ的な要因に沿って動いていたように見える。米株式市場はどちらかと言えば楽観的な見通しを織り込んでいたため、この1週間で見通しが修正されたことが暗号資産市場にも重しとなったようだ。FOMC議事要旨では前回の25ベーシスの利上げ決定に対する反対意見はほぼ見られなかったものの、それでも最近の雇用や物価関連の経済指標は暗号資産が上昇を続けるには強すぎたのだろう。
先週のフローは先々週同様にETHよりもBTCに買いが集まり、3月のETHの上海アップグレードに向けて市場が様子見姿勢を強めている様子が伺えた。また、SOL、ADA、MATICに強い買いが入る一方、XTZ、BNBには強い売りが見られた。地域別ではアジア圏では買いが優勢となり、カテゴリー別では海外取引所とファンドが再び最大の買い手となった。 暗号資産先物市場では先々週に比べてBTCの対ドルベーシスが軟化する一方、ETHの対ドルベーシスは堅調となっている。特に6月限月のETHの上昇が顕著でBinanceでは5%から8%まで大きく動いている。これは、3月に予定されている上海アップグレード後のETHの上昇を狙った事前準備の可能性がある。
暗号資産オプション市場は先週半ばに大きく様相が変化した。週前半はATMや上サイドストライクのオプションを買う市場参加者がほとんどだったものの、週の半ばにある市場参加者が2月24日行使期日の26,000ドルストライクのオプションを700BTCほど売却を行ったことで、それ以降は買いの勢いがなくなったように見えている。週後半には6月限月のオプションの売り圧力が大きくなったことに加え、金曜には1週間物の23,000ドルストライク、23,500ドルストライク、24,000ドルストライクのオプションを一度に合計700BTC売るフローが見られた。また、3月限月のATMオプションの大口の売りも観測されている。実際に週末にはスポットの値動きが限定的になったため、これらの売りを行った市場参加者は今のところ上手くいっているように見える。スポットとボラティリティが正の相関を維持するなかで、BTCのリスクリバーサルは上下ほぼフラット、ETHは引き続き下高を維持しているのはやや不可解に感じる。

今週の展望

最近の暗号資産の上昇が昨年末に構築されたBTCのショートがカットさせられただけだと考えるなら、25,000ドルから23,500ドルの下落でほぼ買いが入ってこなかったということには納得感がある。これで一旦ポジションが軽くなったと考えるなら、今後の暗号資産の値動きはマクロ環境に沿った動きとなることが予想され、前述のとおり、ETHの上海アップグレードに係る動向や価格への影響を注視するべきだと考える。

提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。

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