暗号資産市場レポート

Slowな展開 ~オプション市場の取引が示唆するものは?~

2022年04月19日 更新

先週のハイライト

  • ●週初に一時的に売り込まれるも、その後の動きはスロー
  • ●短期ボラティリティはスポット下落で一時上昇も、長期ボラティリティは安定
  • ●オプション市場では、下方向の取引が活発
  • ●暗号資産先物市場の米ドルのベーシスは低下後、横ばいで推移

先週の動き

先週初めに、ビットコインは43,000ドル台から39,200ドル付近まで下落、その後はイースター休暇にかけてレンジ内の取引となった。41,000ドルを超えて急激に上昇した動きが一時的であったことは、注目すべき点であった。イーサリアムも3,100ドル台に戻した局面もあったが、ビットコイン同様に売り戻された。他の暗号資産では、SOL(ソラナ)が99ドル~107ドルのレンジ取引後の週明けに、95ドルを一時的に割り込み、その後103ドルまで急反発するボラティリティの高い動きをしていることが特徴的であった。

売買動向を見ると、ビットコインとイーサリアムはかなりバランスが取れていることが伺える。他の暗号資産を見ると、XLM(ステラルーメン)、MAT(ポリゴン)、ADA(カルダノ)の買いが優勢であり、特筆すべきは、ステラルーメンが大幅に買い越されていることだ。顧客カテゴリー別では、個人を除く全てのカテゴリーにおいて買いが優勢であり、特に海外取引所とファミリーオフィスの買いが目立っている。地域別に見ると、アジア圏と欧州・中東圏の買いが顕著であり、米国圏においては売りが若干優勢であった。

暗号資産先物市場の最近の動向は、スポット価格の動きにフォローしていることが見られる。ビットコインスポット価格の下落を受けて、3ヶ月物ベーシスも3~4.25%から2~3.5%に低下、その後は横ばいで安定してきている。イーサリアム3ヶ月物ベーシスも2.5~3.5%から1.5~2.5%に低下、その後は同様の動きを見せている。

先週初めのビットコインの大幅下落を受けて、1週間物ATM(アット・ザ・マネー)ボラティリティは49%から59%へと上昇。しかし、1ヶ月物ATMの55%前後での安定した動きを受け、1週間物ATMも45.5%まで下がり、その後は50%台前半で推移。長期物オプションは比較的安定しており、3ヶ月物ATMは65%から62.6%へとわずかな低下だけを見せた。全ての期限においてプットサイド(下方向のストライク)の取引が活発であることを見れば、次の市場の期待する動きは下方向なのかもしれない。また、イーサリアムのオプション市場にも同様な動きが見られてきている。

今後の展望

イースターマンデーの4月18日に、ビットコインとイーサリアムは、それぞれ40,000ドルと3,000ドルを割り込んだが、その後は比較的安定した動きを見せている。オプション市場において、下落方向へのポジショニングの取引が出てきていることを踏まえると、今のこの静かさは、下落前の静けさになるのだろうか? 市場参加者が戻るイースター休暇明けの今週の動きに注目していきたいところだ。

提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。

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