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2021年01月27日 更新

なぜビットコインはポートフォリオに組み込まれたのか?何のために買われているのか?

以前、彩湖にサイクリングに行った時の話しです。彩湖とは正式には荒川第一調節池といって戸田市にある貯水場で、外環自動車道の戸田と和光の間の幸魂大橋の真下辺りにあります。増水時に一時的に水を流して洪水を防ぎます。2019年の台風20号の時に東京の下町や川口が洪水にならなかったのは、最後にこの彩湖に水を入れたからでした(もちろん、公園などは水没します)が、川口の我が家からもそのサイレンが聞こえました。因みに、日本で一番長い川は信濃川ですが、川幅が広いのは荒川で、出来るだけ上流で水を食い止めて、下流に被害が出にくくしているのだと思います。
レンタサイクルもあるので、前から子供たちが自転車に乗れるようになったら連れて来ようと思ってましたが、いくつか驚いたことがありました。まず、その広さ。公園自体は66万平方メートルで東京で言えば新宿御苑と葛西臨海公園の間くらいの広さなのですが、彩湖を周回するサイクリングコースや荒川彩湖公園、さくら草公園、秋ヶ瀬公園と、いったいどこまで公園が続いているのか良く分からなくなってきます。また、ドッグランやキャンプ場、サッカー場、釣り堀なんかが整備されていて、小規模ですが淡水の水族館まであります。すると遊具もかなり整備されていて、息子たちはサイクリングそっちのけで遊び続けていました。
下の娘は家内と一緒に回りを自転車でグルグルしたりもするのですが、長男は周りの子供たちと意気投合して遊び続けます。息子はともかく鬼ごっこが好きで、公園に行くと見ず知らずの小学生を見つけては仲間に入れてもらって鬼ごっこをしたがるのですが、今回も何人かでグループになって遊んでいます。中でも小学1年生くらいの女の子と仲良くなって、鬼ごっこで一緒に逃げたり、自転車に乗ってどこかに行ったり、色々と楽しんでいる様でした。水族館の閉館時間が近づいたので一足先に帰ろうとすると「じゃあねー、バイバイ」と意外とあっさりと帰ってきました。それでも、あの子と仲良くなったんだけど、また来るって言ってるんだよね、などと切ない約束をしてきています。同じ公園で会う確率はそう高くないですが、いつか天気の良い日にまた連れてきてあげるつもりです。

先日、Bloombergが、JPモルガンのクロスアセットストラテジストのジョン・ノルマンドとフェデリコ・マニカルディが「市場の深刻なストレスの時期に最も信頼性の低いヘッジ」であるとし、政策ショックを心配している投資家への答えとしてビットコインの魅力を認めたが、チームは、ビットコインがすぐに従来の防御資産のように振る舞うことはないと警告した旨報じました。これを受けてCointelegraphは「仮想通貨保有のメインストリーム化は、循環資産との相関関係を高め、潜在的にそれらを保険からレバレッジに変えてしまっている」とし、Coinpostは「価格の調整局面など市場にストレスがかかっている状態では、BTCは信頼できるヘッジ手段として機能しない」と述べています。BTCはヘッジに効かない、と書いているように読めます。この種の議論では、以前にもコメントしています。

ほぼ2年前、BTCは通常時にはリスクアセットとして株などと似た動きをするが、国の財政状態が悪化したり、中央銀行への信認が低下したりといった場合は代替アセットが選好され、そうした意味で法定通貨に対しての逃避資産だと述べました。(「ついに判明か?ビットコインはリスクアセットか逃避資産か」)。その当時、リスクアセットかそうでないかの2択で議論される場合が多く、例えば昨年の3月など、市場に急激なショックがかかると人々は現金化に走り、そうした中、何者かが分からないBTCは結構な勢いで売られがちでした。そこでBTC神話が薄れた、ヘッジ資産ではなかったと言われることもありました。しかし、その後の超リフレ政策下で、我先にとBTCが購入されるようになりました。
この時、BTCはリスクアセットだが、法定通貨に対しては逃避資産となる、という頭の整理が出来ていれば、BTC神話が崩れることも、再復活することもなかったかもしれません。そもそもBTCは、まだ貨幣の3機能(価値尺度・価値保存・流通手段)は備えているとはいい難いかもしれませんが、貨幣として選ばれる4条件(運搬性・保存性・等質性・分割性)では、金どころか紙幣にも優れているという面で、お金の候補であると考えます。そのもの自体に価値がないことも貨幣として流通する重要な特徴です。他方、発行額がプログラムで決められているということは、法定通貨との比較で最大の特徴となっています(金は一見発掘量に上限があるように見えますが、現状コストが見合わず採掘が見送られているものも多くあり、例えば金を海水から抽出することがコスト的に可能となれば、埋蔵量は何百倍にも膨れ上がることになります。)。

「仮想通貨とは何なのか~欲望の貨幣論2019を視て」では、この点を「『21世紀の貨幣論』を著したフェリックス・マーティン氏は仮想通貨への人気を社会契約論のジョン・ロックの貨幣観の回帰だと指摘しました。ロックの貨幣観とは、「貨幣システムは 厳密かつシンプルなルールに従うべきだ」というもので、通貨の発行量は中央銀行金庫にある金(ゴールド)の量に依存するべしとするものだ」と記しています。しかしその中央銀行への信認が低下すると貨幣観が変わるのではないでしょうか。
前記のJPモルガンのレポートは、BTCは株と相関が高く、相場が崩れる時に真っ先にクラッシュを起こして「保険」どころか「レバレッジ」投資をしているようなものとする一方で、「政策ショックを心配している投資家への答えとしてビットコインの魅力を認め」ています。BTCは通常時はリスクアセットだが法定通貨への信頼が揺らぐ場面において逃避資産として働く、ということを示唆しているのだと考えています。

さて鬼ごっこが大好きな息子ですが、問題があります。鬼ごっこが大好きなのに、鬼をやるのが大嫌いなのです。小学生相手になかなか捕まえられないと泣き出したりしたこともありました。そう言えば、赤ん坊のころからすぐゲージを抜けだしたりしていました。どうやら、うちの子には逃避癖があるのかもしれませんね。

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