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2020年12月22日 更新

なぜ日本はビットコイン相場に乗り遅れたのか?大学でも習わない重要な事実

日曜日にカレーを作りました。我が家では日曜日の夕食を小職が担当することが良くあります。きっかけは、緊急事態宣言で期間中、近くのスーパーの和牛価格が下がったのですき焼きを良くするようになったからでした。約3か月の単身生活中は、A5和牛のすき焼きが楽しみでした。もちろん、毎日ではありませんし、しゃぶしゃぶの日もありました。緊急事態宣言明けに実家で足止めされていた家族が戻りふるまったところ、家内と長女には好評だったのですが、5歳の長男は肉が苦手でうどんしか食べません。それではと豚バラと野菜を買ってきてラーメン鍋を作る時もあります。この時も息子はメンしか食べてくれません。たこ焼きを作る時もあります。ただ、子供たちはタコが苦手で、タコ無しのたこ焼きを作らされる始末です。今週は、ならばお好み焼きと焼きそばを作ろうと提案したところ、子供たちから食べたくなーいとダメだしされてしまいました。じゃあ、何だったら食べるんだと聞いたところ、カレーがいいと言い出します。そこで子供用のレトルトカレーを購入しようとする家内を制止して、カレーを作ることにしました。

自分で言うのも何なのですが、小職の作るカレーはおいしいと思います。カレーを作り始めたのはバンコク時代に夜間外出禁止令が出た時でした。作ってみるとこれが意外においしく、そのまま年200日はカレーを食べ続けました。4月の緊急事態宣言下でもほぼ毎日作り続けました。それだけ作り続けると、色々と研究してうまくなるものです。今回は子供用に薄い豚バラ肉と大人用のブロック肉をミックス、甘めにするためにニンジンを大目にし、(大人の場合)複数のルーをブレンドした方が深みが出るので、バーモンドカレーの甘口とカレーの王子様をブレンドしてみました。最初は焦げが残っているのを嫌がった息子ですが、一口食べてみると、うまい、うまいと小さな器ながら3杯食べ、それを真似して長女も2杯食べるなど大人気でした。

カレーはともかく、最近、BTC人気には驚かされますが、ヘッドラインの多くは欧米のもので、日本での盛り上がりに欠ける印象があるのは小職だけではないと思います。ポール・チューダー、ドラッケンミラー・レイ・ダリオ、ラリー・フィンク、アラン・ハワードと出でてくるのはいずれも欧米の投資家、今朝方はテスラのイーロン・マスク氏にMicroStrategyのマイケル・セイラー氏がBTC投資を勧めたりもしていました。大物ラッパーのカニエ・ウエスト氏やゲーム・オブ・スローンズのアリア・スターク役のメイジー・ウィリアム氏もビットコイン投資を明らかにした。これに対し、国内では交換所界隈はその関連した企業では盛り上がっていますが、それ以外では殆ど話題にもなっていない気もします。上は主要マスコミの2万ドル突破時の報道で、淡白な印象です。

即ち、米国ではコロナ下での想像を絶する財政支出と中央銀行の無制限の国債買入にウォーレン・バフェットまで金鉱株を買うほどインフレヘッジが話題になっているのに、日本ではさっぱりです。ご存じの通り財政の破綻度合いでは日本が群を抜いているのに、この危機感の無さはどこから来るのか、失われた20年で赤字に慣れてしまったのか、江戸時代以来の「お上」意識のせいなのか、常に疑問でした。今回、BTC投資を初めたイギリスのRufferという投資会社を調べて少し分かった気がしました。ルカ・ガキッチという投資ダイレクターは1992年に6歳の時にサラエボからロンドンに渡ってきた難民出身で、彼が生まれて6年間でユーゴスラビアディナールは28万分となり、翌93年には1ドルは1.7兆ディナールになっていたそうです。インフレヘッジの主流の米国はハイパーインフレを経験したことがありませんが、おそらくは南米で財産が一夜にして紙くずに変った人々を身近で見てきたことなのでしょう。

これに対し、日本では非常に重要なことがあまり教えられなかったことに気づきました。それは、太平洋戦争の膨大の戦費をどうやって工面したのかです。まじめな学生ではなかったせいかもしれませんが、小職が通った大学の経済学部では教えてもらった覚えはありません。戦争中は経済を統制しただけでなく、国債を日銀が直接引き受け、また戦時国債を個人に売りつけて資金を調達していました。Wikipediaによれば第二次世界大戦中の大日本帝国政府の借入金総額は国家財政の約9倍に達していたそうです(今よりましですが)。戦後、これを何とかしようと、まず預金を封鎖(新円切替)、そして最高税率90%の財産税を課しました。しかし国債がデフォルトせずに償還で来た最大の要因は、1945年の水準からみて1949年に約70倍というハイパーインフレが発生したからです(100倍と言う説もある模様)。債務者からすればインフレが100倍になれば収入も100倍近くになるので、借金の返済負担は実質1/100で済みます。よく日本国債は日本人が保有しているからインフレは起きないと言った話が聞かれますが、確かによく海外で見られる自国通貨が暴落して輸入物価が急騰するリスクは比較的少ないかもしれません。しかし借金がある一定の水準を超えると金利が支払えなくなります。2020年度末の国・地方の借金は1182兆円、金利が1%で11兆円の利払い増です。これが最終的にどうなるか、まだ分かりませんが、ゼロ金利で国債を発行させて日銀が買い取るオペレーションは永遠には続けられません。しかし景気を良くして金利を引き上げることは、もう難しくなりつつあり、次にインフレが起きた時に打つ薬はありません。国が債務者でも国民が債権者だから差し引きチャラだというのは実は恐ろしい事を示していてで、例えば親からお金を借りていた子供がその債権を相続すれば混同と言ってチャラになりますが、国民と政府の場合、国民の債権、すなわち銀行預金や保険年金と国の債務が実質的に相殺される可能性がある訳です。最悪のケースは徳政令、すなわちデフォルトですが、実際に戦後に起こったのは預金封鎖とハイパーインフレでした。これで債権者だった日本の富裕層は壊滅、土地神話が始まる訳です。

ただ、長年デフレに苦しんだ日本が突然ハイパーインフレになるとはちょっと想像しにくいのですが、だからと言ってノーヘッジで良いという訳ではないと思います。特に住宅ローンなど借金が無い人はインフレに弱いので、少しはポール・チューダーを見習ってヘッジをかけておいた方がいいのではないか、そういうことです。

因みに家内はどうせ小職の作るカレーなど子供はそんなに食べないと踏んでいたのか、ご飯をあまり多く炊いておらず、その割に子供がバクバク食べるので、我々大人のご飯が足らなくなるという事態が発生しました。カレーをする時は、ヘッジでご飯を多めに炊いておくか、ご飯が無くなった時のヘッジとして冷凍うどんを用意しておくことをお勧めします。

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