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2020年09月15日 更新

ビットコイン、イーサリアムの乱高下を導いたDeFiブームに潜む光と影

ある日、家に帰ると息子がトランプをしようと言ってきました。何ができるか聞くと、幼稚園でババ抜きと神経衰弱をやっていると言います。そこで、神経衰弱をしたところ、なんと5歳の息子に初戦で負けてしまいました。そこから気合を入れ直して2連勝となんとか大人の貫録を見せつけました。しかし、例えばA1の場所が分かっていて、相手がA2をめくって失敗したら、まず覚えているA1をめくって間違えていないことを確認してから、次に相手がめくったA2をめくるとか、すでに判明している同じカードペアがなければ、まず誰もめくっていないカードから先にめくって、覚えているカードと同じものが出るか試してみるだとか、神経衰弱で大人ならば誰でも知っているセオリーを幼い息子はまだ理解していません。それどころか、息子は、幼稚園では自分はダマしの天才だとポーカーフェースを気取っていますが、小職がうろ覚えでも息子の態度を見ればお目当てのカードがどこにあるか何となくわかってしまいます。結局、大人の狡さで勝ったものの、単純な記憶力ではそろそろ追い付かれてしまっているのかもしれません。

子供ダマしとは言いませんがDeFiブームの中で、問題が露見しているプロジェクトも出てきています。スマートコントラクトにロックした筈の資金を持ち逃げする酷い話も聞きますし、イールドファーミングも借りる方に実需があるならばいいのですが、安く借りて高く貸すことを目的にした人だけで成り立つ市場は、要は先に入った人が後から入った人からお金を得る仕組みで長続きしません。価値があるのかよくわからないトークンが急騰、急落するのも先に買った人が後から入る人からお金を貰える例の仕組みそっくりです。先日もSushiswapの創始者が自らのトークンを売り抜けようとしたことは記憶に新しいところです。よくプロジェクトが監査を受けているか否かが重要と言われています。しかし、リーマンショックの時に、CDOといったサブプライムローンの上積みを集めて格付け会社にAAAなど高格付けを付けさせていた事例が横行したことで事態が深刻化しました。そもそも、運営側が依頼して行った監査をどこまで信じてよいのかは疑問が残り、無いよりあった方が良い程度と考えるべきでしょう。

DeFiには2つの側面があると思います。即ち、非中央集権で仲介者がおらず手数料が安くなるという面と(建前上)管理者がおらず所属する国がなく、どこの国の規制にも縛られないという面です。それ故、参加者が自由にトークンを上場させることが出来ます。国際的に規制が整備されている日本の投資家からすれば垂涎の的、一刻でも早く参加しなければ乗り遅れる、、、果たしてそうでしょうか。暗号資産を交換所で取り扱う際に厳格な審査を行っているのは、一重に詐欺的なプロジェクトにアマチュア投資家が巻き込まれて大損しないように利用者保護の観点から定められたものです。即ち、規制と言うのは投資家を守るためにあるもので、それが無いDeFiに参加するということは、そうした保護が受けられなくなることを意味します。前述の出口詐欺に遭ったとしても、果たして守ってくれる警察や裁判所があるのかさえ良く分かりません。では、きちんとした交換所や企業が運営するDEXなら安心できるのかと言えば、そうした運営者がいないことがDeFiのメリットだったはずです。それでも仲介者のいない金融取引と言うのは、仲介者を要さない国際送金が小口の送金ニーズを掘り起こすように、新しい金融の形と実需取引を産み出すかもしれません。個人的には巷に溢れる暗号資産デリバティブをきちんと現物とリンクした先物市場にする、即ち良く分からない建玉手数料を払ってクローズドな交換所内でショートを振るのではなく、きちんと市場から玉を借りてきて空売りをするようになるのであれば大成功だし、それ以外の思いつかないような実需も見えてくるかもしれません。そうした将来性には期待しますが、冷静になってDeFiに参加すれば儲かるというようなうまい話は存在し得ないという金融の基本に立ち返るべきでしょう。これは、金融業界が何度も通ってきた道なのです。

ところで、今週、息子はもう一つ、水中眼鏡をかけて水の中に顔を付けることが出来るようになりました。早速、プールに連れて行くと、5メートルですがバタ足で泳げるようになっていました。そこで、小職とどちらが長く潜っていられるか競走したところ、なんと負けてしまいました。長年の喫煙のせいかと反省しつつ、もう一度、真剣におそらくは30秒以上は潜ってみたのですが、小職が顔を上げてすぐ後に息子が顔を上げて、小職の2連敗です。3度目は水中眼鏡で息子の様子を伺ってみると、何のことはない、息子は小職が水中から顔を上げるまで何度も何度も水中に顔を入れては上げるのを繰り返していたのです。そりゃ、小職が顔を上げる瞬間に顔を入れれば負ける訳がありません。そうでした、息子はダマしの天才だったことをうっかり忘れていました。

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