UPDATE 2025.02.17
POST 2025.02.17
FXに興味を持ち調べていく中で、「スワップポイント」という言葉を目にして、その仕組みが気になっている方も多いのではないでしょうか。
スワップポイントを有効活用することで、より多くの利益を得られるようになります。ただし、状況によっては損失になることもあるため、スワップポイントの仕組みをしっかり理解しておくことが大切です。
今回は、FXのスワップポイントについて、その仕組みやメリット、注意点を解説します。ぜひトレードに役立ててみてください。
FXを始めたばかりの初心者の中には、スワップポイントが「どんな仕組みで、どのように付与されるのか」を理解できていない方もいるでしょう。ここでは、FXにおけるスワップポイントについての仕組みや、付与されるタイミングについて解説します。スワップポイントの基本的な部分なので、ぜひ覚えてトレードに活かしてみてください。
スワップポイントとは、取引する通貨で発生する「金利差調整額(通貨やFX会社によって異なる)」のことです。FXでは、トレードをすることで得られる為替差損益に加えて、通貨間で発生するスワップポイントの受払いが発生します。各通貨には国が定めた金利があり、異なる金利の通貨でトレードする際にその差額が生じます。
例えば、低金利の日本円を売り、高金利の通貨(メキシコペソ・南アフリカランドなど)を買うことで、基本的に毎日スワップポイントを受け取れます。そのため、スワップポイントを狙うトレーダーは、中長期のスイングトレードやポジショントレードを行うのが一般的です。
スワップポイントは、金利の高い通貨の買い・金利の低い通貨の売りポジションを保有しているだけで1日あたり数円〜数百円ほど得られるメリットがあります。しかし、低金利の通貨を買って高金利の通貨を売る場合は、逆にスワップポイントを支払う必要があるため、注意が必要です。
スワップポイントの付与を狙う場合、ロールオーバー(ポジションを翌日営業日まで持ち越すこと)が必要です。ロールオーバーが行われるタイミングはFX会社によって異なりますが、ニューヨーク市場がクローズする日本時間午前6時半以降(米国夏時間では午前5時半以降)となります。
スワップポイントは、ポジションを保有したままロールオーバーすれば自動的に付与されるため、特別な手続きをする必要はありません。付与日数によって付与されるスワップポイントが変わってきます。土日や祝日に発生するスワップポイントは事前にまとめて付与されます。
スワップポイントの付与額は、各FX会社の「スワップポイントカレンダー」で確認できます。FX会社によってスワップポイントの設定が異なるため、比較して選んでみるのも良いでしょう。特にスイングトレードやポジショントレードを行う際は、事前に確認することをおすすめします。
スワップポイントを目的とした運用には、主に2つのメリットがあります。1つ目は「中長期的な運用がしやすい」こと、2つ目は「ポジションを持っているだけでスワップポイントが付与される」ことです。スワップポイント狙いの運用は、初心者だけではなく、中長期的なスイングトレードやポジショントレードをメインで行う方にも大きなメリットがあると言えるでしょう。
スワップポイントを目的とした運用は中長期的なトレードが前提なので、ポジションの保有期間が長いほど得られる利益も大きくなります。しかし、中長期で保有すると、相場の状況によっては為替差損益がマイナスになる可能性もあります。
ただし、スワップポイントが毎日発生するため中長期的な変動のリスクを軽減できます。さらに、ポジションを増やすことができれば、より多くのスワップポイントが得られます。場合によっては、スワップポイントで為替差損を補填できることもあります。
特に、知識や経験も浅い初心者が中長期のスイングトレードやポジショントレードを行う際には、スワップポイントの存在が心強い味方になってくれるでしょう。スワップポイントは中長期的トレードにおいて、非常に運用がしやすいといえます。
スワップポイントの魅力は、ポジションを持っているだけで付与される点にあります。どれだけ相場が変動しようとも、FX会社ごとに決められたスワップポイントが自動的に付与されます。エントリーしたタイミングが良ければ、為替差益に加えて日々のスワップポイントでコツコツと利益を積み上げることができます。
現在の日本は低金利状態が続いており、銀行に預金しても少額の利息しか得られません。しかし、スワップポイントを運用すれば、逆にこの低金利の日本円が強みになります。現状で日本よりも高金利な通貨は多く、スワップポイントが得られるチャンスが広がっています。
1度エントリーして保有し続けるだけで、毎日のように利益が積み上がるスワップポイントの運用は、初心者にもおすすめの手法です。ただし、為替差損のリスクも考慮し、損失を抑えられるエントリーポイントを見つけることも忘れないようにしてください。
スワップポイントを目的とした運用にはメリットばかりではなく、注意すべき点も把握しておくことが重要です。スワップポイント運用においては、主に「スワップの支払い」「変動リスク」「税金」という3つの注意点があります。これらを事前に把握し、適切に対策を講じることで、スワップポイント目的で運用する際の損失を最小限に抑えることが可能です。
スワップポイント目的の運用で注意すべき点の1つは、対円で外国通貨を売ると逆にスワップポイントの支払いが生じてしまうケースがあるということです。スワップポイントを得るためには、金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨の買いポジションを保有しなければいけません。現在、円金利は、ほとんどの通貨の金利より低くなってはいますが、注意が必要です。
実際に各FX会社のスワップポイントを確認してみてください。対円で他通貨を売る場合、スワップポイントが「-(マイナス)」になっているはずです。つまり、対円での売りポジションを長期保有すると、為替差損益だけではなくスワップポイントの支払いも増えてしまう可能性があります。
このように対円での売りポジションを持つことで、スワップポイントの支払いが発生することがあるため覚えておきましょう。対円においてスワップポイントを得るには、買いポジションのエントリーポイントを慎重に検討することが重要です。なお 、FX会社によっては期間限定のキャンペーンでスワップポイントが同額になる場合があるため、お知らせなどを定期的に確認してみて下さい。
スワップポイント目的の運用は魅力的ですが、高金利な通貨ほど為替変動リスクが高いことを理解してトレードする必要があります。確かに、高金利な通貨になるほどスワップポイントを多く得られるため、長期保有するほど利益が上がることは事実です。
しかし、高金利な通貨ほど為替変動が大きくなるリスクを持っており、その多くは、今後の成長が期待される新興国通貨(トルコリラ・南アフリカランドなど)です。新興国は先進国に比べて経済基盤が弱く、安定性にも欠けるため、価格が変動しやすいという特徴があります。
経済力が弱く安定していない上に、金利が低ければ資金が集まらないでしょう。そのため、少しでも投資家からの資金を集めて自国を成長させるために、金利を上げて資金を募っている状況といえます。このような高金利通貨を長期保有する際は、為替変動リスクを十分に考慮したトレード戦略が必要になります。
スワップポイントで得た利益も、為替差益と同様に課税対象になることも忘れてはいけません。為替差益やスワップポイントには、一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。
スワップポイントが課税されるタイミングは、個人口座であれば決済後に受け取った時点ですが、法人口座の場合はその限りではありません。例えば、個人口座でポジションを決済せずに保有し続けているだけであれば、その間のスワップポイントは課税対象になりません。ただし、いずれにしてもスワップポイントは課税対象になるため、その点をしっかり把握しておきましょう。
中長期保有を前提としたスワップポイント目的の運用では、レバレッジにも注意が必要です。レバレッジとは「てこの原理」とも呼ばれ、自己資金以上の金額で取引ができる仕組みのことです。レバレッジを高く設定すれば、少額の資金で大きな利益を得やすくなります。
しかし、その分損失も大きくなるというデメリットがあります。スワップポイント目的の運用ではレバレッジを低く設定し、リスクを抑えて取引するのが基本です。レバレッジが高い状態で相場が大きく変動すると、ロスカット(強制決済)になってしまう可能性が高まります。
ロスカットが発生すればポジションが解消され、スワップポイントが付与されなくなります。また、資金も減らしてしまうことになるでしょう。スワップポイント目的で運用する場合は、リスクを軽減するためにもレバレッジを低く抑えることが重要です。
FXのスワップ金利生活とは、スワップポイントで得た利益で生活費の一部を賄う生活のことです。スワップポイントは、10,000通貨を保有していると数円~数百円を得ることができます。
例えば、米ドル/円を10,000通貨保有していた場合に発生したスワップポイントが100円だったと仮定します。1ヶ月(31日と仮定)保有すれば3,100円、1年保有すれば36,500円のスワップポイントが付与されます。100,000通貨保有すれば1ヶ月で31,000円、1年で365,000円、1,000,000通貨保有すれば1ヶ月で310,000円、1年で3,650,000円となります。
このように、取引数量を増やすことで、スワップ金利生活を実現することも可能です。しかし、取引数量が増えると為替変動リスクも大きくなるため、その点には十分注意が必要です。
スワップポイントが実際にいくらもらえるのか気になる方も多いでしょう。今回は米ドル/円・ユーロ/円・ユーロ/米ドル・メキシコペソ/円の4つの通貨ペアでシミュレーション比較(あくまで参考値)しています。特に初心者の方には、スワップポイントを目的に運用する際のイメージをつかみやすくなるでしょう。運用する際の参考にしてみてください。
米ドル/円は、初心者でもトレードしやすい通貨ペアです。比較的緩やかな値動きをしていながら、一定の変動幅も期待できます。
米ドル/円のスワップポイントをシミュレーションした結果は、以下の通りです。
※シミュレーション条件:米ドル/円レート152.5165円(2024年12月時点)
取引数量(通貨) | 取引必要証拠金 | スワップポイント(1ヶ月) | スワップポイント(1年) |
---|---|---|---|
10,000 | 61,007円 | 5,490円 | 66,795円 |
100,000 | 610,006円 | 54,900円 | 667,950円 |
1,000,000 | 6,100,660円 | 549,000円 | 6,679,500円 |
ユーロ/円は、米ドル/円に比べて値動きが大きい通貨ペアです。大きな利益が狙える一方で、損失を抱えるリスクも高いため、初心者は注意が必要です。
ユーロ/円のスワップポイントをシミュレーションした結果は、以下の通りです。
※シミュレーション条件:ユーロ/円レート160.0758円(2024年12月時点)
取引数量(通貨) | 取引必要証拠金 | スワップポイント(1ヶ月) | スワップポイント(1年) |
---|---|---|---|
10,000 | 64,031円 | 5,160円 | 62,780円 |
100,000 | 640,304円 | 51,600円 | 627,800円 |
1,000,000 | 6,403,032円 | 516,000円 | 6,278,000円 |
ユーロ/米ドルは、世界の基軸通貨である米ドルとユーロの通貨ペアです。基軸通貨同士のペアだけに値動きは大きめで、初心者には難易度が高い通貨ペアだと言えます。トレードに慣れた頃に、チャレンジしてみると良いでしょう。
ユーロ/米ドルのスワップポイントをシミュレーションした結果は、以下の通りです。
※シミュレーション条件:ユーロ/米ドルレート1.049588(売り・2024年12月時点)
取引数量(通貨) | 取引必要証拠金 | スワップポイント(1ヶ月) | スワップポイント(1年) |
---|---|---|---|
10,000 | 64,032円 | 1,680円 | 20,440円 |
100,000 | 640,318円 | 16,800円 | 204,400円 |
1,000,000 | 6,403,180円 | 168,000円 | 2,044,000円 |
メキシコペソ/円は、高金利の通貨として知られている通貨ペアです。メキシコペソ/円は必要証拠金が少ないため、10万通貨からでも手軽に取引できる点が特徴です。ただし、高金利通貨特有のリスクを抑えつつトレードすることが重要です。
メキシコペソ/円のスワップポイントをシミュレーションした結果は、以下の通りです。
※シミュレーション条件:メキシコペソ/円レート7.658円(2024年12月時点)
取引数量(通貨) | 取引必要証拠金 | スワップポイント(1ヶ月) | スワップポイント(1年) |
---|---|---|---|
100,000 | 30,314円 | 6,600円 | 80,300円 |
1,000,000 | 303,138円 | 66,000円 | 803,000円 |
10,000,000 | 3,031,373円 | 660,000円 | 8,030,000円 |
FXにおけるスワップポイントとは、通貨ペアごとの「金利差調整額」のことです。スワップポイントは、各国の金融政策やFX会社によって異なるため、スワップポイント目的の運用をする際は、事前に各FX会社のスワップポイントカレンダーをチェックしておくと良いでしょう。
ただし、高金利の通貨ペアで取引する際は、為替変動リスクが高まるため、損失を抑えるための戦略が必要になるでしょう。スワップポイント目的で運用する注意点を踏まえ、適切なトレードを心がけましょう。
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SBI FXTRADE
FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人