• ホーム
  • マーケット情報
  • ジョセフ・クラフト特別レポート
  • バイデン政権主席補佐官にロン・クレイン氏 ~ ウォーレンとサンダーズの要職起用は消えた?

ジョセフ・クラフト 特別レポート

バイデン政権主席補佐官にロン・クレイン氏 ~ ウォーレンとサンダーズの要職起用は消えた?

掲載日:2020年11月12日

バイデン次期大統領が、主席補佐官ポストにロン・クレイン氏を起用すると政権移行チームが発表した(下記プロフィール参照)。10月16日そして直近のレポートでもクレイン氏が有力視されると紹介させていただいた。トランプ政権では主席補佐官が軽視・冷遇されたが、本来は大統領の右腕として最重要ポストである。バイデン政権になれば主席補佐官の存在感そして影響力が従来の水準に回帰すると思われ、日本にとってもクレイン氏は今後の要注目人物と考える。

ロン・クレイン氏について ~ バイデン氏はコロナ対応を政権の一丁目一番地の課題として掲げた。クレイン氏は2014年10月~2015年2月にオバマ政権でのエボラ出血熱対策チームの責任者を務めた経験があり、コロナ対策の矢面に立つものと思われる。更にゴア副大統領(95~98年)そしてバイデン副大統領(09~11年)の首席補佐官を務め、バイデンの信頼は厚く、議会や政権内での調整能力に定評がある。彼は弁護士であり、クリントン政権ではジャネット・リノ司法長官のスタッフとしても務め、法律改正・立案にも長けている。社会変革を齎すベンチャー企業を推進するスコール財団やベンチャー投資を行うレボリューション投資会社などに在籍、GAFA事情からデジタル覇権情勢についても詳しいとされる。バイデン政権の舵取りの中枢にクレイン氏が立つことは間違いない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

他の注目ポストに関するアップデート ~ ワシントン政局情勢に詳しい現地の知人と協議、注目する指摘として「当初思われたほど上院・下院議員の選出は無い」とのこと。上院選(過半数奪回に失敗)そして下院選(議席数減少)での苦戦によってバイデン氏及び民主党執行部は、僅かな例外を除いて議会からの選出を断念したようだ。上院そして下院での議席数がより拮抗したため、外せる現職議員の幅が狭まり、その最たる例がエリザベス・ウォーレン女史とバーニー・サンダーズ氏である。

先ず議会での欠員ルールに関して、上院議員が何等かの理由で辞職した場合、大半の州では後任の任命権が州知事に与えられている。下院の場合は補欠選挙を行う必要があるため、数か月の間空席となるケースが多い。つまり、民主党が上院議員を政権に抜擢する場合は、同議員の州知事が民主党員である必要があり、下院の場合はその選挙区が民主党岩盤で、補欠選挙を勝ち抜く自信がなければならない。そこでウォーレン女史はマサチューセッツ州の上院議員だが、州知事は共和党員のチャーリー・パーカーである。この点は当初から分かっていたが、民主党が51議席取り、左派勢力の影響力が強ければ可能性はあるとされていたが、今回バイデン氏としてはウォーレンを断る口実が出来たとのこと。サンダーズも同様であり、バーモント州の知事は共和党員のフィル・スコットであるため上院の議席を減らす分けにはいかない。更に上院の人事の承認権は、過半数を維持する可能性が高い共和党にあり、ウォーレンのような極左派議員が承認される可能性は少ない。

逆に可能性があるのがクリス・クーンズ上院議員の国務長官ポストである(下記プロフィール参照)。クーンズ氏はバイデンと同じデラウエア州出身で、同州の知事は民主党のジョン・カーニー氏である。更にクーンズ氏は中道派として共和党との関係も良好であり、マコネル院内総務の支持が予想される。メディアではスーザン・ライスが有力視されており可能性は否定しないが、親中イメージが強い彼女を共和党が了承するか疑問視される。更にバイデン政権の内部事情で選定が見送られる可能性がある。内部事情とは、今やバイデン政権の外交ブレーンを担うトニー・ブリンケンの存在。ブリンケン氏はオバマ政権で安全保障副担当を務め、当時はライスNSC担当の部下。別にライス女史と仲が悪い訳ではないが、外交政策を担うブリンケン氏としては、国務長官ポストに元上司が就くとやり難いのでバイデンに他の候補を推奨するのではないかとの憶測がある。

もう一人可能性が高まったのが、ダグ・ジョーンズ元アラバマ州上院議員の司法長官就任である(下記プロフィール参照)。彼はアラバマ州上院選で落選したことで、上院経験がありながら議席への影響は無い。もとより彼は公民権運動の弁護士として長きに活躍、バイデン氏及び南部の黒人政界からの信任が厚い。最後に日本にとって重要な意味持つ人事として、国防長官がほぼ確実視されるミシェル・フルノイ女史について一言紹介したい(下記プロフィール参照)。外交ブレーンであるブリンケン氏の専門分野はヨーロッパ、取り分けロシアである。ところが、フルノイ女史はアジア安全保障に精通しており、TPPを推奨、さらには尖閣防衛義務などにも前向きとされる。フルノイ女史はブリンケン氏と安全保障コンサルティング会社を共同経営しており、ケミストリーが合う。彼女が政権に入ることでアジア外交の意識・知見が高まり、ブリンケン氏とバランスが取れた安全保障チームが組めると期待する。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

【ご注意事項】

お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。

【バックナンバー】