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ジョセフ・クラフト 特別レポート

カート・キャンベルは過剰評価? ~ 「インド太平洋調整官」はアジア外交軽視の証

掲載日:2021年01月20日

13日(水)にバイデン次期政権は、国家安全保障会議(NSC)の中に「インド太平洋調整官」というポストを新設、カート・キャンベル元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)を任命。予てからバイデン次期政権は内政重視、消極外交に徹するのではないかと指摘。これまでの発言そして閣僚の専門知見から外交上の優先地域は、欧州(NATO)、中東(イラン)、そしてアフリカが想定される一方、中国を筆頭にアジアとは一定の距離が置かれるものと予想する。「インド太平洋調整官」という新設ポストはバイデン政権のアジア消極外交の証と思われる。更にかつての「Pivot to Asia」や「戦略的忍耐」などアジア外交の「失策」を推奨、且つ親韓でもあるカート・キャンベル氏の起用は日本にとって難しい舵取りが強いられると危惧する。そこで下記に新設ポストの意味合いとカート・キャンベルの人物像を検証してみたい。

「インド太平洋調整官」の意味合い ~ 同ポストの新設は、アジア地域を重視するバイデン政権の姿勢との解釈があるかもしれないが、アメリカ的の感覚としては逆だと考える。政権の最重要課題・責務は、大統領と頻繁且つ緊密な連携を要するため、閣僚(長官級)あるいは官僚のトップ(副長官級)が直接担い、特使やより階級の低い官僚には任せないものである。ブリンケン国務長官は欧州(特にNATO)の関係修復に躍起、サリバン安全保障担当補佐官はイラン核開発問題と中東情勢を重視、オースティン国防長官はアジア経験・知見が皆無、そしてグリーンフィールド国連大使はアフリカとの関係強化が至上命題。新設ポストが重要であるならば、何故「欧州調整官」あるいは「中東調整官」が設けられていないのか?アジアがバイデン政権の最重要外交課題とは思えない。要は、主要閣僚にアジアの専門知見が薄いことと共に他の優先地域に尽力しなければいけないので、「調整官」というベビーシッター・監視役的なポストを設けたと解釈する。最も不可解なのが「調整官」という肩書で、権限のある役職は「(大統領)補佐官」、「政府代表・特使」あるいは「上級部長・顧問」などが付けられるものだが、「調整官」には重みが感じられない。調整官とは、単に窓口ではないのか?更に、官僚との指揮系統・役割に重複あるいは混乱が生じないか懸念される。これから任命される「NSCアジア上級部長」、「国務次官補(東アジア・太平洋担当官)」そして各アジア諸国の駐在大使などの役割とかぶり、調整どころか外交のチームワークを乱しかねない。更にキャンベル氏の上司であるサリバン安全保障担当は20歳も年下、しかし外交経験ではキャンベル氏が先輩。国務省と安全保障会議は若返りを図っており、キャンベル氏とのケミストリーが合うのかどうかも気になる。

カート・キャンベルの人物像 ~ キャンベル氏を長年知るワシントンの政治アナリストに人物像を尋ねたところ、「彼はビジネスマン、政局の風を読むことに長けた風見鶏、忠誠心はあまり無く、権力の懐に入るのが上手い。悪いヤツじゃないけどね~。」とコメント。「それってトランプに似てない?」と投げたら「(笑いながら)頭とマナーが良いトランプかな~?それよりも共和党員でいうと、ミック・マルバニー(行政管理予算局長官)の性格に近いよ。」と説明。更に、「現在の米外交コミュニティで彼はシリアス・プレーヤーじゃないと聞いていただけに今回の任命は驚いた」と問いかけたら、「だから人(政権)の懐に入るのが上手いのだよ。(ミシェル)フロノイ女史はビジネス(軍事業者)との癒着が問題視され、国防長官指名から外れたけど、カートもその点ではしがらみが多いので私も予想外だったよ。」とも明かした。そこで下記にキャンベル氏の経歴を簡単に紹介すると共に、ビジネス姿勢、アジア政策(ジョセフ・ナイ・スクール)そして韓国びいきの三点を探ってみたい。

ビジネス志向 ~ キャンベル氏は2013年にAsia Groupを創設、2007年にCNAS(新アメリカ安全保障センター)、そして2002年にStratAsiaなどのコンサルティング会社を設立している。これらはBrookingsやHeritage財団のようなシンクタンクというより、企業と個別契約を結び、安全保障や国際貿易・投資などのアドバイスあるいは便宜を図っている。興味深いのが、横浜でのIR誘致を目指したウィン・リゾーツ社がアジア・グループと契約している噂がある。同社のシニア・アドバイザー(顧問)には、兼原信克元国家安全保障局次長、ジョセフ・ユン米国の北朝鮮担当特別代表、ディノ・パティ・ジャラル元駐米インドネシア大使やファム・クアン・ヴィン元ベトナム外務大臣補佐官などが名を連ねており、アジア各国にオフィスを置き、政府機関や現地企業との契約を請け負っている。「インド太平洋調整官」に就任することで、Conflict of Interestが生じないか気になるところだ。

アジア政策(ジョセフ・ナイ・スクール) ~ オバマ政権のアジア外交を象徴した「Pivot to Asia(アジア基軸転換)」や「Strategic Patience(戦略的忍耐)」のアーキテクト(考案者)がカート・キャンベルとされている。こうした政策は、中国や北朝鮮の危機感を煽るも、具体的な対策を講じなかったことで、北朝鮮の核開発、ミャンマー軍によるロヒンギャ民族虐殺、そして中国の技術覇権促進などを許してしまった失策と今は位置付けられている。ところが、世論や政局の風が反中に傾くと、キャンベル氏自身が民主党の中でいち早く対中政策の転換を主張、2018年3月のForeign Affairs誌に「The China Reckoning」と題した論文を掲載、米国の対中寛容政策の失敗を主張した。これが政局の風を読む風見鶏あるいは忠誠心が薄いと言われる所以のようだ。過去の教訓に学び、従来の外交思想を根本的に修正できれば良いが、容易なことではない。キャンベル氏は、アジアに興味を持ったきっかけ、そして外交政策のメンターはジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授とコメントしている。ナイ氏は、去年の2月に「The Future is Not Asian」と題した日経新聞のインタビュー、そして6月にNational Defense University新聞に「Perspectives for China Strategy」という記事で中国の脅威は懸念されているほど大きくなく、地政学パワー(影響力)において米中間にはまだまだ差があると指摘、中国脅威の危機感が感じられない。キャンベル氏も先週、「Foreign Affairs」に投稿した外交論文で寛容的な姿勢、少なくともトランプ政権の警戒心・対抗姿勢よりは大分軟化した内容との印象を受けた(詳しくは次の文章参照)。

韓国びいき ~ オバマ政権発足から日米関係がギクシャクした一つの要因に韓国があげられる。キャンベル氏の影響なのか、発足当時のオバマ政権は韓国に心情的だった印象がある。その象徴的な例として2010年2月にキャンベル国務次官補が韓国の金星煥外交通商相と会談、当時の日本政府(民主党)を批判、鳩山首相の頭越しに、菅直人財務大臣・岡田克也外相との接触を図るよう異例の助言をしたことが話題となった。更に日韓関係の修復において韓国の主張に理解を示し、日本側に歴史問題への配慮や靖国参拝を控えるよう促したとされている。同氏は、2014年に韓国修交勲章を受章した。他に韓国と近しい関係の例として先月2日に韓国国際交流財団(KF)が主催したフォーラムに招かれ、北朝鮮問題に言及、日韓関係においては「外部が果たせる潜在的な役割がある」と介入の可能性とも受け取られる発言を行っている。更に韓国配慮の姿勢は国際外交に置いても見られる。キャンベル氏は、G7に韓国、インドそしてオーストラリアを加えたD10(デモクラシー10)を推奨し、Quadにも韓国を加えることに言及している。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

カート・キャンベルの「Foreign Affairs」外交論文は中国への降伏宣言

インド太平洋調整官に任命されたカート・キャンベル氏は、「How Can America Shore Up Asian Order ~ A Strategy for Balance and Legitimacy」と題した外交論文を1月12日にForeign Affairs(オンライン)誌に掲載した。論文を何度も読み返した小生の感想は、消極的なアジア外交、中国とは対立をなるべく避け共存を模索、アジア諸国により自立した体制を促す内容で、語弊があるかもしれないが率直に言って中国への降伏宣言との印象を受けた。同論文は、19世紀の勢力均衡と欧州の協調を論じたヘンリー・キッシンジャーの博士論文を引用して、アジアの秩序を形成するためには、①バランス(勢力均衡)の修復、②レジティマシー(正統性)の回復、そして③連携(コアリション)の促進が重要だと指摘している。そこで下記に論文の主要点そして驚いた内容を紹介させていただきたい。

その前に、一つ気掛かりな点を指摘したい。同論文で「インド太平洋」という言葉は度々使われるものの、「自由で開かれたインド太平洋」は一度も引用されていない。バイデン政権の外交閣僚からも今のところ「自由で開かれたインド太平洋」と言及した形跡が見つからない。ご存じ、「自由で開かれたインド太平洋」構想は、日本のリーダーシップによって形成、アメリカ(トランプ政権)を筆頭にインドやオーストラリア等が賛同し、中国の抑制手段として期待されている。もしバイデン政権に同構想を否定・修正する意図があるとすれば連携どころかアジアの足並みが乱れる可能性も考えられる。同時に日本は微妙な立ち位置に立たされるかもしれない。

①バランス(勢力均衡)の修復
「China's growing material power has indeed destabilized the region's delicate balance and emboldened Beijing's territorial adventurism. In response to these threats, the United States needs to make a conscious effort to deter Chinese adventurism.(中国の拡大する物質的パワー(経済力)は地域のデリケートな勢力バランスを不安定化させ、政府の領土拡大主義を強めた。こうした脅威にアメリカは意識的に対抗する必要がある。)」

「Washington can start by moving away from its singular focus on primacy and the expensive and vulnerable platforms such as aircraft carriers designed to maintain it. This means investing in long-range conventional cruise and ballistic missiles, unmanned carrier-based strike aircraft and underwater vehicles, guided-missile submarines, and high-speed strike weapons.(米政府は先ず、空母や大型基地のような高額且つ攻撃を受け易い軍事兵器・施設から脱却すべき。つまり、長距離弾道ミサイル、無人戦闘機や潜水艇そして高速攻撃兵器などへ投資することを意味する。) 」

「Although Washington should maintain its forward presence, it also needs to work with other states to disperse U.S. forces across Southeast Asia and the Indian Ocean.(米政府は、これまでの積極姿勢(存在感)を維持すべきではあるものの、各国と連携して兵力を東南アジアやインド洋に分散する必要がある。) 」

「Real regional balance, however, also requires action in concert with allies and partners. The United States needs to help states in the Indo-Pacific develop their own asymmetric capabilities to deter Chinese behavior.(本当の意味での地域バランス(勢力均衡)は、同盟国と共に行動することにある。アメリカはインド太平洋諸国らが、中国に対して独自の対抗手段・能力を備えられるよう補助する必要がある。) 」

解説 ~ 最初の三文を読む限り、これまでの軍事体制・戦略を修正するものの、アジアでの軍事プレゼンスを維持するような印象を受ける。ところがオチは最後の文にあった。要はアジア諸国により軍事勢力を強化させ、アメリカの負担を減らすのが本音。それを踏まえて最初の三文を改めて読み直すと軍事力の削減、民主党がかねてから指摘する軍事経費のコストダウンの意図が示唆される。冒頭の挨拶文でキャンベル氏は、トランプのように日本や韓国に防衛費負担を求めないと言及しているが、防衛負担は求めない代わり、より自国の防衛体制を強化しろと言っているのだ。バイデン政権が掲げる同盟国連携の本質は、アメリカの負担軽減、各国による自立要請のようだ。アプローチは違ってもトランプ政権と本質は変わらない。

②レジティマシー(正統性)の回復
「There are "two Asias" that together constitute the region's order: one focused on politics and security and the other on economics. In the political and security realm, bolstering the present order requires serious U.S. reengagement: an end to shaking down allies, skipping regional summits, avoiding economic engagement, and shunning transnational cooperation. In the economic realm, strengthening the present order means ensuring the system continues to deliver material benefits for its members, even as China grows more sophisticated in its use of economic carrots and sticks. (地域の秩序を構築する"二つのアジア"がある: 一つは政治・安全保障で、もう一つは経済。前者での秩序を保つには、アメリカの再関与政策 ~ 同盟国を恐喝しない、地域サミットを無視しない、経済協力を惜しまない、そして国家間の協力を阻まない。経済での秩序を強化するには、中国がアメとムチを巧みに使いこなす中で、現体制・システムが同盟国に利益をもたらす仕組みを確保すること。)」

「Even as the United States works to reshore sensitive industries and pursue a "managed decoupling" from China, it can reassure wary regional states that moving supply chains out of China will often mean shifting them to other local economies, creating new growth opportunities. Moreover, as China provides infrastructure financing through the Belt and Road Initiative, the United States should develop ways to provide alternative financing and technical assistance. アメリカが安全保障に重要な産業の再生、中国との"管理されたデカップリング"を進める中、他国にもサプライ・チェーンを中国から自国に移転することは新たな成長を見出すことが促せる。更に、中国による一帯一路構想に関連したインフラ融資に対抗してアメリカも新たな融資・支援策を構築すべきである。」

「A better solution would be for the United States and its partners to persuade China that there are benefits to a competitive but peaceful region organized around a few essential requirements: a place for Beijing in the regional order, a predictable commercial environment if the country plays by the rules; and opportunities to jointly benefit from collaboration on climate, infrastructure, and the COVID-19 pandemic.(より良い解決策は、アメリカと同盟国らが中国に競争的ながらも平和な枠組み・秩序を悟らし、それにはいくつかの利益が得られることを認識; 中国政府の存在が地域で認められる、ルールを遵守することで予期できる商業環境、そして環境、インフラとコロナ・ウイルスにおいての協力から得られる利益。)」

「Washington will have to work with others to strengthen the system, provide Beijing with incentives to engage productively, and then collectively design penalties if China decides to take steps that threaten the larger order. (米政府は同盟国と共にシステムの強化に取り組み、中国に生産的に協力・従事するインセンティブを与え、そして中国が地域の秩序を犯すようであれば集団的にペナルティを課す必要がある。)」

解説 ~ 上記から受けた総体的な印象は、「あ~、中国寛容思想や中国政府を甘く見るといったオバマ政権のなごり・DNAが抜けていないんだ~」というもの。地域の「政治・安全保障」と「経済」の秩序の強化と主張するものの具体性に乏しいし、現実性に欠けた理想論に聞こえる。一つだけ具体的だったのがサプライ・チェーンの回帰、それを「管理されたデカップリング」と言及。問題は最後二つの文・・・。三つ目は未だに中国は国際社会のルールに従う、説得の余地があるような考えを抱いている。中国をWTOに加盟させ、オバマ政権での「Pivot to Asia」や「戦略的忍耐」のような失策の反省が見受けられない。最後の文では上記で指摘した軍事面での姿勢にも似ているが、中国に対する制裁・アクションは単独ではなく共同で行う弱腰姿勢。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というギャグがあったが、国際秩序の保護に通じない甘い考え。みんなで渡るのは良いが、先ず誰か(アメリカ)が第一歩を取らなければ集団は動かない。

③連携(コアリション)の促進
「Although the idea that the United States should "work with allies" is almost a cliché, the challenges to doing so are significant. Maintaining the existing Indo-Pacific order will inevitably require a broad coalition, and the very members that might join may not see the value of such a combined approach until the present system is irreversibly damaged. The need for allies and partners is often evident only after the status quo is overturned.(「同盟国との連携」は決まり文句になっているが、実際に達成するとなるとその壁(チャレンジ)はとてつもなく大きい。現在のインド太平洋の枠組み・秩序を保っていくには幅広い連合組織が必要で、参加するメンバーらは現状のシステムが崩壊するまでその価値を理解しないかもしれない。同盟国による連携の必要性は、現状のステータスが覆されるまで明らかにならないもの。)」

解説 ~ はっ?!これがリーダーシップを取る国の言うことかと目を疑った。同盟国の連携を主張しておきながら、どん底に落ちるまで連携は構築できないかもしれないとは何事だ?中国への敗北、降伏宣言にどうしても聞こえてしまう。

「Distant European leaders are inevitably less concerned about China's assertiveness than the Indo-Pacific states next door. That task is made more difficult by Beijing's economic power: last month, China used last-minute concessions to successfully pull the EU into a major bilateral investment agreement despite concerns that the deal would complicate a unified transatlantic approach under the Biden administration.(遠い欧州のリーダーらは、インド太平洋諸国より中国の強い姿勢をあまり脅威と感じていない。欧州諸国から共感を得ることを難しくしているのが中国の経済力; 先月に、バイデン政権下で統一した大西洋アプローチが難しくなる懸念を示したにも関わらず、中国は土壇場でEUとの貿易協定にこぎ着けたのである。) 」

解説 ~ この弱音、泣き言は一体なんなんだ~!? サリバン次期安全保障担当補佐官がEU首脳らに中国との貿易協定を保留するよう求めたにも関わらず聞き容れてもらえなかったのでスネているようにしか聞こえない。もう、端から対中包囲網など諦めている様子。確信も怒りも感じられない。

「Given these limitations, the United States will need to be flexible and innovative as it builds partnerships. Rather than form a grand coalition focused on every issue, the United States should pursue bespoke or ad hoc bodies focused on individual problems、such as the D-10 (G-7 plus Australia, India, and South Korea) proposed by the United Kingdom. ((連携には)限界があるため、アメリカはパートナーシップの構築には柔軟且つ革新的になる必要がある。一つずつの議題・問題を大きな連合組織で議論するのではなく、個別問題に乗じてビスポーク・特定のグループを模索すべき、例えばイギリスが提案するD10 ~ G7にオーストラリア、インドと韓国を加える。)」

解説 ~ 「限界」という言葉使った瞬間にやる諦め感がひしひしと伝わってくる。中国としてはこれほど勇気づけられる論文は無いのではないか?更に、キャンベル氏はかねてからオーストラリアと韓国をひいきにしている。その意味で、D10構想を積極的に容認、QUADにおいても韓国の参加を推奨している。オバマ政権と同じ、日本よりも韓国に沿った姿勢を示すことが推察される。

キャンベル氏の任命は、オバマ政権下での消極外交路線に回帰するとの懸念がぬぐえない。日本を始め多くのアジア諸国は、中国経済に依存しており、対立を望んでなければ出来る立場にない。アメリカが、他国と足並みを揃えるだけでは誰も前に出ない。トランプの外交政策は傍若無人で強引過ぎた面はあったものの、単独でも中国と対立する姿勢は、一定のリーダーシップと存在感を見せたのではないか?キャンベル氏が論文で見せる弱腰あるいは護送船団姿勢では中国とはまともに戦えないと考える。アジアの秩序は「Let's Go Together」ではダメ、「Follow Me!」的な姿勢でないと構築できないと個人的に思う。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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