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ジョセフ・クラフト 特別レポート

米選挙戦情勢 ~ 上院は49対51で共和が濃厚に、「セーフ・ハーバー期限」とは?

掲載日:2020年11月10日

セーフ・ハーバー期限 ~ 大統領選はバイデンが306対232票で最終的に勝利すると予想(残りアリゾナとジョージアをバイデンが制し、ノースカロライナはトランプ)。この差ではいくら法廷闘争あるいは不誠実選挙人があっても結果をひっくり返すのは不可能。トランプの訴訟手段に批判・懸念が集まるが、これは候補の権利であり、健全な民主主義のプロセスである。そもそも選挙日の11月3日から選挙人を選定する12月8日までの期間を「セーフ・ハーバー期限」として設けている。セーフ・ハーバー期限は各州での選挙結果を長引かせず、選挙人投票日(今回は14日)の6日前までに集計から訴訟など問題点を解決する目的の期間である。つまり、選挙戦のプロセスには最初から再集計や訴訟の事態が想定されており、過度に批判あるいは懸念を煽り立てるべきでない。トランプ及び共和党陣営には、セーフ・ハーバー期限までに大方の訴訟を終える圧力がある。無論、何か大きな問題が発覚した場合は、議会で期限の延長あるいは無視してそのまま選挙人選定あるいは議会での投票など法的プロセスに乗った選択肢がある。セーフハーバー期限までに訴訟などで選挙の疑念を払しょくそして透明性を高めることで、健全な政権移行のプロセスを促進することが出来る。トランプの訴訟は権利として見なし、批判では無く、早く終えるよう超党派でプロセスを進めるべきだと考える(この見解はトランプ擁護でも支持でも無い)。

上院選情勢 ~ 現段階で、四つの州(アラスカ、ジョージア①と②そしてノースカロライナ)が確定していない。ただ、アラスカ、ジョージア①そしてノースカロライナは共和党がかなり優勢と考える(下記チャート参照)。無論、今回の選挙は後から郵便票が多く入るため、何が起きるか分からない。ジョージア②は1月5日に決選投票が行われ、接戦が予想される(民主勝利の可能性が若干高いのでは?)。この見立て通りなら、49対51で共和党が辛うじて過半数を維持することになる。民主党(左派勢力)による財政出動の暴走に一定の歯止めがかかることから共和党の上院過半数は維持はマーケットに視点からプラスに受け止められているようだ。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

バイデン閣僚人事予想(10月16日レポート再送)

バイデン当選が確実となり、次の焦点は閣僚人事と考える。バイデン政権人事には大きく二つのポイントがあげられる: ①ダイバーシティと②左派勢力。副大統領選出のように女性、黒人そしてLGBTQと多岐にわたる人選が行われることが予想される。取り分け、これまで白人男性しか務めていない財務長官と国防長官ポストには女性あるいは黒人が任命されるであろう。更に統一姿勢を強調すべく、共和党からも一人・二人が入る可能性も考えられる。更に(ウォーレンなど)、左派候補の処遇から左派勢力の影響力を探ることも興味深く、取り分け財務長官ポストが焦点となる。

そこで10月16日にバイデン閣僚人事予想のレポートを配信させていただいたが、その時から見通しは大方変わっていないので、下記にレポートを再度紹介させていただきたい。見解の違いがあるとすれば、アラバマ州上院選で現職のダグ・ジョーンズ議員が落選したため、彼の司法長官の目が出て来たぐらいである。無論、下記の他にこれから様々な候補が浮かび上がると思うが、下記には取り分け主要注目人員をカバーしていると思われる。

最後に下記では閣僚入りの可能性がある共和党員に振れていないが、取りだたされているのがMeg Whitman(元eBay CEO)、John Kasich(元オハイオ州知事)、Charlie Baker(元マサチューセッツ州知事)あるいはJeff Flake(元アリゾナ上院議員)などである。個人的にはメグ・ホィットマンの商務長官は有力ではないかと推測する。

「バイデン政権の主要閣僚予想」 (10月16日のレポートより)
気が早いかもしれないが、バイデン政権でどの主要ポストにどのような人物が就く可能性があるか、探り始めても良いかもしれない。アメリカでも、閣僚人事は政局が絡むことから適材適所だけで予想するのは難しい。いづれにせよ、下記人物らは多かれ少なかれバイデン政権で何らかの影響を及ぼすことが想定されるので、少なくとも名前を知って損は無いと思われる。

国務長官・安全保障担当(NSC) → 国務長官にクリス・クーンズとNSC担当にトニー・ブリンケン(有力視)
国務長官は単に外交知識と経験だけでなく、政治力・Gravitas(尊厳・権威)が求められることから政治家あるいは著名人が有力と思われる。逆にNSC担当には知名度よりも知識や経験が豊富な専門家が抜擢されることが多く、その意味ではバイデン移行チームの外交ブレーンから選抜される可能性が高いと考える。国務長官は、最重要ポストであるだけに政局的に様々な圧力・要請が入り読み難い面もあるが、下記の人物が現状有力ではないかと考える。

▶ クリス・クーンズ ~ バイデン氏の盟友(弟分)。デラウエア州出身でバイデン氏の後を追って2010年に上院に出馬。クーンズ氏は「バイデンのささやき人」と言われるほどバイデンとは緊密に連携、アドバイスを行っている。クーンズ氏が望めば、政権の有力ポストは確実、取り分け国務長官就任が注目される。彼は、主席補佐官あるいは司法長官の可能性もあり得るが、政権運営経験が浅いことが課題。彼の場合、将来の民主党上院院内総務に就任するとも目されており、本人としては政権入りせずに、上院に残ることを選択する可能性が考えられる。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ スーザン・ライス ~ 個人的には、大統領補佐官あるいは顧問として就任すべきと考える。2012年にクリントン国務長官の後任として名前が挙がったが、ベンガジ疑惑によって辞退した経緯がある。更に彼女には親中派としてのイメージが強いことから今の反中思想にそぐわない側面もある。更に、今のバイデン移行チームで外交アドバイザーにはライス女史の部下だったブリンケン氏や次世代の外交専門家が占めている。副大統領としては打ってつけだが、失礼ながら国務長官としては若干賞味期限の感じがある。しかしながら、クーンズ氏が辞退する可能性やバイデンを大統領に押し上げた黒人勢力からの要請に配慮する可能性は十分にあり得る。ライス女史はバイデン氏とも相性が良く、信頼も厚い。もし彼女が国務長官になったら日本外交は相当やり難くなると推測する。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ トニー・ブリンケン ~ 2002年に上院外交委員会の事務局長に任命、2007年にバイデンが外交委員会議長に就任して関係がより深まる。今やバイデンの外交・安全保障のブレーンである。9月25日のインタビューでブリンケン氏は、バイデン政権の外交政策を「Leadership、Cooperation and Democracy」と集約、すなわち「同盟国との協調」が柱になると説明した。対中外交に関して、「中国とは経済、技術覇権、安全保障面において試練である。中国と交渉にあたる際は、如何に優位性のある立場に立てるかが重要。」と指摘。優位な立場とは西側諸国との連携・協調(Alliance)を意味するようだ。彼はバイデンからの信頼が厚く、国務長官の可能性はあるものの、おそらくNSC(安全保障担当)への就任が有力と思われる。大変失礼だが、国務長官としては知名度・Gravitas(尊厳)が足りない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ その他 ~ 国務長官にはコネチカットの上院議員であるクリス・マーフィーや国務副長官だったビル・バーンズも考えらるが二人ともGravitasに欠けると思う。次世代の外交・安全保障閣僚としてJim Steinberg、Jake Sullivan、Nicholas Burns、Julianne Smith、Tom DonilonそしてAvril Hainesらのうち何人かは国務省あるいはNSCで影響力のあるポストに就くものと思われる。取り分けJake Sullivanはブリンケン氏を補佐、バイデンの外交ブレーンである。その他Julie SmithやJim Steinbergもオバマ政権時代から精通しており、何らかのポストへの配属が有力視される。因みに民主党外交を語る上でカート・キャンベル氏の名は外せない。しかし彼は中国寛容外交のレッテルから抜けられず、直近ではロビー団体活動に加わるなど、ワシントンDCでの評判は芳しくない。

首席補佐官 → ロン・クレイン(有力視)
このポストは大統領との相性そして調整力に尽きると思われる。バイデンとの相性なら下記候補が最も有力と思われる。このポストは国務長官や財務長官職に比べ政局が絡むことが少ない。従来から同ポストは大統領に任せる傾向がある。そのため、他の要職争いは凄まじいものがある。

▶ ロン・クレイン ~ 実は、バイデンのコロナウイルス対策の指揮者がクレイン氏である。彼は2014年10月~2015年2月の間にオバマ政権のエボラ対策チームの事務局長を務め、調整力に定評がある。ゴアとバイデン副大統領の首席補佐官を務めた経験もあり、オバマ政権ではエマニュエル主席補佐官の後任として有力視されたが、本人が民間セクターへの転職を希望したため実現しなかった。クレイン氏はクリントン政権からオバマ政権まで精通しており、議会とのパイプも太い。調整力に長けていることから首席補佐官として最適と思われる。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ スティーブ・リケッティ ~ バイデン選対本部の金庫番、実質的なリーダーとも言われている。年初の民主党大統領予備選でバイデンが惨敗した際、立て直しのため副大統領時代の主席補佐官だったリケッティ氏が招集された。リケッティ氏はウォール街や財界から多額の献金を集め、取り分け財政面でバイデン選対本部を立て直したとが高く評価。バイデン氏の評価は高いものの、クレイン氏と比べると民主党内のネットワークそして調整力が幾分弱いとされている。本人が受けるか分からないが、ウォール街との繋がりからNEC(国家経済会議)担当の可能性もあるかもしれない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

財務長官 → ラエル・ブレイナード(有力視、でも・・・)
歴代財務長官には白人男性が就いてきたことから、バイデンは女性あるいはマイノリティを据えたいと考えている。もう一つ注目されるのが中道派か進歩派の候補のどちらかを据えるかである。ハイプロファイルなポストだけに中道派対進歩派の攻防は凄まじいと思われる。このポストはある意味左派対中道派の力学を示すリトマス試験と認識しており、注目である。本来であれば中道派候補が選ばれると思われるが、気になるのがバイデンの政権移行チームの経済アドバイザーに進歩派が多いことからより左派寄りに誘導される可能性は念頭に置くべきと考える。

▶ ラエル・ブレイナード ~ 彼女が有力視されるものの、このポストは政局が絡むことが予想され読み難い(下記ウォーレン文参照)。ブレイナード女史の力量を疑う者は少なく、ハト派であることやウォール街からも支持されているので任命し易い面がある。多少不満は出るものの、左派勢力にも受け入れ易いことから最も無難な選択肢と思われる。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ エリザベス・ウォーレン ~ 「嘘だろ?!」と思わずつぶやいたかもしれないが、排除できないダークホース候補である。ウォーレン女史は、オバマ政権で消費者金融保護局(CFPB)を立ち上げ金融規制・投資家保護に力を入れて来た経緯があり、財務長官を熱望しているとのこと。彼女がNECや教育長官で満足するはずが無い。しかし、国務長官や首席補佐官はあり得ない。そこで財務長官が取りだたされる。ウォーレンを外せないもう一つの要因は、バイデンの政権移行チームの主要アドバイザーにウオーレン側近であるJulie Siegelが居るからである。妥協策としてウォーレンを付けない代わりにNECとCFPBにウォーレンに近いエコノミストを据える可能性があるかもしれない。最後に左派勢力を満足させるためにウォーレンを司法長官に就ける荒業も考えられる。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ ジーナ・ライモンド ~ 財政知識は決してブレイナード女史に引けを取らない。ライモンドは年金問題や州財政においてのスペシャリスト。更にベンチャー事業にも精通していて、GAFA改革においても頼りになる。更に州知事としてコロナ禍対応の経験もあり、今後のコロナ対応でどのような財政政策を取るべきか理解も深い。中道派がブレイナードを押し、左派がウォーレンを押す中、間を取ってライモンドという可能性はあり得ると思う。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ その他 ~ 黒人であるFRB元理事のRoger Fergusonやアトランタ総裁のRaphael Bosticも一応リストに入っていると思うが、個人的には女性が据えられるものと推測する。更に前財務副長官でFRB理事も務めたSarah Bloom Raskin女史も有力な候補と思われる。ラスキン女史に至ってはNEC(国家経済会議)担当の可能性もあり得ると考える。

NEC(国家経済会議)長官 → ジャレッド・バーンスタイン(有力視)
このポストは財務長官候補とバランスが取られるものと思われる。中道派候補が任命されれれば、左派勢力を意識して下記のような進歩派候補が宛がわれると考える。逆にエリザベス・ウォーレンが財務長官になれば、中道派のラスキン元財務副長官やバイデン選対本部側近のリケッティ氏が起用される可能性がある。

▶ ジャレッド・バーンスタイン ~ もし中道派のラエル・ブレイナードが財務長官になれば、NEC担当にはより進歩派寄りの人物が選ばれる可能性が考えられる。これまでNEC担当には金融出身者が多かったが、バーンスタイン氏は労働者の視点、雇用を重点に経済政策を考える。これはバイデンが唱えるブルーカラー大統領・労働者の経済対策に精通する人事と主張できる。バーンスタイン氏は「Getting Back to Full Employment: A Better Bargain for Working People」や「The State of Working America」など労働に特化した著書を出版している。NYTやWAPOにも記事を掲載そしてCNNやMSNBCでコメンテーターも行っているので(左派系)メディアとも関係が近い。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ ヘザー・ブーシェ― ~ バーンスタイン氏同様進歩派寄りのエコノミスト。2016年にクリントン政権が誕生していたらNEC担当抜擢が濃厚とされていた。エリザベス・ウォーレンを財務長官に任命しない場合、バーンスタインまたはブーシェ―女史を任命しないと左派勢力からの反発を招く恐れがある。彼女は女性の労働事情など経済記事を長年ニューヨーク・タイムズに掲載。彼女はNYTを筆頭にリベラル・メディアからの受けが良いので、経済政策の宣伝役も担える

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ その他 ~ 上記で述べた元財務副長官のSarah Bloom Raskinの他に、バイデン副大統領の首席エコノミストを詰めたBen Harris(2014~2016年)、アジア系女性のFelicia Wong(ルーズベルト)や上記で紹介したSteve Richettiなどの可能性も考えられる。話は変わるが、行政管理予算局(OMB)には、オバマ政権での同局で暫定局長を務めたJeffrey Zientsが有力視される。最後にウォーレン陣営からKatie Porter下院議員(カリフォルニア州)を何等かの経済職に就けるよう要請があるとことからも注視すべき人物かもしれない。

防衛長官 → ミシェル・フルノイ(有力視)
歴代防衛長官には白人男性が就いている。バイデンは女性あるいはマイノリティを据えた人間と兼ねてから言っている。女性として軍を束ねるのは容易では無く、力量と権威がある候補として思い浮かぶのは下記二人のみである。

▶ ミシェル・フルノイ ~ フルノイ女史は、ペンタゴンの頑なな軍人からも一目を置かれる人物。オバマ政権で防衛次官として政策を立案、クリントン政権でも防衛戦略、抑止力対策そしてロシア情勢などの分析・立案に携わった。更にフルノイ女史は、バイデンの外交最側近であるトニー・ブリンケン氏とWestExec Advisorsを共同経営。お互いを良く知っているだけでに、ブリンケン氏の安全保障担当そしてフルノイ防衛長官はケミストリーが既に出来ており、連携が取り易い。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ タミー・ダックワース ~ 元軍人で副大統領候補にも挙がったダックワース女史。ヘリコプター・パイロットとしてイラク戦争に派遣、攻撃を受けて両足を切断され、ペンタゴンからも尊敬の念がある。ダックワース女史は母親がタイ人でアジア系マイノリティの象徴ともなっている。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

司法長官 → アンドリュー・クオモ(有力視)
民主党内ではトランプの不正を暴きたい意向が強い。バイデンとしては、そうした要求にある程度答えつつもトランプを政権のメインテーマ・スポットライトに仕立てたくないのが本音。元弁護士あるいは法務博士を持っている政治家は少なくない。このポストは適材適所よりも政局が絡むことが予想され、その意味ではノーマークの人物が起用される可能性も考えられる。

▶ アンドリュー・クオモ ~ 存じ、ニューヨーク州知事である意味コロナ禍の顔となり全国知名度が上昇。同州知事のコロナ対応には賛否両論あるものの、プレス対応は抜群の評価。有権者から信用され、弁が立つということは司法長官として有利な要素。バイデン陣営としてはクオモ人気に肖りたいと思いがあるだろう。クオモ氏は2024年の大統領選を視野に入れていることから司法長官の経験はキャリアアップに繋がるので内心は歓迎しているはず。直近のインタビューで可能性について聞かれ、「私はワシントンに興味は無い」と一見否定的ながら、「バイデン氏を如何なる形でも支える」と含みを持たせた。バイデンから見てクオモ氏を選択する最大のリスクは、次期大統領選を睨んだ個人プレー・パフォーマンスに走り大統領より目立つ可能性が挙げられる。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ サリー・イェーツ ~ オバマ政権後期では事実上の司法長官と言われ、実力・経験は申し分ない。問題はフリン元安全保担当問題(オバマゲート)に携わっており、バイデン政権としてはこの問題を蒸し返したくない考えがあるであろう。更にイェーツ女史は民間セクターで成功しており、多額の報酬カットを受けても公職に戻るかも疑問。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ ステーシー・エイブラムズ ~ 個人的にはあり得ない選択肢。理由は経験値が低すぎるため。国政の経験が無い上、弁護士としても卒業直後に税法律に短い間携わった程度。ただし、学歴と頭の良さは申し分ない上、黒人層から高い人気がある。バイデン大統領に押し上げた事実上の立役者は黒人でサウス・カロライナ下院の重鎮であるジム・クライバーン。彼は閣僚に一定の黒人を据えるよう求めており、バイデンとしても恩がある。他の要職に黒人を据えられない場合、エイブラムスを司法長官に任命する可能性は否定できない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

▶ その他 ~ アラバマ州上院議員で同州の元司法長官だったダグ・ジョーンズも候補の一人と考える。若年層とラテン系有権者へのアピールとして元民主党大統領候補のフリアン・カストロ氏もリストに上っているものと思われる。

その他要職

▶ Pete Buttigieg (ピート・ブティジッジ) ~ 国連大使あるいは退役軍人長官。 ブティジッジ氏が民主党大統領予備選からの撤退に同意したことで党がバイデンで結束することが出来た恩は大きい。再び大統領選に出馬するも、その前に政権で要職に就き、その後は上院ないし州知事を狙うことが予想される。

▶ Karen Bass (カレン・バス下院議員) ~ 住宅都市開発長官あるいは保健福祉長官。 バイデンが当選した場合、黒人票の影響が大きいと思われ、政権に一定程度の黒人閣僚を据えることが求められる。副大統領候補でもあり、黒人部会の議長を務めたバス下院議員は外せない人物と思われる。

▶ Michelle Lujan Grisham (ミシェル・グリシャムNew Mexico州知事) ~ 住宅都市開発長官あるいは保健福祉長官。 バス女史同様、ラテン系の閣僚も入れなくてはならない。

▶ Andrew Yang (アンドリュー・ヤン) ~ 大統領補佐官(中小企業担当)。 ビジネスマンとして低所得支援策を打ち出して大統領予備選で健闘したヤン氏を何らかの経済ポストに就かせる可能性がある。バイデンとしてもアジア系の閣僚が少ないのでダックワース女史と共にリストに含まれていると思われる。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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