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ジョセフ・クラフト 特別レポート

大統領選最新投票情勢 ~ 歴史的激戦、バイデンが終盤で引き離しにかかる

掲載日:2020年11月06日

トランプ勝利は残されているものの、可能性は小さい。現在、確定していない州は五つ: ジョージア、ネバダ、アリゾナ、ペンシルバニアそしてノースカロライナ。トランプは僅かながらジョージア、ペンシルバニアそしてノースカロライナでリード、バイデンはネバダとアリゾナで優勢(下記表参照)。このまま下記表通りに確定すれば、バイデンが270対268で勝利。でもこの僅差では、不誠実選挙人票あるいは裁判の判決次第でひっくり返るリスクがある。トランプが勝つには現在リードしている三つの州に加え、ネバダあるいはアリゾナのいづれかを取らなければならない。現在トランプは特にアリゾナで猛追、差が4万6,00票まで詰めている。

ネバダとアリゾナでトランプが追い上げているものの、バイデンは他の3州で撃墜している。取り分け、ジョージアでバイデンはたった1,797票まで差を詰めて来た。ジョージアを奪回できればバイデンは286対252と余裕が出るので大きい。ペンシルバニアでも3日に70万票あった差が現在2万6,000票まで大幅に縮んでいる。ジョージアと共に同州を取れば、306対232と奇しくも2016年の結果の裏帰しとなる。これではトランプがいくら法廷攻勢をかけても結果は変えられない。

2000年はフロリダ1州で大接戦を繰り広げたが、5州一同の激戦は歴史上例が無い。バイデンが引き離せば話すほど訴訟の影響が限定され、トランプが身とも得なくとも政権移行の現実・ムードが高まるので重要である。

大統領選総括(出口調査) ~ 支持基盤を伸ばせなかった両候補

多くの世論調査は優にバイデン勝利を予想していたが、結果は稀に見る大混戦。バイデン氏が当選したとしても、当初言われたは「ブルー・ウェーブ」は無かった。そこで混戦の背景を理解すべく有権者の投票行動を検証したみたい。歴史的激戦の選挙の背景には下記の四つのポイントがあげられると考える。

ポイント① 都市部対地方。 今回の大統領選は郵便票対当日票が焦点となったが、実態は都市部対地方の競い合いである。民主党は都市部で強く、逆に共和党は地方の支持が大きい。郵便投票と言えでも地方のものは共和党優位で、都市部の郵便票は民主党に傾く(下記チャート①参照)。今回、一部の都市部で票が伸びなかったことが混戦に繋がり、その象徴的な例がフロリダ州である。フロリダ最大の都市部、マイアミ・デード群では、10月30日時点での共和党員の投票率が63%に対して民主党員の投票率は56%に止まった。本来都市部で民主党は6割以上の票を取るが、マイアミ・デード群は53.4%あるいはジャクソンビル市があるデュヴァル郡でも51.2%と接戦に持ち込まれてしまった。

ポイント② 支持基盤の低下。 バイデン氏の強み、支持基盤はマイノリティや女性有権者。トランプ氏の支持基盤は白人男性や高齢者層とされている。ところが両候補共に支持基盤票が伸び悩んだのが以外だった(下記チャート②参照)。先ず黒人とラテン票の動向を2016年時と比較してみたい。CNNの出口調査によると、2016年でクリントン女史の黒人(女性)支持率はトランプを90ポイント(例えば95対5)上回っていたが、今回バイデン氏は+83に低下した。黒人男性の支持でもクリントンは+69だったがバイデンは+62ポイントに止まった。ラテン(男性)票でもクリントンは+31ポイントに対してバイデンは+25と比較的に低い。逆にバイデンが健闘したのが若年層である。クリントンは29歳以下の支持が+19ポイントだったの対してバイデンは+27ポイントと向上している。これが一般的に言われている「反ヒラリー票」である。クリントンを嫌って2016年に投票しなかった若者が今回は投票場に出向いた。

トランプに関しては、2016年時は白人男性支持がクリントンを31ポイントも上回っていたのに、今回は+18ポイントと約半減。中・高齢者票では前回トランプは+8ポイントのリードがあったが、今回は2ポイントとほぼ互角に低下した。意外だったのが女性票である。トランプは(白人)女性票を全般的に減らすと予想された。ところが、2016年にトランプは(高卒)白人女性の支持が+9ポイントとクリントンを上回ったが、今回+12ポイントに増えた。両候補共に強み・支持基盤を伸ばせず、逆に弱みを改善させたのは意外であった。

ポイント③ 隠れトランプ票。 事前に推測されていたが、やはり隠れトランプ票の存在は否めず、その象徴がペンシルバニア州である(下記チャート③参照)。同州の郵便・期日前投票の党別投票比率は民主党が66%対共和党23%で圧倒的にバイデンが有利。ところが、実際の投票はバイデン49.0%対トランプ49.7 %(現地5日時点)。当日投票が7割近くもトランプに傾かないとこのような結果は難しい。むしろ66%あった民主党の郵便・期日前投票率の一部がトランプに鞍替えした可能性が高い。

ポイント④ 経済対コロナ。 今回の選挙選での対立軸としてコロナ対応が挙がった。トランプのコロナ対応に関してバイデンは強く批判、だれもがトランプ不利と思った。しかしブルーウェーブが起きなかった背景に、有権者はコロナ抑制よりも経済活動を優先したようだ。CNNの世論調査で最も重要議題はとの問いに、3割が経済と答えたの対してコロナ対応と答えたのが6分の1。4年前と比較して経済的に改善したと答えたのが40%に対して悪くなったとの答えは20%に止まった。やはりトランプの強みは経済。

トランプがアメリカを分断したと言われるが、実はオバマ政権に始まっていたのである。トランプはそれを加速させただけ。バイデン大統領になってこの流れを変えられるか、それとも更なる分断を助長するのかお手並み拝見。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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