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ジョセフ・クラフト 特別レポート

Economist/YouGov最新米大統領選世論調査 ~ 見掛け倒しのバイデン優勢?

掲載日:2020年08月24日

英エコノミスト誌と著名調査会社YouGovが最新の米大統領選世論調査を発表した。同調査は8月16~18日に聞き取りが行われ、有効回答者が1,246人、誤算の範囲は±3.4%とのこと。同調査の大統領支持率は、バイデン50%に対してトランプ40%と10ポイントの差が開いた。しかし、中身を掘り下げるとバイデン陣営にとってかなり懸念すべき実態が見受けられる。バイデン有利どころかトランプ逆転と言っても過言でないデータもあり、驚く内容だと思う。下記では、同調査を四つの視点から解析してみた: ①回答者の構成、②中道派層の支持、③投票意欲(投票率予想)そして④隠れトランプ票。

①回答者の構成 ~ 以前のレポートで、世論調査がミスリーディング(不確実)である要因の一つに回答者数の構成を指摘させていただいた。今回の調査に回答した登録有権者を政党別で分けると、1,246人のうち41%(508人)が民主党員に対して僅か26%(327人)が共和党員で構成されている(下記表参照)。民主党員の回答が1.5倍も多い。つまりバイデンの10ポイントのリードはほとんどこの回答者者数の差で説明が出来てしまうと考える。その他、Reuters/Ipsos、ABC/Washington PostそしてCNNの世論調査でも民主党回答者数の方が共和党を上回っている。大統領選を正しく占うのには、当日の投票率を的確に読むことが重要である。11月3日の投票率は、本世論調査の回答者構成よりもかなり均衡することは確実である。45%が反トランプそして45%がトランプ支持と揺るがない政局構造の中では、その45%をどれだけ投票させるかが勝敗のカギを握る。

②中道派層の支持 ~ 投票率以外に大統領選を左右するもう一つの重要ポイントは、有権者の残り約10%を占める中道派層を取り込めるかである。本調査の回答者数のうち、中道派は33%(411人)を占める(共和党員よりも多い)。中道派有権者の42%(172人)がトランプ支持でバイデン支持は37%(152人)にとどまった(下記表参照)。①で指摘した民主党回答者数の偏りを調整すると、僅差どころか実際にはトランプがリードしている可能性も否定できない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

③投票意欲(投票率予想) ~ 11月3日の投票率は予想できない上、残り70日で変わって行くであろう。しかし、現時点での投票率の流れを示唆するデータとして下記の「投票意欲」が参考になる。「2016年に比べて現在投票に出向く意欲は高まったか?それとも下がったか?」との問いに、53%が投票意欲が高まったと回答。最も興味深いのは、「投票意欲が高まった」との回答を党員別で分けると、共和党員が64%と民主党員の54%を上回った(下記表参照)。この数字が当日の投票率を反映するようであれば、バイデンは相当劣勢に立たされる。この結果は、一連のバイデン優勢報道によってトランプ・共和党支持者の危機感が煽られたものと推測する。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

④隠れトランプ票 ~ 世論調査がミスリーディングである大きな要因は回答者構成と指摘したが、もう一つは所謂「隠れトランプ票」が挙げられる。ご存じ、これは世間体としてトランプ支持と答えるのが恥ずかしいあるいは(左派からの)批判を恐れて本心と異なる支持を表明することを指す。2016年の世論調査が大きく外れた一つの要因と言われている。上記①で、自身の支持を聞かれ、バイデン50%に対してトランプ40%の結果となった。ところが自身では無く(客観的に)「大統領選はどちらが勝つと思うか?」との問いには、バイデン39%対トランプ40%と①の回答と大きく異なる結果が見られた(下記表参照)。興味深いのが、①の支持率では95%の民主党員がバイデン支持だったのに対し、④の大統領選見通しではバイデン勝利と答えた民主党員は75%に減った。つまり、「隠れトランプ票」は共和党員よりも民主党員の方が多いということが示唆される。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

民主党党大会視聴率検証 ~ 左派・若者層孤立、2016年の二の舞か?

4日間に渡った民主党党大会が終わった。コロナ禍で仕方がないものの、史上初のオンライン大会はぎこちなく、盛り上がりに欠けるものと指摘させていただいた。それをある程度立証するデータとしてテレビ視聴率が注目される。そこでNielsen Media Research社による民主党党大会各夜の視聴者数を下記に紹介、2016年の大会と比較して各夜の視聴者数は軒並み減少した。3日目で視聴率が幾分回復したが、この日は若者・左派層の人気が高いエリザベス・ウォーレン、民主党全体、特にマイノリティ層の人気がオバマ元大統領そしてカマラ・ハリス副大統領候補が演説を行った。

下記表は、第4夜の年齢別での視聴者数を表記。年齢別で見ると若者層(18~34歳)の視聴者の下落が著しい。一説では、若者はテレビよりもパソコンで視聴するため視聴率が下がったとの指摘がある。しかし、パソコン視聴は15~22歳のジェネレーションZ世代が中心で、ミレニアム世代にどこまで当てはまるか疑問である。更に15秒~60秒のビデオに馴染んでいるTik Tok世代が2時間のオンライン動画を見続けるとは思い難い。このデータは、左派層がバイデンの下で結束していないことを示唆、2016年の二の舞が頭を過ぎる。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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