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ジョセフ・クラフト 特別レポート

民主党党大会の第一印象と驚くべきCNNの世論調査結果

掲載日:2020年08月19日

民主党党大会の第一印象:  大統領選バトルの口火を切る党大会。民主党党大会が昨日、日本時間10:00(現地21:00)から開催された。大会は4日間の日程で2時間放映される。オンライン形式での開催は歴史上初となる。そこで第1夜で受けた四つの印象を紹介したい。

▶ 印象① バーチャル党大会は盛り上がりに欠ける ~ 観客の声援やスタンディング・オベーションが無いということは、ここまで単調に感じるものかと思った。次々にビデオ・メッセージが繰り出され、目まぐるしさと単調な流れで正直見づらく、30分を超えた時点で飽き始めた。民主党員と言えでも、これをあと3夜、2時間づつ視聴するのは結構つらいと思う。民主党党大会は、共和党にとって来週月曜日から始まる党大会の良い参考になるのではないか。
▶ 印象② 政策提言はほぼゼロ ~ ほぼすべての演説が終始トランプ批判に徹した。相次ぐ批判演説は、単調な流れを助長した原因の一つ。強硬な反トランプ有権者にとっては面白いかもしれないが、小生のような中道派は(好きでもないのに)トランプを擁護したくなるほどやり過ぎな感じがした。これから様々な政策提言を打ち出すことに期待、万が一このまま最後までトランプ批判だけに着手すれば、2016年の二の舞を踏むだろう。
▶ 印象③ 民主党党大会の立役者は共和党員 ~ 一番面白かったというか説得力があった場面は反トランプの共和党員の出演。ケイシック・オハイオ州知事が党より国を優先すべきとバイデン支持を謳った。その他、一般の共和党有権者も出演してトランプへの失望を語った。民主党員が目くじらを立てて一方的にトランプ批判をするのは説得力に欠けるが、党を裏切ってでもトランプに投票できないと切実な悩みを打ちあける共和党員の言葉には重みがあった。
▶ 印象④ ミシェル・オバマの圧倒的存在感 ~ 2016年の党大会演説では直接トランプ批判を避けた元ファースト・レディだが、今回は痛烈にトランプを名指しして批判。彼女は実に力強い演説を行い、多くの民主党員の心を掴んだと思う。トランプがツイッターで反論するほど危機感を募らせたようだ。逆に、他の民主党政治家らは何してるんだ?わざとらしい批判で何も響かない。ミシェル・オバマの存在感は逆に民主党の層の薄さを露呈した印象を受けた。

CNNの驚く世論調査結果: 反トランプの急先鋒であるCNNが大統領選の世論調査を行った。調査は先週12~15日にかけ聞き取り、民主党党大会の17日に公表した。調査は、大統領候補の支持に関してバイデン氏の50%に対してトランプ大統領が46%と僅か4ポイントに差が縮んだのである(下記表参照)。4ポイントはほぼ誤差の範囲内。6月時点ではこの差が14ポイントも広がっていて、10ポイントも縮小するのは実に以外である。更に驚くのが15の激戦州に絞った支持率はバイデン氏の49%に対してトランプが48%とほぼ同率となっている(下記参照)。以前から世論調査が示すほどバイデンのリードは大きくないと主張して来たが、この僅差には逆に正直違和感を感じる。

この調査で特に注目なのが聞き取りのタイミングである。カマラ・ハリスが副大統領に任命されたのが11日、つまり世論調査はこのニュースを織り込んでいる。副大統領任命に加えて民主党党大会を直前に控えており、本来であればバイデン陣営・民主党にとって追い風、歓喜に湧き支持が伸びているはずなのに縮小している。この調査結果がFOX Newsのような保守系メディアのものであればバイアスとして流せるが、反トランプの代表格であるCNNの調査だから注目に値する。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

バイデンのアキレス腱:  CNNの世論調査全体を見れば依然バイデン氏の優勢は変わらない。トランプとの比較でほとんどの項目でバイデンが優にリードしている。しかし大統領選を戦う上で、二つの重要項目でトランプの支持が上回った。バイデン氏のアキレス腱となりかねない二つの重要項目とは、「経済運営」と「メンタル(認知症)」。今回のCNN調査では、経済運営の評価についてバイデン氏の45%に対してトランプが53%と8ポイントの差でリード。6月時点の集計から3ポイント伸びている(下記表参照)。

同調査で大統領選において経済が「極めて重要」と「とても重要」と答えたのが83%と圧倒的に高い。続いて医療制度(ヘルスケア)が72%で続きコロナ禍対応は67%となっている。注目なのが「犯罪と秩序」が67%そして「外交(中国)」が71%と急速に伸びている。経済運営評価に加えて、凶悪犯罪の横行でトランプが掲げる「法と秩序」そして対中強硬姿勢に支持が集まっているようだ。取り分け支持が高まっているのが男性有権者で、35~64歳層の評価が目立つ。

就任すれば78歳と最高齢の大統領になるバイデン氏には健康不安、取り分け(初期の)認知症疑惑が持たれる。CNNの調査は「スタミナと鋭さ」の評価の問いに、バイデン氏が46%でトランプ氏が48%と僅かにトランプが有利となっている。CNNがズルいのは、ハッキリ認知症と明記せず、鋭さ(Sharpness)と聞くことで問題をボヤかしたのである。認知症とはっきり問えば、評価が下がる可能性が高い。更に同じ質問にスタミナを入れることで問題意識を低く誘導したと思われる。有権者の多くはバイデン氏のメンタルに疑問を抱くもののスタミナを問題視する者は少ない。フィジカル面とメンタル面を一つの質問に合わせることで評価の平均化を狙ったバイアスとい合わざるを得ない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

ハリス効果はあるのか?:  バイデン氏は、信頼と政権運営能力の高いスーザン・ライスよりも選挙選を戦うのに有利とされ、知名度の高いカマラ・ハリスを選んだ。ではその選択の効果は如何に?CNN世論調査はハリス女史によってバイデンに投票すると答えたのは22%、逆に投票しないが16%とプラス効果は6%(下記参照)。プラスはプラスだが圧倒的な効果とは言い難い。CNNやNYT紙の当初の報道ではバイデン氏の勝利はカマラ・ハリスによって確実とのニュアンスだったが、バイデン陣営としては幾分期待外れはではないだろうか?カマラ・ハリスは政策の振れがたたり、黒人からの支持も集まらず、民主党大統領候補選を早々と脱落している。無難な選択肢であるハリス副大統領候補は、マイナスでは無いが大統領選を保障するものでは到底無い。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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