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ジョセフ・クラフト 特別レポート

南部でのトランプ影響力健在! ~ 共和党予備選検証・・・

掲載日:2020年07月16日

昨日(現地火曜)に注目の共和党予備選が二つ行われた。いづれの候補も政界経験が全く無いにも関わらず、トランプの支持を受けて大方の予想に反して勝利した。この予備選の結果は候補以上にトランプの勝利であり、共和党内での求心力を強める結果となった。共和党幹部からメールが入ったが、結果を受けて共和党内で激震が走り、この話題で持ち切りとのこと。

先ず、アラバマ州の上院選。ご存じ元司法長官でアラバマ州上院議員を20年(1997~2017年)務めたジェフ・セッションズ氏対オーバーン大学やシンシナティ大学のフットボール監督を歴任して来たトミー・トゥバービル氏との一騎打ち。トランプはツイッターでセッションズを誹謗中傷、有権者に投票しないよう訴えた。結果は60.7%対39.3%とトランプ推薦のトゥバービル氏の圧勝。長きに渡ってアラバマ州の政界を掌握して来たセッションズ氏がここまでの大敗を喫したことに、共和党のエスタブリッシュメントは大きな衝撃を受けているとのこと。これでトランプに反旗を翻す共和党議員は無くなるものと思われる。11月の上院本選で苦戦を強いられる懸念を強く抱ていた共和党執行部にとって願っても無い朗報である。

次に、テキサス州の下院13区の予備選。ここはトランプの主治医であるロニー・ジャクソン氏が新人ながら人気が高い現職のマック・ソーンベリー議員の推薦を受けたジョシュ・ワインガーナー氏の対決。ワインガーナー氏は議員歴は無いものの、ワシントンDCで共和党重鎮であるフィル・グラムとジョン・コルニン上院議員の下で働き、米政界通である。片やジャクソン氏は政治に全く無経験で、米海軍医としてトランプの主治医を務め、2017年にはトランプがすこぶる健康との診断書を出し、リベラル系メディアから揶揄されたことは記憶にあるかもしれない。予備選の結果は、55.6%対44.4%でトランプ支持のジャクソン氏が余裕で勝利。ここでもトランプは積極的にジャクソン氏を応援。コロナ感染拡大でテキサスなど南部でのトランプの影響力が停滞していると言われていたが、完全に打ち消す結果である。

二つの予備選だけで大統領選はとても占えない。しかし、この結果は、トランプの下で共和党の結束力を改めて引き締める切っ掛けとなるものと考える。逆行から勝利をもぎ取る快挙をアメリカでは「Pulling a rabbit out of hat」と表現する。大統領選でもトランプは再び帽子からウサギを取り出せるか見物である・・・。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

マスク・アレルギーを持つアメリカ人の心理解析・・・

米CDCによると、現在まで一日での最大新期感染者数は7月10日に付けた66,281人。感染拡大要因の一つに挙げられているのがアメリカン人のマスク嫌い・不着用である。6月4~10日に行われたPew Researchの世論調査では、「マスクを常に着用している」と答えたアメリカ人は44%。少なくとも感染が深刻なカリフォルニア、テキサスそしてフロリダなどの州ではマスク着用が広がると思いきや、各地で「アンチ・マスク」デモが行われる始末(下記写真①参照)。アメリカ人がマスク着用に抵抗する心理を突き詰めると「恐怖心」の一言にあると考える。それは「弱々しく見える恐怖」、「敗北感への恐怖」あるいは「自由を奪われる恐怖」など様々な感情があるが、全ては恐怖心に集約出来る。マスクへの抵抗はイギリスを筆頭に欧州にも共通するものだが、カウボーイ文化のアメリカでは特に強い反応である。このような心理は日本を始めアジア諸国にはなかなか理解しがたいものであろう。

ロンドン大学とカリフォルニア大学バークレー校が5月に2,500人を対象に世論調査を行ったところ、欧米では顔を隠すことは「弱々しさ」、「敗北」あるいは「恥じ」というスティグマ(汚名)があることが確認出来た。調査では女性よりも男性の方がマスクを嫌がる傾向があるとも分かった。コロラド州デンバー大学の心理学教授曰く、欧米ではマスクが「死」あるいは「死刑」を連想させるとも指摘。死刑囚が射殺あるいは首吊りの刑に処される際に目隠しや頭に袋をかぶせられ、それが潜在意識に残っているとのこと。

そこで11日(土)にトランプ大統領が、ウォルター・リード米軍医療センターを訪問した際にカメラの前で初めてマスクを着用して話題となった。さすがのトランプもこれだけ感染が広がったのではマスクを着用せざる負えなかったものと思われる。しかしトランプは、アメリカ人のマスク・スティグマを十二分に意識し、巧みなPR演出を図ったのである。

そこでトランプが図った三つの演出を紹介したい: ①カメラに正面から突進することで威圧感・攻撃性を強調、②軍人・軍医を脇に固めることで強さやリーダーシップをアピールそして③黒いマスクを着用することで迫力や殺気を助長。先ず病院に入る際、トランプは取材班・報道カメラの正面から突進・向かって歩くように設定がなされた(下記写真②参照)。面等向かって突進することは攻撃性や威圧感を与え、強さをアピールする意図が感じられる。次に報道陣に向かって歩く際、トランプは軍人・軍医を数名脇に固めてあるいている。通常であればホワイトハウス側近あるいは白衣姿の医師が付きそうが、WHスタッフはかなり後方に居り、軍医らは軍服を着せさせられている。これは軍の最高令官の印象を植え付け、明らかに軍としての強さやリーダーシップをアピールしている。最後にトランプ始め一行は黒いマスクを着用している(下記写真③参照)。黒という色は心理的に殺気、不気味さ、冷静あるいはパワーなど連想させると言われる。更に報道陣の前を横切る際にトランプはしかめっ面・睨みを聞かせて威圧感を助長もしているように伺える。因みに黒マスクは横に大統領印が添えられていることから特注であることが確認出来る。

深読みと思われるかもしれないが、ジョー・バイデンも初めてマスク姿をCNNのインタビューで見せた時は黒マスクを着用した(下記写真④参照)。バイデンは強さをより印象付けるために黒のレイバン(サングラス)も掛けたのである。認識すべきポイントは、トランプだけでなく民主党・バイデン陣営でさえも、マスクに対する国民の抵抗感あるいはマイナス・イメージを強く認識しているということである。アメリカ人である小生としてはパンデミックの最中、マスクを躊躇なく着用すべきと切に思うが、良くも悪くもこれがアメリカなのである・・・。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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