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ジョセフ・クラフト 特別レポート

「K値」から検証するアメリカのコロナウイルス第2波・・・

掲載日:2020年06月16日

第1波が終わったかどうかも疑わしい中、アメリカで染2波のコロナ感染が懸念されている。日ごとの感染者数で一喜一憂するのではなく、感染の速度あるいは傾向をより客観的に検証出来る「K値」を見てみたいと思う。K値は、直近1週間の新規感染者数を累積感染者数で割って算出する(下記参照)。下記チャートは、4月1日から5月31日までのK値トレンドラインを算出、それからその先の予測傾向ライン(Trajectory)を描いた。6月以降の「K値」を算出して予測傾向ラインと比較してどれだけ逸脱しているかによって感染傾向・速度が加速あるいは減少しているか見極められる。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

先ず、日本の感染状況を見てみたい。下記左チャートは4月1日~5月31日のK値(赤線)を算出、それから予測傾向ライン(点線)を計上。6月1日以降の「K値」を算出すると、予測傾向ラインを下回っていることが伺える(右チャート参照)。つまり感染速度が5月末時点の予測より早く進んでいるとが示唆される。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

では、問題のアメリカはどうなっているのか?米全土を一括りで見ると、「K値」の観点では第2波どころか感染が予想以上に縮小していることが示されている。ただ、アメリカは領土が広いため、一括で見るのは正しくないと言えよう。むしろ州ごとを別々に検証、特に経済圏が大きい州、あるいは大統領選への影響が高い激戦州の感染状況を注視する必要がある。感染者数だけで見ると、フロリダ、アリゾナ、テキサスそしてカリフォルニアが懸念されるものの、「K値」からは幾分違った見解が見て取れる。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

第2波リスクが最も深刻、つまり感染速度が加速している州はフロリダである。6月以降の「K値」は予測傾向ラインを大幅に上振れしている(右チャート参照)。フロリダは、人口においてカリフォルニアとテキサスに次いで3番目に大きい州。そして大統領選においては最も重要な激戦州でもある。第2波が現実となれば、経済打撃と共に大統領選の行方も左右しかねないことから要注意すべきである。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

フロリダの次に懸念されるのがアリゾナ州。「K値」はフロリダほど上振れしていないものの、明らかに感染の速度が加速している。アリゾナは大統領選において激戦州であるが、それ以上に上院選での影響が注目される。通常2議席のうち1議席が争われるが、今回は補選があるためアリゾナは2議席が争われる。コロナ感染をコントロールできないと共和党にとって不利な展開になりかねない。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

人口で2番目に大きいテキサス州は感染者数が軒並み上昇していてフロリダと共に注目が集まっている。しかし「K値」は、思ったほど上振れしていない。要注意傾向ではあるが、直近の「K値」は多少ながら減少しているようんみ見受けられる。今のところ第2波が来ているとは言及できないが、悪化リスクはまだ拭われていない。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

一番以外だったのがカリフォルニア州。感染者数は確実に上がっているのに、「K値」は予測傾向ラインを大きく下回っている。感染者は増えているが、感染速度がコントロールの範囲内にあるようだ。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

大統領選で重要な影響を持つ激戦州のノース・カロライナは6月初旬の「K値」が結構上振れして懸念視されたが、直近では感染速度が減少している。依然要注意水準にあるが、コントロール範囲に入る可能性が考えられる。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

ロックダウンを6月上旬まで継続したニューヨーク市の「K値」は予測傾向ラインを優に下回っており、金融に重要な都市では今のところ第2波のリスクは見られないと言えよう。それでも最も被害を受けただけにクオモ知事はしきり注意を呼び掛けており、神経質になっている。

出所:Worldometer 各州厚生局、厚労省

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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