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ジョセフ・クラフト 特別レポート

広告支出から占うスーパーチューズデー予備選・・・

掲載日:2020年03月03日

下記チャートは、スーパーチューズデー1週間前(2月23~29日)に各候補がテレビ・ラジオ広告に費やした資金を表す。ブルームバーグは14州全てに大量の広告展開を相変わらず行っている。ブルームバーグ氏は予備選に参入した11月21から現在まで500憶円以上の広告費を支出、これはオバマ大統領が2012年の再選に使った広告費の倍近い額。異例な選挙戦術も一定の効果を見せたが、現在の世論調査を見ると、カリフォルニアで4位、テキサスで3位、マサチューセッツで4位、そしてノース・カロライナで3位と費用対効果が疑問視される(答えは費用対効果など求めていないということだろう)。主観的に見て、ネバダ討論会の大敗によってブルームバーグ陣営の勢いに陰りが見られると言わざるを得ない。

サンダーズ氏は620万ドルを14州中12州で支出、フロントランナーらしいバランスの取れた展開が見られる。サンダーズ氏は既に知名度は高く、スーパーチュースデー州の世論調査でも基本的にトップに居るため、無理な広告展開によって無駄に資金を捻出する必要は無い。逆に資金難とされるクロブチャー女史がサンダーズの次に広告展開をしているということは、スーパーチューズデーに全てを賭ける戦略であろう。彼女には指名獲得の確率はほぼゼロのため、地元もミネソタ州で勝利し、花道にするものと思われる。

最も興味深いのがブティジェッジ、ウォーレンそしてバイデンの三者と言えよう。一定の余力資金が残っているはずのブティジェッジ氏が僅か220万ドルの支出に止めているのは不思議と言える。その答えは今朝分かった。ブティジェッジ陣営としては、指名獲得の可能性が極めて低いことを認識、先週の段階から支出を抑えていたものと思われる。因みに、今回の選挙収支活動からの残金は(議会、知事選あるいは大統領選問わず)次回の選挙に持ち越せる。ブティジェッジ氏に関する直近の注目事項は今日・明日でバイデン氏への支持を表明するかである。

ブティジェッジよりも劣勢に立たされているウォーレン女史は、戦い続ける姿勢を示している。しかし160万ドル程度の広告費ではとても現状を変えることは出来ない。単に財政難を露呈しているに過ぎず、離脱は時間の問題。離脱が確実ならブティジェッジのように早い段階で潔く撤退する方が良い。しかしウォーレンが早期に離脱できない背景には党の政治事情が挙げられる。バイデンを推奨する党執行部は、同じ中道派のブティジェッジの撤退を早めるために何らかのインセンティブを提示した可能性が高い。逆にウォーレンには残ってもらい、サンダーズの票を食ってくれることが好ましい。つまりウォーレンには撤退するメリットが少ないため、資金が底を付くまで戦う可能性がある。ただし昨日も指摘したように、火曜日に地元マサチューセッツの予備選が予定されており、ここでサンダーズ氏に負けるようなことがあれば恥をかくだけでなく、献金も急速に減ることが予想され、早期の撤退に追い込まれることが見込まれる。

さて、最大の関心はバイデン氏。僅か5州で150万ドルの支出はあまりにも脆弱。これは財政難をもろに表しており、瀬戸際に立たされたバイデン陣営はスーパーチューズデーよりもサウスカロライナに勢力を集中した。その戦略が見事に功を奏し、サンダーズ(左派)対バイデン(中道派)の2強構図を確立出来た。しかし、その代償はスーパーチューズデーでの劣勢を強いられることであろう。ブティジェッジの離脱そしてサウスカロライナでの勝利は今後献金を呼び込み、財政事情の改善が見込まれる。しかし、今からスーパーチューズデーには間に合わず、ある程度サンダーズに差を付けられることは覚悟しなければならない。蘇ったバイデン氏としては、激戦州が集中する3月10日そして17日の予備選に巻き返しを狙うしかない。

トランプ支持率最高水準に ~ コロナウイルスは吉と出るか凶と出るか?

直近の世論長でトランプ大統領の支持率が就任以来の最高水準に達している。主要世論調査の平均値で算出されるリアルクリア・ポリティックスの27日付け世論調査では支持率が45.9%となっている(下記チャート参照)。約半数の国民が反トランプであることを考慮すると、これは驚異的な数字と言えよう。この支持率が更に上昇あるいはこれから下降するのかはコロナウイルス情勢がカギを握っていると考える。トランプは先月26日にコロナ・ウイルス対策に関する記者会見を開く、かなり楽観的なメッセージを放った。しかし、直後に初の国内感染者が発表され、かえって懸念を助長してしまい、翌日には株価が暴落する事態を招いた。その後2名が亡くなるという事態に発展、トランプ氏は2回目の記者会見を開かくことを余儀なくされた。今後対応そしてコロナウイルス状況によっては支持率どころか大統領選事態に影響を及ぼしかねないことからホワイトハウスの緊張は急速に高まった。その意味で学校閉鎖に踏み切った安倍政権の対応をトランプ政権も注意深く見ているのではないか?

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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