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ジョセフ・クラフト 特別レポート

サウス・カロライナ州予備選結果検証 ~ バイデンの起死回生劇・・・

掲載日:2020年03月02日

SC州の予備選は、バイデン氏が黒人票を取り込み、48%を獲得し圧勝した(下記表参照)。黒人有権者の強い支持を得た最大の要因は、SC州で強い影響力を持つ下院議員重鎮のジム・クライバーン氏の支持を取り付けたこと。同議員のバイデン支持表明スピーチは感動的で黒人有権者をふるい立たせたとされている。一言でこの予備選をまとめると、サウスカロライナ州はバイデンが好きであること。しかし、サウスカロライナ圧勝の流れがそのままスーパーチューズデーにも反映されるとは限らない。

2月に行われた4つの予備選を終え、今後の展開をどのように予想すべきか? ひとことで言うと以前に指摘させていただいた、左派のサンダーズ対中道派バイデンの2強構図にやっと絞り込んで来たと考える。そこにブルームバーグという不確実性要因はあるものの、ほぼ2強の戦いに入ったと考えて良いのではないか。先ず、SC州に全てを賭けてきた億万長者候補のトム・スタイヤ―氏が結果を受けて離脱を表明した。そして前回のネバダと今回のSC州結果を分析する限り、ブティジッジ、ウォーレンそして特にクロブチャーの3名は、スーパーチューズデーに挑んだとしても今後の道筋はほぼ絶たれたと言って良いと思われる。

そこで今回の勝利を受けてバイデン氏は、(中道派票を争う)ブティジッジとクロブチャー両候補の早期撤退を促すよう民主党執行部に働きかけることが予想される。同時に左派勢力もサンダーズ氏に票を集約すべく、ウォーレン女史に圧力を掛けるであろう。クロブチャー女史はスーパーチューズデーに行われる地元のミネソタ州予備選を花道にして撤退する可能性が高い。注目なのがウォーレン女史。実は地元マサチューセッツでサンダーズに押され苦戦している。せめてスーパーチューズデーを見届けたいのがウォーレン女史の心情だが、地元で負ける屈辱、それに伴う求心力の低下を避けるために近日中に離脱する選択肢が考えられる。ブティジッジ氏は資金的に3月いっぱいを戦えるかもしれないが、本人としては将来を見据えて民主党執行部からどのような条件(下院、上院、州知事?)を提示られるかが焦点ではないか。それによって離脱のタイミングも決まる。ブルームバーグ氏はスーパーチューズデーから本格参戦するが、どこまで健闘できるか未知数である。今回、好感度に関する出口調査が行われたが、ブルームバーグ氏は26%と好感度が全候補の中で最も低かった(下記参照)。SC州が例外である可能性はあるものの、ブルームバーグ氏の躍進には疑問を投げかけるデータである。

サンダーズ対バイデンの2強図と指摘したが、サンダーズ氏の優位性は変わらないと考える。スーパーチューズデー最大州のカリフォルニアとテキサスでサンダーズ氏が今のところ余裕のリードを保っている。予想される予備選の展開として二つ挙げられたい: ①サンダーズが逃げ切って過半数獲得、または②サンダーズリードするも過半数に届かず、第2ラウンド(スーパー代議員票)に突入。個人的には後者の可能性が高いと考えている。ブルームバーグというダークホースは排除できないが、個人的には懐疑的である。

ワシントン・ポスト出口調査: サウスカロライナ州予備選をより掘り下げるためWAPOの出口調査データを使っての部宴席を下記に紹介したい。

▶ 人種別 ~ SC州最大の注目事項そしてバイデン氏の命綱と言えるのが黒人票。バイデン氏は黒人票の64%と圧倒的な支持を得た。これによってバイデン氏は、黒人票を取りまとめられる候補としての信頼を取り戻せた。逆に致命的となったのがブティジッジ氏、黒人支持が僅か2%に止まった。SC州でせめて10%の黒人票を取れないと大統領本選はおろか、予備選を戦い抜くのは極めて困難と言えよう。逆に予想外だったのが白人票動向。バイデンは白人票の34%とサンダーズやブティジッジを上回った。単に黒人に強い候補では無く、バランスの取れた中道派代表として党内執行部にアピールできる。

▶ 性別 ~ バイデン氏は女性・男性共に50%程度の支持を獲得、バランスの取れた支持基盤を見せた。対照的にサンダーズ氏は女性支持の弱さが目立つ。その他ではネバダ州に続き、女性票を囲いきれないウォーレンとクロブチャー候補は相当劣勢に立たされた。左派票をサンダーズそして中道派票をバイデンとブティジッジに取られると残された道は女性票の確保だが、それすら手中にできていない。

▶ 年齢別 ~ バイデンはこれまで65歳以上層には強かったものの、若年層をサンダーズ氏に取られ、中間層をブティジッジに奪われて来た。今回、若年層は相変わらずサンダーズが強かったものの、その他の年齢層はバイデン氏が獲得。特に投票率が最も多かった45~64歳セクターでの圧勝が大きかった。無論これら年齢層の多くは黒人ということが背景にある。カリフォルニア、テキサス、コロラド、マサチューセッツそしてミネソタなど重要スーパーチューズデー州はサウスカロライナのように簡単ではない。

▶ イデオロギー別 ~ 先ず、踏まえなければいけない点は、SC州は根本的に保守州であること。従って「とてもリベラル」と位置付けても、ニューハンプシャーやネバダ州の「とてもリベラル」と比べるとむしろ中道・保守寄りであること。それを考慮すると、バイデンがサンダーズを抑えて「とてもリベラル」層から44%の支持を得たのが理解出来る。むしろサンダーズが「ややリベラル」そして「中道派・やや保守」層からの支持を予想以上に獲得、健闘したと言える。ブティジッジとクロブチャーがバイデンの中道支持基盤を全く崩せなかったのも痛い。

▶ 候補好感度 ~ SC州でバイデン氏の人気は明らか。そこでバイデンを除くと各候補の好感度はどのように変わるのか?最も興味深いのがブルームバーグ氏。クロブチャー女史を除き、サンダーズ、ブティジッジそしてウォーレンは基本的に50%前後の好感度を獲得している。ところがブルームバーグ氏を好感する有権者は僅か26%、好感しないが66%となった。サウス・カロライナ州が特殊との可能性は否定できないが、もしスーパーチューズデー州、特に南部でも同じ見解だとすれば、ブルームバーグの苦戦を予見するものである。やはりネバダ州討論会の大敗が尾を引いているかもしれない。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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