ジョセフ・クラフト 特別レポート

ネバダ州民主党党員集会(途中)結果を検証・・・

掲載日:2020年02月25日

アイオワに続いてまたも集計が遅れてしまった!党員集会の投票方式に大きな課題を残し、次回の選挙で見直す圧力が掛かるだろう。今回、集計遅れがあまり問題視されない理由は、サンダーズ氏が圧勝したからである。現時点(現地午前3時)で50%が開票され、サンダーズ氏が46.6%と予想を大きく上回って勝利を確実にしている(下記表参照)。サンダーズ氏圧勝の要因は大きく分けて三つ挙げられる: ①女性票、②ラテン票そして③初めて投票する有権者の発掘。2位はバイデン(19.2%)、3位がブティジェッジ(15,4%)そしてウォーレンとクロブチャー候補は代議員票獲得条件の15%をかなり下回り苦戦している。サンダーズは2位に27%の差を付け、サウス・カロライナそしてその直後のスーパーチューズデーに向けて大きな勢いを付ける結果となった。投票データを分析する限り、サンダーズ氏に本格的に挑戦できる可能性がある候補はもはやブルームバーグしかないかもしれない(詳しくは下記分析参照)。ブルームバーグ氏に関しては、ネバダ討論会の大敗がどこまで有権者意識に影響を与えたか見極める必要がある。瀬戸際に立つバイデン氏に関して、事前予想の2位に入ったものの、下記のデータや郡別での勝利動向を検証すると内容が弱いと言わざるを得ない(下記右図参照)。郡別の勝敗で17郡のうち、サンダーズ氏は11郡を抑えると見られ、ブティジェッジ氏が五つの郡を取りそして1郡は拮抗・未定となっている。つまり2位のバイデンは一つの郡も取れない可能性がある。結果として2位に入れば合格とすべきだが、今後の巻き返しを期待させる内容からは程遠い。

そこで投票率の裏にある有権者データを掘り下げてみたい。ワシントン・ポスト紙の入り口調査データを基にした分析を下記に記載。

▶ 性別投票: サンダーズ氏が男性票(特に若者層)を最も獲得したことは驚きでない。驚いたのは、サンダーズ氏への女性票もダントツに多かったことである。男性有権者の38%がサンダーズに投票そして30%の女性もサンダーズに投票した(下記左チャート参照)。女性票を獲得すべきウォーレンは男性(10%)対女性(15%)そしてクロブチャーも男性(10%)対女性(11%)と女性票を伸ばせなかった。他の候補からほぼ倍の女性票を獲得したことがサンダーズ氏の大勝に繋がった要因の一つであることは間違い無い。

▶ 人種別票: 注目された黒人票は、バイデンが予想通り39%と最も獲得した(下記右チャートい参照)。しかし、サンダーズ氏も27%の黒人票を獲得、かなり健闘した。黒人票に関してはブティジェッジの予想以上の苦戦が目立った。ブティジェッジは黒人票の僅か2%しか取れず、この傾向がサウスカロライナ州そしてスーパーチューズデーでも続くようであれば、予備選を勝ち抜くことは無理と言えよう。最も注目すべき点は、サンダーズ氏が51%と圧倒的にラテン票を獲得したことである。これは、ラテン系有権者が多いカリフォルニア、テキサスそしてフロリダなど大型州での躍進を示唆する重要な成果と言える。もう一つ注目すべき点は、マイノリティの投票率である。ネバダ州の黒人層は全有権者の19%そしてラテン系は13%を占めるとされる。入口調査が投票動向を正しく反映しているとすれば、黒人層の投票率が減少、ラテン系が大きく上昇したことを示す。この結果は、理にかっているかもしれない。もともとバイデンを支持する黒人層は同候補の低迷に失望し、投票に出向かない可能性が考えられる。逆に多くのラテン系有権者は左派政策(主に大学無料化と国民医療保険制度)を支持、更にトランプの移民政策に危機感を募らせているため、積極的に投票した可能性がある。大統領本選に関して、黒人層の投票率低下は民主党にとって不利、逆にラテン系の上昇はトランプに不利に働く。

▶ 候補を選ぶ理由: アイオワとニューハンプシャー州同様、候補を選ぶ理由として「政策を支持する」が3割以上そして「トランプに勝てる」が6割以上の結果となった。ただしネバダの違いは、「政策を支持する」と答えた有権者の54%がサンダーズ氏に投票した(アイオワでは36%、ニューハンプシャーは39%)、つまり、ネバダ州の有権者は左派・プログレッシブ(進歩派)志向が多いことが示唆される(下記左チャート参照)。この背景には、上記で指摘したラテン票が一つの要因として挙げられる。民主党にとって最大の問題は、6割を超える「トランプに勝てる」投票結果である。アイオワ、ニューハンプシャーそしてネバダでも、「トランプに勝てる」と3割を超える候補が居ない。サンダーズ、ブティジェッジそしてバイデンと三人で概ね票を分け合っている。つまり、6割の有権者が最も重要視する「トランプに勝てる」理由に当てはまる候補が居ないということ。これでは反トランプ有権者は盛り上がりに欠け、投票に出向かない可能性があり、民主党として懸念すべき状況思われる。

▶ 投票経験: 今回、最も驚いたデータで且つサンダーズの躍進に繋がったと思われるのが、初めてネバダ党員集会に参加・投票した有権者が5割を超えたこと(下記右チャート参照)。初めて投票した有権者のうち、38%がサンダーズ氏に投票した。民主党予備選そして大統領選を制するのに投票率が最大の要因と考える。サンダーズ氏は新たな有権者を発掘出来る力があるとすれば、民主党予備選で最終指名を受ける確率は相当高まると考える。次のサウス・カロライナ州予備選(29日)で、このデータを注視したい。このデータがスーパーチューズデーを決める鍵となるかもしれない。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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