ジョセフ・クラフト 特別レポート

ニューハンプシャー州予備選結果検証・・・

掲載日:2020年02月12日

ポイント① サンダーズ氏、極めて後味の悪い勝利
ポイント② バイデン氏、9割型終わった
ポイント③ ブティジェッジ氏、民主党統一を意識
ポイント④ クロブチャー女史、ブティジェッジのアキレス腱となる?

ポイント① サンダーズ氏、極めて後味の悪い勝利:
開票40%時点でサンダーズはブティジェッジに4.1%の差を付けてリード。そもそも、2016年ヒラリーに付けた20%の差なんて言わないがせめて10%、最悪でも4~5%の差は欲しい。ところが、終盤はブティジェッジに追い上げられ、1.4%の差まで縮められてしまった。地元の庭先で接戦に持ち込まれるのは心理的にもイメージ的に悪い。何度か指摘させていただいているが、アイオワ州とニューハンプシャー州の予備選は獲得した代議員票が大事では無く、勢いを付ける「印象」あるいは「イメージ」が大事である。地元で圧勝を演出出来なかったサンダーズ選対本部にとって負けに等しいと考える。更にサンダーズ陣営にとって気掛かりなデータとして支持候補の決断時期が挙げられる(下記参照)。ワシントン・ポストの出口調査によれば、サンダーズ支持は早い段階から固まったものの、「数日以内」に決断、つまり迷っている有権者は、ブティジェッジあるいはクロブチャーに傾いている。サンダーズは熱狂的な支持者以外を取り込めず、これが終盤のブティジェッジ追い上げに寄与した一つの要因と言えよう。

ポイント② バイデン氏、9割型終わった:
バイデンが早々にニューハンプシャー州から引き揚げたのは理解出来る。結果は5位、得票率は一桁、でも中身はもっと酷いものである。先ず、イメージ的にはクロブチャーに大差を付けられたのは恥ずかしい限り。しかし最も致命的なのが下記の「Electability(当選力)」を問う出口調査。以前にも指摘したが、バイデンが支持される最大の理由は「トランプに最も勝てそうだから」というもの。アイオワで6割が「トランプに勝てる」ことが候補を支持する最大の理由と答えた。アイオワでは6割のうち、23%がバイデンを支持したが、24%はブティジェッジを支持とバイデンの「当選力」神話・イメージにヒビが入った。バイデンではトランプに勝てないとの見解が広まれば、バイデンの存在価値が無くなる。そこでニューハンプシャーで同じ出口調査を見ると63%が「トランプに勝てる」を候補支持の最大理由と答えた。その63%のうち、最も支持を受けたのがブティジェッジの28%、続いてサンダーズの21%そしてクロブチャーの20%(下記参照)。バイデンが「トランプに勝てる」と答えたのは僅か11%と大きく後退、バイデンの「Electability(当選力)」神話が崩壊した瞬間である。これを受けて2月29日のサウス・カロライナ予備選で圧勝しない限り、立ち直ることはほぼ皆無と考える。

ポイント③ ブティジェッジ氏、「統一」を意識:
順位は2位ながら、実質的な勝者はブティジッジと言えよう。トランプも同様の印象を持ったみたいで、ツイートを投稿している。そのツイートからはブティジッジを真剣に意識し始めていることが伺える。ブティジェッジに関して今回最も印象深かったのは、予備選終了後のスピーチである。他の候補が1週間まえからブティジェッジを攻撃、敵対姿勢を強めていた。ところが、ブティジェッジ氏はスピーチでサンダーズ氏の勝利を称えただけでなく、各候補にも敬意を表した。そこから、演説の内容は国の「統一」そして「理性のある変化・改革」を主張した。民主左派と中道派だけでなく、民主と共和党員の融和・結束を唱えた。現在の民主党候補を見る限り、有権者らを統一あるいは結束させる力を持っているのはブティジェッジだけではないかと考える。同様のポジティブなメッセージを唱えて新星として勢いに乗った候補がもう一人居る、それはバラク・オバマ。ブティジェッジ氏がオバマのように台風の目になり得るからまだ分からないが、少なくともブティジェッジ陣営が意識していることは間違いない。

ポイント④ クロブチャー女史、ブティジェッジのアキレス腱?:
今回、サンダーズ陣営が安堵する要因があるとすればクロブチャー女史の健闘であろう。何故ならば、彼女はブティジェッジの票を最も奪うリスクがあるからである。その意味で、下記の「政治思想別」の出口調査を見てみたい。先ず、リベラル・左派有権者は全体の20%を占め、その半数がサンダーズ氏を支持。しかし、76%を占める「ややリベラル」と「穏健(中道派)」はブティジェッジが有利。しかし、本来ブティジェッジにはもっと票が流れたかもしれない。全体の36%を占める穏健・中道派層の27%はブティジェッジとクロブチャーが分け合ってしまっている。クロブチャーが健闘していなければ、ブティジェッジは更に躍進、下手したら全体の得票率でもサンダーズを上回っていたかもしれない。今後の焦点として、クロブチャー女史がブティジェッジ氏の足枷になるか着目したい・・・。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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