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ジョセフ・クラフト 特別レポート

ポンぺオ国務長官、上院鞍替えの真相・・・(米高官筋)

掲載日:2020年01月31日

去年の7月19日のレポートで、ポンぺオ国務長官が2020年に上院へ鞍替えする可能性を紹介、トランプ再選のリトマス試験の一つになり得る見解を紹介させていただいた。その後、11月22日のFOX Newsインタビューでそのことを聞かれたトランプ大統領が、「カンザス州の議席を失うリスクがあるなら、マイクは出馬すると思うよ」と肯定的な考えを見せ、憶測が高まった。ところが12月2日に、ポンぺオ長官は「全くの事実無根」と上院への鞍替え説を否定した。ところが12月14日にポンぺオ氏は、突如個人のツイッター口座を開設、カンザス州民や商工会議所など地域の有権者にアピールする写真やメッセージを投稿し始めた(下記参照)。上院選の準備と思いきや、今年に入り、「カンザス州民(Kansan)」という言葉が削除されたり、投稿写真も家族や趣味のもの中心に変わり、心境の変化を匂わせる。長官として残留するのか?それとも鞍替えするのか?真相は次の通りである・・・

11月初旬にマコネル上院院内総務がトランプと会談、2020年カンザス州上院選の懸念を伝えた。現在、立候補しているクリス・コーバック氏は2018年にカンザス州知事選に出馬、敗戦しており、共和党執行部からの信任が薄い。トランプにとっても他人事では無い。自身が再選しても、下院に加え上院が民主党にひっくり返えるようなことになれば死活問題となる。国務長官を失うよりも上院死守が重要とトランプも背に腹は代えられない。ポンぺオ長官自身、残留を希望したとのことながら、鞍替え案を固辞するわけでも無かったとのこと。そこで11月末にマコネル、ポンぺオそしてトランプが再度協議した結果、鞍替えしない方向性ながらも、弾劾裁判後の状況を踏まえ、改めて協議するとのこと。カンザス州上院選の立候補期限が6月1日のため、マコネル院内総務はそれまでに上院選全体の最終見通しをトランプに報告する。基本路線はポンぺオ長官の残留ながらも、上院選で苦戦を強いられるようであれば、同長官の鞍替えの可能性は十分ある。トランプ大統領からの要請があれば、ポンぺオ長官は上院への立候補を受ける覚悟のようだ。そこで、「全くの事実無根」は言いだが、現時点、形式的には、上院選への出馬は(とりあえず)見送っているため、12月2日のポンぺオ長官の否定コメントは、厳密にはウソではない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

今週末にも終結? それとも長期戦? 岐路に立つ米大統領裁判・・・

先週から上院で、弾劾裁判が行われているが、日本はもとよりアメリカでも注目度は低い。CNNなどリベラル系放送局は連日特集を組んでいるが、下院での弾劾調査と内容は変わらない。民主党弾劾チーム(下院議員で構成される検察的役割)そして大統領弁護団にそれぞれに24時間の答弁時間が与えられた。民主党は三日間にかけて24時間をフル使った。そのため、同じ答弁・事案を何度も繰り返し、しつこい、妬み深いとの印象を与えたと思われる。それを察した大統領弁護団は、土曜日の冒頭弁論を2時間に止めた。弁護団にとって残念なことに、本格的な反論に入った月曜日と火曜日に、コロナウイルスとバスケットボールのスターであるコーベ・ブライアントの事故死のニュースの影に隠れてしまった。今後のスケジュールだが、現地水曜日から上院議員の質問が二日間に掛けて行われ、早ければ金曜日に新たな証人を呼ぶべきかの採決に入る。証人を要請しないとなれば、土曜日ないし月曜日弾劾採決に入り、否決されて一連の騒動は終わる。

ホワイトハウス及びマコネル上院院内総務としては、2月4日に予定されているトランプ大統領の一般教書演説前に裁判を終わらせたい考えだ。そこでトランプは無罪を改めて主張、民主党の陰謀・策略、社会主義の脅威などの自論を唱え、大統領選への勢いを付けたいと考えている。マコネル院内総務が気に掛けているのが世論である。7割近い有権者が更なる証人を呼ぶべきと答えている。強硬的に弾劾採決に踏む切れば、世論の反発を招き、下院での民主党の二の舞を踏みかねない。更にマコネル氏が気に掛けなければいけないのが、四人の共和党上院議員である(下記参照)。証人を招集するには共和党から4票の賛成票が必要となる。現在、ミット・ロムニー(ユタ州)とスーザン・コリンズ(メイン州)が賛成を表明している。もう二人、リサ・マーコスキー(アラスカ州)とラマー・アレキサンダー(テネシー州)は姿勢を表明していないが、賛成する可能性がある。

概ね、証人を呼ばない方向でマコネル氏が調整を図っていたが、厄介なことにボルトン元NSC担当の暴露本の中身がリーク、物議を醸している。リークの内容は、トランプがボルトンに直接軍事支援は直接バイデン候補の捜査とリンクしていると言ったとのこと。トランプは当然否定。そのため、ボルトン氏を招集して直接真意を聞くべきとの圧力が共和党に掛かっている。因みに、弾劾裁判の最終局面でリークが出るのは明らかに意図的な行為でほぼボルトン側によるものと考える。完全な売名行為。何故なら、ボルトン著書の予約受付開始の数時間前にリークされたからである。こんな偶然はあり得えない。火曜日の段階では、マコネル氏はホワイトハウス側に証人招集の否決の票が足りないと報告したとのこと。

では、ボルトンを証人として呼び、早く終わらせれば良いのでは?ところが、一般教書演説前に裁判が終わらないのなら、トランプ陣営は、ハンター・バイデン、ジョー・バイデン、シフ下院情報委員長、ウクライナ疑惑の内部告発者などの証人を呼ぶことが予想され、弾劾裁判が長期化する可能性ことが考えられる。弾劾裁判の長期化は民主・共和両党共に望まない。議会に近い政治アナリストによると、本音は民主・共和党共に裁判を終結したいが、刀を鞘に戻せない状況に陥ってしまった。どのように収めるかマコネル院内総務の手腕が問われる。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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