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ジョセフ・クラフト 特別レポート

大統領選の行方を示唆するCNNの気まずい独自調査・・・

掲載日:2019年12月18日

本題に入る前に、RealClear Politicsの12月15日付けの弾劾世論調査の集計によると、10月以降初めて不支持(47.6%)が支持(46.9%)を上回った(下記チャート参照)。もう後戻りはできないものの、今夜に下院弾劾決議を控え、民主党にとっては悩ましい流れと言えよう。弾劾の可決は織り込み済みで、後は民主党から何名の造反者が出るかだけが焦点となっている。世論調査動向以上に、激戦区を中心とする民主党議員は地元のタウンホールなどで抗議を受けているとの報道が多数ある。ナンシー・ペロシ事務所の幹部曰く、ペロシ議長は造反を4~5名以下に止めるよう手綱を引き締めているとのこと。いづれにせよ、弾劾世論調査動向がどこまで今夜の決議に影響を与えるか注視したい。

弾劾世論が重要なもう一つの理由は、来月に控える上院裁判の戦術に影響しかねないことである。現在、マコネル院内総務は証人を最小限に抑え(一人も呼ばない案を検討)、即判決に入りたい模様。ところが、弾劾への反対世論を追い風に、ハンター・バイデンやFBIのFISA(外国情報監視法)不正などに関する証人を召喚し、攻勢に出るべきとが強まる可能性が考えられる。トランプ及びホワイトハウスは後者を望んでいるようだ。実は、マコネル院内総務には上院裁判を長引かせたくない理由が三つあると思われる。一つは裁判を長引かせ、過剰なバイアスを露呈すれば国民の反発を買い、下院民主党の二の舞を踏みかねないこと。二つ目は裁判を長引かせるとその間に新たな事実あるいは疑惑が浮上しかねないこと。最後に裁判中は民主党の大統領候補らが(サンダーズ、ウォーレン、ブッカーそしてクロブチャー)選挙活動出来ず、バイデン氏に有利に働きかねない。どの候補が戦い易いかの議論はさておき、共和党執行部としては、民主予備選が混迷し、どの候補にも勢いを与えないことが重要。

さて本題だが、CNNが12月15日付けで大統領弾劾に関する最新の世論調査を発表、反トランプ急先鋒の調査でも弾劾反対(47%)が賛成(45%)を上回ってしまった(下記表参照)。弾劾への賛成票は11月24日の前回調査の50%から5ポイント下落、逆に反対票は前回の43%から4ポイント上昇した。面白いことに、ホームページ上では注意しないと見過ごすほど小さい扱いになっている(ページ下のホームページ参照)。記事の見出しも「Support for removing Trump from office is at 45%(トランプ弾劾の支持率は45%)」とあたかも何も変わっていない印象の平凡な文。僅かながら、これまで弾劾支持の方が多いと謳い続けてきた局としては取り扱いに困っている様子が伺える。

この世論調査で最も興味深いのが、全体の支持対反対率よりも詳細データである。調査データを掘り下げると、来年の大統領選を占うのに民主党にとっては深刻な内容と言わざるを得ない。この観点から三つのポイントを取り上げたい: ①政党別、②性別そして③人種別。

① 政党別 ~ 政党別での弾劾支持率を見ると民主党有権者の賛成が77%で、前回の90%から大きく縮小している(下記表参照)。支持基盤が揺らぐことは死活問題。民主有権者からの支持が遠のいているとすれば、今夜の議決で予想以上に造反者が出る可能性が考えられる。造反者が5名以上出れば、ペロシ議長始め、民主党執行部にとっては大打撃である。メディアによって多少の違いはあるものの、現時点で造反者は2~3名に止まるとの報道が主流。民主党にとってせめての救いは中道・独立派有権者が45%対45%とほとんど動かなかったこと。共和党有権者は逆に反対票が87%から92%に増加。そもそも結束力が硬いとされる下院共和党だが、このデータからは結束力が維持されることが示唆される。

② 性別 ~ 以前にトランプが落選する三つの要因の中で、女性特に郊外に住む女性の反トランプ票が高まっていることを指摘させていただいた。ところが今回の調査で女性の弾劾賛成票が61%から51%へ大きく下落している。反対も34%から40%に増加。民主党にとって、女性票とマイノリティー表を失えば致命傷である。

③ 人種別 ~ 女性票と共に大事なのがマイノリティー票。11月に65%もあったマイノリティーの弾劾賛成票が、今回56%まで減ってしまった。まだ50%以上の賛成はあるとは言え、流れからして危惧すべき事態。唯一の救いは弾劾反対票が伸びていないことだが、流れ的に喜べるものではない。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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