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ジョセフ・クラフト 特別レポート

トランプ弾劾調査①: ほころび始める民主党の期待と自信・・・

掲載日:2019年10月03日

ペロシ下院議長が弾劾調査を(余儀なく)発表した同夜のCNNでは、コメンテーターらが「トランプを罷免できなくとも」大統領選で致命傷を与えたと断言。それから1週間、少しづつながら民主党の岩盤戦略に亀裂が入り始めている。左派勢力に押され、疑惑の事前調査を怠り、発表を急いだつけが回ったのである。弾劾の信ぴょう性を疑わせる新たな事実が二つ発覚・・・

ほころびその① ~ アダム・シフ情報特別委員長に偽証・策略の疑い: ウクライナ疑惑の調査を仕切るのが、情報特別委員会でそのトップがシフ委員長。ニューヨーク・タイムズ紙は、シフ情報特別委員長が内部告発書が提出される前に、告発者と会っていたと報道。シフ委員長は以前に、内部告発者の招待は知らず、会ったことも無いと公言。NYTの報道を受けて、シフ議員の事務所は慌てて、内部告発者から事務所に連絡があったことを認めたものの、シフ委員長本人は内部告発者と直接会ったことも話したことも無いと釈明。苦しい弁明で、シフ本人が会わなくともシフ事務所が内部告発書の作成に関与、さらに内部告発事体を策略したと疑われても仕方がないこと。弾劾調査の信ぴょう性を揺るがす事実であり、国民世論の反発を招く恐れが浮上。ここぞとばかり、トランプは「シフは詐欺師!」とツイッター攻撃を展開。

ほころびその② ~ バイデンのウクライナ関与疑惑強まる: 民主党は、バイデン氏が副大統領時代に息子が役員を務めるウクライナのガス会社の捜査に介入したことは無いと全面否定。バイデン氏も先週、メディアから問われ、「息子の海外事業・商談について一切話したことは無い」と断言。ところが副大統領だった2014年に、息子と話すどころか疑惑のウクライナのガス会社幹部とゴルフを行っていたことが判明(下記参照)。ウクライナ検察の捜査を阻んとまで言えないものの、副大統領の地位を利用して息子の役員職(年収6,000万円)を斡旋・寄与したことは濃厚。シフ委員長の偽証と共に民主党の信頼性に風穴を開ける事態に発展しつつある。共和党は最初からこのような証拠を掴んで仕掛けたのか気にかかる・・・。

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

トランプ弾劾調査②:  弾劾調査はトランプにとって一攫千金・・・

先週のレポートで、弾劾調査はトランプ支持者の危機感を煽り、大統領選で民主党に不利に働くリスクを指摘させていただいた。直近の献金状況を見るとその見解が的中したようだ。共和党は昨日、2019年の9ヶ月間で3億800万ドル(約335憶円)の献金が集まったことを公表。2011年の同時期で民主党オバマ政権が集めた献金額が1憶5,000万ドル(約160憶円)の倍にあたる額である。特に興味深いのが、弾劾による影響である。共和党選対本部の発表によると、ペロシ議長が弾劾調査を発表(24日)した後の二日間で850万ドル(約9億円)が集まったとのこと。2019年の一日平均の献金額が約110万ドルに比べて大きく増えている。更に興味深いのが、850万ドルのうち一人平均の献金額が46ドルとのこと。つまり大物献金者では無く、一般庶民による献金である。これはトランプ陣営・共和党選対本部としては極めて心強い出来事。

弾劾調査発表後の献金額が大きく増えたことは、大統領選を占う以上に重要な意味合いがある ~ それは共和党議員(特に上院)の造反を抑制すること。共和党支持者の支持が強固であることが分かれば、共和党議員の懸念・不安を払拭、公的にトランプ支持に回り、党として団結が図れる。むしろ、弾劾調査①で紹介した出来事は民主党の足並みを乱すもので風向きが変わるかどうか注目していきたい。

民主党大統領指名争い:  エリザベス・ウォーレン、ついにバイデンの尻尾を掴む・・・?!

トランプ弾劾調査による最大の被害者はジョー・バイデンかもしれないと指摘させていただいたが、早くもその懸念が現実となり始めたかもしれない。10月1日付けでリアルクリア・ポリティックス社がハ票した民主党大統領候補の主要世論調査平均支持ではバイデンとウォーレン女史の差が2%を割ったのである。この調査は直近7社の世論調査を平均化していて、バイデンが26.1%に対してウォーレンが24.4%まで迫った。バイデンにとって特に気掛かりなのが支持率が弾劾調査発表の24日以降から下落し、逆にウォーレン女史が反発。

今回の調査に使われた7社とはEconomist/YouGov、Monmouth、Harvard-HarrisやQuinnipiacなど大手で集計期間が9月19日~10月1日。バイデンにとっても立ち眩みするデータとしてもっとも直近のデータではエリザベス・ウォーレンが逆転してトップになっていること。9月28日~10月1日集計のEconomist/YouGov調査はバイデン22%に対してウォーレンが28%。次に新しいMonmouth大学調査でもバイデンが25%に対してウォーレンは28%。つまり、バイデンの首位は弾劾調査発表前の古目の調査によって辛うじて保たれている。あと1週間もすればウォーレンがトップに躍り出る可能性が予想される。

トランプからすれば中道派そして圧倒的に黒人支持のあるバイデンより、「社会主義者」とレッテルを貼れるエリザベス・ウォーレンの方が戦い易いと思われる。ウクライナ疑惑がバイデンを引きずり下ろすための罠・策略だったとしたら、トランプ・共和党は実にしたたかというか、その手に乗る民主党がバカである。以前から申し上げていのは「トランプの再選は無い」、その理由は反トランプ票の高まり。しかし、今回の弾劾調査はトランプ支持基盤に危機感を与え、投票に出向かせかねない、逆効果の失策となる可能性を指摘したい。

出所:RealClear Politics 民主党大統領候補の主要世論調査平均支持率

出所:RealClear Politics 主要世論調査の平均支持率個別データ

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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