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ジョセフ・クラフト 特別レポート

米大統領選アップデート ~ 民主党討論会後の有力候補検証

掲載日:2019年08月06日

先週、2回目の民主党大統領候補の討論会(ディベート)が行われた。この段階で断言するのは到底早過ぎであり、後で後悔する可能性はあるが、あえて結論から言うと、民主党大統領候補は、エリザベス・ウォーレンかジョー・バイデンに絞って良いと考える。そこで今回のディベート検証と共に民主党大統領候補の絞り込みプロセスについて言及したい。今回の討論会は、候補者10人ずつを7月30日と31日の2回に分けて行われた(詳しくは下記参照)。

7月30日(第1回):この夜の見どころは、「プログレッシブ」対「中道派」の戦いだった。ティム・ライアン(オハイオ州下院議員)、スティーブ・ブロック(モンタナ州知事)そしてジョン・ヒッケンルーパー(元コロラド州知事)ら中道派がプログレッシブ(進歩派)の急先鋒であるバーニー・サンダーズとエリザベス・ウォーレンを攻撃・批判して始まった。しかし両者は(特にウォーレン女史)、攻撃を牽制そして押し戻した。このディベートを集約と、プログレッシブ政策は具体的な執行議論に耐えうることが証明されたものと言えよう。中でもエリザベス・ウォーレンは抽象的なビジョンでは無く、予算や法律など政策を具体的に正当化し、(個人的に同意しないものの)一定の説得力を齎した。ウォーレン女史の他に、評価・注目を集めたパフォーマンスが二つあった。一人目はピート・ブティジェッジで37歳と最も若いながら、冷静且つ熟練した答弁を見せ、政権を次世代に任せるべきというメッセージを効果的に発した。もう一人はそれまで全く無名だったマリアン・ウィリアムズ女史。彼女は、黒人奴隷制度の賠償金(5,000憶ドルの)手当、精神医療の在り方や1.5兆ドルの大学ローン全てを免除するなど斬新というか過激な政策で注目を集め、その日のネット検索数1位に急浮上した。しかし、検索数が多いことは必ずしも人気と比例している分けでは無く、彼女が今後躍進出来るかはかなり疑問である。

7月31日(第2回):ここでの注目はバイデン対ハリスのリベンジ・マッチである。第1回ディベートでカマラ・ハリス女史がジョー・バイデンを攻撃、負かしたことで支持率を大きく上げて話題となった。バイデンは彼女だけでなく、四方八方から攻撃を受け、辛うじて交わし、可もなく不可もなくと言った評価が妥当だと思う。彼は、特段インスピレーションを与えることも無く、安全パイ的なパフォーマンスとの印象が強かった。逆にハリスは政策論争の弱さを露呈、特にヘルスケア制度に関して依然として説得力に欠けていた。前回のディベートで稼いだ支持率の半分以上を失っており、失速感は感じざるを得ない。この日の勝者を挙げるとすれば、コーリー・ブッカー(ニュージャージー州上院議員)、フリオ・カストロ(元米国住宅都市開発長官)そして無名だったトゥルシー・ギャバード(ハワイ州下院議員)。ブッカー氏とカストロ氏は討論慣れして、メディアが飛びつく一発コメントを残し、話題となった。しかしながら、彼らが今後飛躍的に支持率を拡大するとは思い難い。女性として最も存在感を見せ、カマラ・ハリスを圧倒したと言っても過言では無いのが、ギャバード下院議員。彼女はこの日、最も検索率が高く、政策も現実的でより中道派寄り。元軍人の経歴は選挙選で有利である。民主党の大統領予備選を勝ち抜く現実味は薄いが、彼女はこれから支持率をもっと伸ばすポテンシャルを秘めており、要注意人物かもしれない。

本命候補:冒頭で申したように、予想を立てるのに早過ぎるが、候補者らの力量・限界が大分見えて来たと思われる。個人的にジョー・バイデンとエリザベス・ウォーレンの勝負になると考える。個人的に彼女の政策には同意していないが、ウォーレンの方がバイデンより可能性が高いかもしれない。先ず、バイデンに関して、一時支持率を下げたものの、民主党有権者の間で各候補の政策よりも兎に角トランプに勝てる候補が優先となっており、その意味でバイデンの支持率は再び30%までに回復している。しかし、ワシントン・インサイダーの間で健康問題が取りだたされていて指名候補の確率が以外と低い。特段病気している分けでは無いが、バイデン氏は1日に2回程度の行事しかこなせないと、兎に角エネルギーが無いと指摘されている。エリザベス・ウォーレンは徐々に基盤固めに成功しており、サプライズである。抽象的なビジョンに特化するサンダーズと違い、具体的な政策論争を掲げ、(賛同は出来ないが)それらは一定のロジック・説得力がある。でも、「彼女の支持率はバイデンの半分にも満たない」と指摘する者が居るであろう。それはプログレッシブ票を分けているだけで、サンダーズ氏が脱落すれば、彼の表の大半がウォーレン女史に流れ、その場合はバイデンとほぼ互角になる。ウォーレンが指名を受けるには、民主党有権者らにトランプに勝てると説得できるかであろう(社会主義のレッテルが足枷となるか)。バイデンは守りというか、消去法の選択肢で、今後の選挙選を盛り上げるカリスマ性は無い。

民主党大統領選候補討論会後の予想有力候補

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

9月の最終ディベートに進む候補者:9月の12~13日(場所未定)に最終ディベートが企画されている。その討論会に参加するには一定の有権者支持登録数と献金額を満たしていないといけない。現在、その水準を満たしているのが下記の8候補である。更に期限までにもう3候補が規定に辿り着けると思われている。先週のディベートに参加した20人の候補が約半分に絞り込まれることになる。何故、こうしたディベートに参加することが重要であるか?無論、知名度を上げることだが、最大の要因は献金。勝てる公算の無い候補に誰も献金しない。資金が無ければ選挙は戦えない。民主主義のアメリカでも、いやアメリカだからこそ金がモノを言う。

参加確定の候補 参加が見込まれる候補

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

トゥスクEU理事会議長の手紙から示唆されるジョンソン首相とEUの関係・・・

Brexit交渉に入るEU理事会とボリス・ジョンソンの関係は前途多難。如何に冷めた・不信感を秘めた交渉となるかは、トゥスク議長の書簡から悟られる。下記左文書は、7月24日にトゥスク議長がジョンソン新首相に宛てた祝い状。それは僅か35文字(単語)の閑散としたもので、誠意が全く感じられない驚きの文書。

先ず①の日付に着目。他の文と共にパソコンで打ったのでは無く、後からスタンプが押されている。しかも、スタンプの字体がズレていてとても雑。これは、とりあえず先に書いておいて、後で事務方が送るので日付を開けた以外考えられない。トゥスク議長が就任時に遠征で出かけていたとしても、違ったやり方はあったはず。雑さやロジの問題をあえて隠そうという意思が全く無い。

次に②の宛名書きだが、首相就任祝辞にも関わらず、「Prime Minister」ではなく「Mr. Johnson」と宛てている。因みにジョンソン宛のレターの隣は3年前にメイ首相就任時のものだが、ちゃんと「Prime Minister」と敬意を表している。良く意味が分からないのが、その隣に「Dear Boris」と付け加えている。雑過ぎると思ったのか、より親近感を持たせようとしたのか、真意が見えない。更に、出だしを手書きで書いたら最後まで手書きにするのが礼儀というか、より誠意が伝わる。兎に角中途半端で心掛けに欠けている。

最後に③の締めの行である。「I look forward to meeting you to discuss - in detail - our cooperation.」と簡素で機械的な文法。メイ首相の時は、「Fruitful working relationship」や「welcoming you」など親和的というか協力姿勢が感じられるがジョンソンへの手紙にはそれが全く欠けている。ここまで雑というか露骨に冷めた文書だと、故意としか受け取れない。それがトゥスク議長そしてEU議会の本音なのであろう。この手紙が示唆していることは、EU対ジョンソン首相の火蓋が既に切られたということだ。

ジョンソン首領宛て(2019年7月) メイ首相宛て(2016年7月)

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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