ジョセフ・クラフト 特別レポート
2020年米大統領選 ~ 支持率と予想の違い(CNN世論調査)
掲載日:2019年06月10日
トランプの支持率は5月に一時45%台と高値を付けた後、42%まで下落。その背景にはアラバマ州の強硬的な中絶禁止法案の可決で、1973年に妊娠中絶を女性の権利として認めた「ロー対ウェード判決」が最高裁で覆される懸念が浮上したことが挙げられる。その後下記チャートが示すように、トランプの支持率は44.3%まで回復している。しかし、未だ過半数を割り込む数値で再選は難しいとの主張がある。
そこで(反トランプである)CNNから面白い世論調査を紹介したい。それは支持・不支持では無く、客観的に大統領選予想をした場合にトランプが再選するかとの質問。「2020年の大統領選でトランプは再選すると思うか?」との問いに54%が再選すると答えた(下記参照)。2018年の3月に同様の質問をしたところ40%のみが再選すると答えた。今回この調査が興味深い理由は二つある: ①正式にトランプが出馬表明したことで大統領選が現実味を帯びて来たことと、②CNN主催の調査であることから反トランプに片寄りがちにも関わらず、トランプ再選の見方が主流だったこと。因みに人気が高く、再選が濃厚とされた(約同時期の)オバマの予想値は50%だった(下記参照)。
アメリカでは現職大統領は圧倒的に強い。戦後、選挙で選ばれた大統領で再選しなかったのはカーターとブッシュ(父)の二人だけ。いづれも敗戦理由は経済。その意味では、トランプ再選を阻むのはバイデンでもリベラル候補でも無く、経済である。それを考えるとトランプは何時までも中国と貿易戦争を続ける訳にはいかない。ライトハイザーは、「トランプは夏までに貿易摩擦をエスカレートする可能性があるものの、秋(Labor Day)までに着地点を模索する」と指摘した。再選への最重要要因が経済だとするならば、トランプが中国と貿易摩擦の鎮静化を模索する可能性が考えられる。ただし、理屈・常識に捕らわれないトランプも忘れてはいけない。
出所:ロールシャッハ・アドバイザリー
【筆者プロフィール】
ジョセフ・クラフト
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る
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