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ジョセフ・クラフト 特別レポート

ブレキジット問題 ~ 議会による八つの議案否決は2回目の国民投票(残存)への第一歩

掲載日:2019年03月28日

ブレキジットの最終着地点は残存(あるいはそれに実質的に近い離脱)という個人的予想は変わっていない。むしろ昨晩の出来事で強まった感がる。ご存じ、火曜日に英議会はメイ首相からブレキジットに関する採決の主導権を奪った。そして議会は昨晩、ブレキジットに関する八つの代替案を提出、全てが否決された(下記英紙の一面参照)。これは一見、英議会が完全に迷走、ブレキジットのプロセスが崩壊したかのように見えるかもしれないが、これは最終決断に近づく第一歩、必要なプロセスだと考える。

八つの議案が全て否決されたものの、今後どの案(方向性)がより現実性を持っているか整理するのに大事なプロセスだと思う。下記表は昨晩採決された議案の結果をまとめたものである。最も僅差だったのが「EU関税同盟案(8票差)」と「2回目の国民投票(27票差)」。この程度の開きであれば4月12日までに調整し、過半数を得ることは十分に考えられる。仮に過半数がとれなくともEUに対してこの二つの案あるいはこの方向性で議論を深めるために長期延長を要請する理由になるのではないか。EUとしても合意無き離脱だけは避けたいため、一定の方向性が定まれば長期延長に同意する可能性が考えられる。

英議会で採決された八つの議案(2019年3月27日)

出所:ロールシャッハ・アドバイザリー

因みにメイ首相の離脱案は採決されなかった。その理由は二つ: ①バーコー議長が再採決を拒否していることと、②DUP(民主統一)党が不支持のため採決しても否決されることが確実なため。切羽詰まったメイ首相は、辞職と引き換えに指示を募ったが失敗に終わった。DUPはバックストップ条項の修正無くしてはメイ案に賛同しないと昨晩はっきり立場を表明。EUはこれ以上の交渉・妥協は無いと宣言している。これに加えてバーコー議長が再採決を認めていない。従って4月12日の期限までにメイ案を可決することは事実上不可能である。

そうなると昨晩採決された案の絞り込みに入るしかない。最も僅差だった「J案」と「M案」の他に可能性がありそうなものとして「K案」の労働党代替案、「D案」の欧州共同体そして「L案」の合意無き離脱の撤回が挙げられる。労働党の代替案はイマイチ分かり難いが、基本的に共同市場や単一市場に入るもの。つまり英議会でもっとも合意に近い案のほとんどが何らかの形でEUに(完全あるいは部分的に)残存するもの。それでは当初の国民投票とことなる形であること、そして英議会はブレキジットの最終責任を負いたくないため、2回目の国民投票を実地するものと予想される。それに辿り着く前に、先ずはEUからの長期延長の合意を得ることが先決事項であろう。

【筆者プロフィール】

ジョセフ・クラフト 
SBI FXトレード株式会社 社外取締役

【略歴】
1986年6月 カリフォルニア大学バークレイ校卒業
1986年7月 モルガン・スタンレーNYK 入社
1987年7月 同社 東京支社
為替と債券トレーディングの共同ヘッドなどの管理職を歴任。
2000年以降はマネージングディレクターを務める。
コーポレート・デリバティブ・セールスのヘッド、債券営業
そしてアジア・太平洋地域における為替営業の責任者なども歴任
2007年4月 ドレスナー・クラインオート証券 入社
東京支店 キャピタル・マーケッツ本部長
2010年3月 バンク・オブ・アメリカ 入社
東京支店 副支店長兼為替本部長
2015年7月 ロールシャッハ・アドバイザリー㈱代表取締役 就任
現在に至る

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