マーケット情報 | SBI FXトレード 

特別レポート

20日に就任するバイデン米大統領・・・世界はどうなる?


20日に就任するバイデン米大統領の施政とテーマ

外交政策・・・トランプ政権からのバイデン政権への移行

・トランプ政権の外交・安全保障政策を転換するか?
(1)対イラン制裁を解除する可能性
・オバマ政権は2015年に核開発停止を条件にイランへの経済制裁を解除
⇒イランの軍事力強化による中東での軍事的脅威が増す
イスラム教シーア派を中心とするイランは各国のシーア派を支援
イスラム教スンニ派を中心とするサウジアラビアやユダヤ教国のイスラエルと対立懸念
米国はサウジアラビアやイスラエルと同盟国であり、バイデン政権が対イラン経済制裁を解除した場合のイランの軍事的脅威に要注意

(2)イランは天然ガス埋蔵量が世界2位 原油埋蔵量世界4位
バイデン政権が対イラン制裁を解除しイラン原油の輸出再開となれば原油供給量に影響を及ぼす可能性があり、豪ドルやカナダドル、ポンドなど資源国通貨への影響に注目

(3)対中国政策の行方
・トランプ政権の強硬路線をどの程度緩和するか?
トランプ政権が離脱したパリ協定へ復帰することを表明しており、温暖化ガス排出量世界最大の中国と協調路線を推進するためにも、中国との通商問題に対して強硬から緩和・融和する方向の可能性

米国経済・・・14日に発表された1.9兆ドル(約200兆円)の景気刺激策

(1)低所得層の底上げにつながるか?
超低金利と感染予防ワクチンの普及が合わさることで、景気後退後の失業者の減少ピッ チの改善が実現できるか?
・子どもの扶養控除を50%引き上げ年間3000ドル以上とし、還付可能
⇒税額が控除枠を下回る家計はその差額を受領可能
・失業給付の特例加算は、昨年12月の追加刺激策に盛り込まれた週300ドルから400ドルへ。
・フードスタンプ(低所得者向けの食料品配給券)の15%増額を夏まで延長。
子供のいない成人向け勤労所得税額控除の上限を1,000ドル近く引き上げ、対象を拡大。
・12月に決まった成人1人当たり600ドルの現金支給額に1,400ドルを上乗せ。
⇒これらの提案が議会で承認され発動すると、貧困率を12.6%から9%に低下させ、1,100万人以上が貧困から抜け出せる見通し。貧困層の子ども約半減(500万人減)。

(2)政策実行による米財政赤字は5.3兆ドルに拡大! GDP比で25%に相当
⇒ワクチン普及による経済活動正常化の進展とともに景気が回復し、バイデン新大統領の追加刺激策が可決されれば、米経済を過剰に刺激する可能性も。財政悪化懸念が高まる場合、暗号資産の上昇を加速させる可能性も注目。

(3)大手米系証券は年末の失業率見通しを4.8%と予想、成長率は1983年以来の6.6%
⇒米経済がこうした予想に沿った形で推移すると仮定した場合、FRBは景気過熱やインフレ抑制を見据えて緩和解除に動くかもしれません。しかし、先週14日にパウエルFRB議長は出口を議論するには時期尚早であり、利上げはすぐにない、さらに雇用の最大化には程遠いとして労働市場の回復は長い道のりとの認識を示したこともあり、超緩和策と景気刺激策によりNY株式市場の上昇が続くなどリスク選好の動きが継続する見方有り。

バイデン新大統領の環境問題への取り組みを中心にしたインフラ投資

バイデン新大統領は、環境問題への取り組みを中心にしたインフラ投資を中心に雇用の回復を図るという方針です。再生エネルギーや公共インフラに4年間で2兆ドル規模の巨額投資が米国経済の押し上げにつながるとの期待の一方、巨額の財政赤字への懸念もあり、議会運営がスムーズに進行するのか、バイデン新大統領が求心力を保つことが出来るか注目されます。

また、2月に施政方針演説および予算教書(2月以降にずれ込む可能性)の発表のほか、2月5日には新戦略兵器削減条約(START)が期限切れとなる中、ロシアとSTART延長で合意することができるか注目されます。また、3月5日に北京で開幕する中国・全人代ではバイデン政権の外交政策を受けて中国がどのような対米戦略を打ち出すのか、米露・米中関係の行方を占う上で注目されます。

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。 本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。