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2021年05月21日 更新

なぜビットコインは暴落したのか?急落の背景にある市場の変調

BTCは、46,000ドルをネックラインとするヘッドアンドショルダーを完成。そのネックラインを割り込むと相場の基調は一変し、更に4万ドル付近にある200日移動平均を抜けると、一時3万ドルまで急落した。2017年の上昇相場でBTCは3割クラスの調整が6回発生しているが、上昇相場の間は4割を超えた調整は無かった。この急落のきっかけとしてEマスク氏のツイートや中国の業界団体の声明などが挙げられているが、本稿では、4月頃から始まった市場の変調に迫り、今後の展開を考察したい。

昨年7月から8月のデータを基に「ビットコインが買われやすい時間帯、売られやすい時間帯ってご存じですか?」というコラムでマイナーの売りの影響かBTCはアジア時間に売られやすく、昨年来の米国からの買い圧力の影響で海外時間に上がりやすい傾向があったことをお伝えした。その後も海外時間に買われやすい傾向は続き、2020年5月13日から約1年間のデータでは日本時間の5時~17時が平均で39ドルの上昇に対し、17時~5時は平均53ドルの上昇と3割以上海外時間のパフォーマンスが上回っている。更にこれを昨年5月から今年3月までで見ると、アジア時間(5時~17時)は32ドルの上昇に対し、海外時間(17時~5時)は123ドルの上昇とパフォーマンスに明確な差が出ている。

しかし、4月以降はアジア時間の86ドルの上昇に対し、海外時間が393ドルの下落、5月に入ると、アジア時間の330ドルの上昇に対し海外時間は915ドルの下落となっている。5月13日のEマスク氏のテスラ社のBTC決済停止ツイートが今回の下落のきっかけとなったが、海外時間に売られる動きはその前から始まっており、特に5月に入って顕著となった訳である。

この様子は、米国の機関投資家がCoinbase経由で大口取引を行うことが多いことから、彼らが買いに回る時に同社のBTC価格が他の交換所対比で割高となる、いわゆるCoinbaseプレミアムにも現れている。上図はCoinbaseとBitfinexのBTC価格とを比較したものだ。水色の棒グラフがCoinbaseプレミアムだが、1月からの相場上昇局面では若干プラスであることが多かったが、直近になって下振れするようになっている。この1時間足でのプレミアムの各月の平均で見るとこの傾向がはっきりと窺え、下図の通り、1月は0.02%、2月は0.16%、3月は0.05%とプラスだったものが4月にフラットとなり、5月は▲0.26%とマイナスに転じている。即ち、1月から3月にかけて買いに回り、相場の上昇を支えていた米国勢が、4月に入って売りに回り、5月にその動きに拍車がかかった、これが相場の変調の背景と考えられる。

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