人民元特別レポート | SBI FXトレード 

人民元/円、米ドル/人民元の為替レートの推移

人民元は中国の中央銀行である中国人民銀行が発行する通貨である。初代人民元の発行は中華人民共和国が成立する前の1948年12月1日に行われた。当時は、中国が内戦状態で、共産党支配下にあった地域で中国人民銀行が発行したものだ。

1949年10月1日中華人民共和国が成立し、それまで中国国内で流通していた各種紙幣が回収され、1951年には完全に人民元に統一された。戦争終結後の中国は、経済再建が急務で、人民元が完全な政府管理下に置かれ、1971年のニクソンショックまで1ドル=2.4618元に固定されていた。

1984年から、中国では鄧小平氏の再登場で改革開放政策が実施され、1985年に人民元は1ドル2.8人民元と設定された。対外貿易の拡大に伴い、人民元も段階的に切り下げられ、1993年末には1ドル5.8人民元となった。1997年発生した東南アジアの金融危機が契機に1998年初から中国政府は、人民元を1ドル8.28人民元に固定した。

人民元 仲値推移

出典:中国外貨管理局

国内総生産(GDP)は米国に次ぐ、世界第2位

2005年7月21日、中国政府は通貨制度改革実施を行い、人民元が、従前の固定制から通貨バスケットを参考にした管理変動相場制に移行した。その日、人民元は1ドル8.28から8.11人民元へと約2%切り上げられた。それ以降、人民元レートは、前日の終値から一定のレンジ内で上下するようになった。

人民元は中国の改革開放当初から段階的に切り下げられ、特に1997年の東南アジア金融危機以降は1ドル8.28人民元と固定されていた。米国などによる人民元切り上げの圧力もあって、2005年7月には2%の小幅切り上げを実施、以降は管理変動相場制のもと緩やかに元高に推移してきた。

中国経済は改革開放当初、軽工業など安価な労働力による労働集約型の産業で大きな成長を遂げた。その後も、外国の投資やハイテク技術の導入等で多くの分野において目を見張る成長が見られた。今では中国のGDPが日本のおよそ3倍、米国の70%程度となっている。

日米中 GDP推移(億ドル)

出典:IMF

中国は40年近くの高度成長期で巨額の貿易黒字を継続中

中国は40年近くの高度成長期で、対アメリカをはじめ巨額の貿易黒字を蓄積してきた。米国の中国に対する苛立ちは頂点に達して、目下米中両国が熾烈な貿易戦争の真っ只中である。近年、人民元の切上げを求める声は絶えず、元高の圧力が恒常的になっている。

日米中 貿易収支(億ドル)

出典:UNCTAD Statistices

政策金利は4.35%、高金利通貨の中でも人気上昇中

昨今、コロナ禍を克服するために、各国が大規模な量的緩和を実施しており、米国をはじめインフレ懸念が高まっている。また、中国でもインフレ圧力を緩和するために、緩やかな中長期的な人民元高を容認して、世界的に高くなっている原材料の輸入コスト増を帳消しにしたい思惑もあると考えられる。中国は既に日本、EU、アセアン、アフリカ諸国など多くの国にとって最大の貿易国となっている。その貿易の一部で人民元による決済ができないかを模索している。すなわち、実態経済における人民元の国際化を実現しようとしている。そのためにも、人民元の安定的な強さが求められている。かつて、日本が経験したような急激な円高がなくても、中長期的には緩やかな人民元高になりそうだ。

経済力として世界No.2になった中国の人民元だが、世界主要国が超低金利や量的緩和が実行する中、政策金利が4.35%と高く、高金利通貨としても人気を博している。今後の人民元の動きには目が離せない。

政策金利推移(%)

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