暗号資産市場レポート

マクロ要因により弱含む暗号資産

2022年04月26日 更新

先週のハイライト

  • ●株式市場との相関性は引き続き高い
  • ●金利上昇・成長率・インフレ・戦争以外のテーマを探すことが難しい
  • ●オプション市場は引き続き低調だが、長期物のアップサイド需要は根強い
  • ●地域別では欧州・中東圏が顕著な買い手となり、顧客カテゴリー別では銀行・富裕層が買い手となった

先週の動き

先週の暗号資産は、暗号資産特有のテーマに乏しく、株式市場と歩調を合わせた動きとなった。サポートレベルの39,000ドル割れからスタートしたビットコインは、39,000ドル以下を維持できず4/21(木)に43,000ドルまで反発。しかし、パウエルFRB議長の「5月会合では0.5ポイントが選択肢に入るだろう」とのタカ派的コメントにより、株式市場は下落。ビットコインも下落し、週明けの4/25(月)には、再び39,000ドル台まで下落した。

売買動向を見ると、ビットコインとイーサリアムに買いが見られており、これはリスク回避の傾向があることを示唆している。他の暗号資産を見ると、SOL(ソラナ)、LUNA(ルナ/テラ)、MATIC(ポリゴン)、BNB(バイナンスコイン)に強い売りが見られた一方、ADA(カルダノ)、LINK(チェーンリンク)、XLM(ステラルーメン)、XTZ(テゾス)、AVAX(アバランチ)は、買いが優勢であった。 顧客カテゴリー別で見ると、銀行と富裕層が大きく買い越しとなっている。 地域別では、欧州・中東圏が顕著な買い手であった。

OTCレンディング市場の動きは、依然として静かであり、アルトコイン借り入れの需要は見られているが、ステーブルコインへの関心は限定的である。また、暗号資産先物市場は、横ばいで推移している。

オプション市場は、プットサイドの需要に支えられ安定している状況である。ヒストリカル・ボラティリティ(原資産価格の過去一定期間の値動きに基づいて算出されたボラティリティ)が低水準であることから、例えスポット価格が下落してもショートガンマ(オプションの売りから発生するリスク)ポジションの管理がしやすい状況である。5月物のビットコインATM(アット・ザ・マネー)のボラティリティは56~59%、5月物のイーサリアムは、61~65%近辺で推移している。また、長期物のビットコインとイーサリアムのコールオプションの買戻しが引き続き見られており、先週金曜日にはイーサリアムのコール買戻しの大口な取引が見られた。

今後の展望

今週は、4/28(木)に日銀の政策金利発表と展望リポート公表が予定されいている。4/29(金)には、米PCEデフレーター、ユーロ圏4月消費者物価指数と重要物価指数が発表される。加えて、主要なハイテク企業やGAFAM5銘柄の決算発表があり、株式市場にとってもイベントフルな週である。来週には、BOE、FOMC、米雇用統計と更なる重要イベントが控えているため、今週はリスクポジションの縮小が続くかもしれない。また、米国の武器供給増加によるウクライナ戦争の長期化が、市場のリスク要因になる可能性がある。

提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。

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