暗号資産市場レポート

米国の金融引き締め懸念から、暗号資産は全般的に下落

2022年04月12日 更新

先週の動き

  • ●米国の金融引き締めの織り込みを受けた売りが目立つ
  • ●LUNA(ルナ/テラ)が最も下落、DOGE(ドージコイン)は一時上昇も反落
  • ●OTCレンディング市場はアルトコインの借入意欲が強い
  • ●インプライド・ボラティリティは低水準で安定するも、長期物の上サイドには買いも見られる

暗号資産は株などのリスクアセットと高い相関で動き、米国の金融引き締めの織り込みにつれて下落した。下落のきっかけとなったのは、火曜の夜にブレイナード米FRB理事が5月からのバランスシートの圧縮の可能性に言及したことで、それ以降、リスクアセットは下げ続けている。

週明けにビットコインとイーサリアムは8~9%下落し、中規模のアルトコイン群(SOL(ソラナ)、DOT(ポルカドット)、MATIC(ポリゴン)、AVAX(アバランチ)、ADA(カルダノ))は15~20%下落した。DOGE(ドージコイン)はイーロンマスク氏がツイッター社の筆頭株主になったとの報道を受けて一時25%上昇したが、その後下落に転じている。昨日、イーロンマスク氏がツイッターの取締役に就任しないとのニュースを受けて、DOGEは若干下落したが反応は今のところ限定的のように見える。

通貨別の売買動向を見ると、イーサリアムよりもビットコインを買う傾向が強かった。SOL(ソラナ)、AVAX(アバランチ)、DOT(ポルカドット)、LINK(チェーンリンク)、XLM(ステラルーメン)、EOS(イオス)、UNI(ユニスワップ)、MATIC(ポリゴン)で売りが優勢で、ADA(カルダノ)、LUNA(ルナ/テラ)、XTZ(テゾス)、BNB(バイナンスコイン)で買いが優勢だった。顧客カテゴリー別ではファンドと海外取引所が買い手で、売り手はHFT・マーケットメイカーだった。地域別では、アジア圏が顕著な買い手であった。

OTCレンディング市場ではステーブルコインの借り入れ需要は依然として低調だが、アルトコインの借り入れは需要が高まっている。ただ、スワップ無期限契約のオーバーナイト・ファンディング・レート(暗号資産CFDのレバレッジ手数料に相当)は大幅なマイナスとなっており、OTCレンディング市場のアルトコインの借り入れ金利は実は相対的に安くなっている。先物市場から観測される米ドルの調達金利も同様に低下しており、主要取引所では3か月物の調達金利は2%程度低下して3~4%台となっている。

今後の展望

フランスで極右政党のルペン氏が大統領となる可能性のあること、上海のロックダウン、そしてウクライナ情勢の混迷など、ニュースヘッドラインは引き続きネガティブな見出しで溢れており、更なるリスクセンチメントの悪化には注意すべきと考える。また、本日の米CPIや木曜日のECBなど注目度の高いイベントが控えており、それらの動向も注視したい。

提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。

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