暗号資産市場レポート

センチメントは、変わってきているのか?

2022年03月22日 更新

先週のハイライト

  • ●上昇してきているが、主要暗号資産は未だレンジ取引を抜け切れていない
  • ●今週のアルトコインの主役はEOS(イオス)、LUNA(ルナ・テラ)は強い売りに押された
  • ●FRBとBOE後のリスク回復に支えられている
  • ●最近のフローパターンに変化が見られてきている:米国圏が買い超に、アジア圏は買い超から売り超へ変化
  • ●デリバティブのプライシングは、トップサイドに関心が集まってきている
  • ●今週は英国の物価指標(CPI)とユーロ圏のPMIに注目

先週の動き

先週の暗号資産市場は、主要暗号資産が概ねレンジ取引であったものの、全体的にポジティブに推移した。市場予想よりタカ派であったFRBだが、リセッションリスクは低いとの見方、そして今後数回の会合のリスクプレミアム/不確実性が低下したとの解釈で、リスクアセットは反発、暗号資産も大幅に上昇した。イーサリアムは、先々週より23%上昇したが、ビットコインの上昇は5%に留まった。これは、リスク回避ポジションの解消によることもあるが、おそらく近々予定されているイーサリアム2.0との統合を織り込み始めた動きと思われる。主要暗号資産以外では、今週バルセロナで開催されるアバランチサミット22を前に、アバランチが先週より25%上昇した。

売買動向を見ると、最近のトレンドに変化が見られてきた。少なくともこの1ヶ月間、イーサリアムよりビットコインに買いが集まる傾向が見られていたが、先週は逆転し、イーサリアムに買いが見られた。また、SOL(ソラナ)、ADA(カルダノ)、DOT(ポルカドット)、MATIC(ポリゴン)、XLM(ステラルーメン)、EOS(イオス)、BNB(バイナンスコイン)、UNI(ユニスワップ)においては、60%以上の強い買いが見られた。一方で、LUNA(ルナ・テラ)には、70%以上の強い売り越しが見られた。地域別にも同様に、変化が見られてきている。この1ヶ月間、アジア圏において買いが強く見られていたが、今週は売り越しとなった。

暗号資産先物市場においては、期先物において若干上昇が見られた。3ヶ月物ベーシスは、ほとんどの取引所において、2~3%台の横ばい推移から3%超に上昇した。OTCレンディング市場は活発ではなかったが、これはオプション市場の動きに関連している可能性があり、下記に述べる様に、コールオプションの関心への高まりのせいかもしれない。

オプション市場においては、FRB以降ボラティリティは大幅に下落、4月物のボラティリティは10%下落の67%となった。これは、他のリスク資産に比べてスポット価格があまり動いていないということもあるが、スポット上昇によりDefi(非集権型金融)から発生するガンマが余剰となっているエリアに差し掛かっていることも挙げられる。また、ボラティリティは下落したものの、プットサイド(下方向のストライク)の需要減のため、4月物のプットサイドのリスクリバーサルは4%から1%へ下落した一方、上サイドの現状のスポット価格から大きく離れたストライクを買う動きも見られてきており、取引量も増加してきている。期近物のイーサリアムのボラティリティは先週末に大幅に低下し、2週間物のコールが一時的にビットコインよりも低いボラティリティで取引されたが、これは一部のDefiから発生するオプション売り需要が多かったためであり、極めて稀な現象であったと言える。このDefiから発生するトップサイドのオプション売り需要が続いていることを踏まえると、上方向の需要が出てきていることは注目すべき点であり、リスクセンチメントの変化を意味することかもしれない。

今後の展望

今週は、3/23(水)の英国の物価指標(CPI)と3/24(木)のユーロ圏各国のPMIに注目したい。PMIに関しては速報値であり、ウクライナ戦争の影響を確認できることもあり注目度が高まっている。好不況の節目である数値が50であることから、50に近いか、又は50を下回ると、特にリスクに対して大きな影響を与える可能性があるだろう。 また、市場が中期的なビットコインとイーサリアムの上昇を見込んでポジションを取ろうとしているかどうか、今後のボラティリティの動きにも注目していきたい。

提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。

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