暗号資産市場レポート

ビットコインはレンジブレイクし急騰も、木曜の米消費者物価指数には要注意!

2022年02月08日 更新

先週の暗号資産マーケットは米国の雇用統計の非常に強い結果を受けて直近のレンジを上抜けた。ビットコインは月曜から金曜まで36,000ドル~39,000ドルのレンジで方向感なく推移したが、金曜米国時間に発表された米雇用統計の文句なしの強い結果を受けて、直近のレンジの上限だった39,000ドルを明確に上抜け急騰。米雇用統計発表後のNYクローズまでに41,500ドルまで上昇し、週末も堅調に推移。週明けの月曜日には、もう一段上値をトライし、一時44,000ドル台に乗せている。イーサリアムも同様に直近レンジの上限の2,800ドルを上抜け、金曜NYクローズまでに3,000ドル付近まで上昇し、足元では3,100ドル台まで上昇している。

先々週同様に海外取引所と銀行系が買い手となっているが、異なる点は、富裕層が買い手に回っていることだ。地域別では前回と同じ傾向が見られ、アジア圏と欧州・中東圏が買い手に偏っている。コイン別ではビットコインやXRP(エックスアールピー)の買いが強く、イーサリアムやポルカドットは売り手が多い。メジャー以外ではSOL(ソラナ)の買いが優勢で、DOGE(ドージコイン)やMATIC(ポリゴン)の売りが強く見られた。

海外取引所の先物市場のビットコイン対米ドルのベーシスは、足元のスポット上昇にあまり反応していない。どちらかと言うと、期近なベーシスは1ヶ月物が1~2%と前回よりもやや低下しており、これはDefi(分散型金融)の一部から発生する先物売りが原因と思われる。先物のベーシスと同様に、OTCレンディング市場では米ドルやステーブルコインの借り入れ需要はまだ見られないが、ビットコインとイーサリアムの借り入れ需要は引き続き強い。

オプション市場は最近、Defi上でコールサイド(上方向のストライク)のオプション売却を行うフローに押され、プットサイド(下方向のストライク)の価格が相対的に高くなっている。ビットコインとイーサリアムのインプライドボラティリティは、スポットの値動きが限定的だったにも関わらず安定的に推移していたが、米雇用統計後にビットコインのスポットが上昇したことを受けて、上記のコールオプションの売りゾーンに入ったことによりボラティリティは下落。NY市場後場には60%台前半から低下し始め、週末は流動性低下もあり一時50%台前半まで大幅に売り込まれたが、現在は60%半ばまで戻している。リスクリバーサル(上方向のストライクのボラティリティと下方向のストライクのボラティリティの差分。下方向と上方向のどちらのストライクの需要が強いか示す指標)はビットコインの3月物の25デルタで5%の下高、6月物で3%の下高となっている。

今週の注目イベントは、間違いなく木曜に発表される米消費者物価指数だろう。市場予想はコア指数の前月比が12月の0.6%から0.5%に低下すると予想しているが、前年比の予想は7.3%となっており、これは40年ぶりの高水準となる。先週末の米雇用統計は非常に強い結果だった一方、株式市場への影響は限定的で、暗号資産市場もポジティブに反応したが、今週の米消費者物価指数でインフレ高進が示されFEDの利上げペースの加速が意識されれば、再度リスクアセット、及び、暗号資産には売り圧力が掛かるかもしれない。

提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。

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