Column

2021年01月05日 更新

もし緊急事態宣言が発出された時のビットコイン相場へのインパクトは?

年末にケルヒャーの高圧洗浄機を購入しました。たまにテレフォンショッピングで紹介されている、水を吹きかけるだけで車や壁がきれいになる、黄色いやつです。我が家の玄関に繋がるアプローチの白い石畳が汚れていて、いつか高圧洗浄機を購入してきれいにしたいと思っていたのですが、衝動買いをするには少し値段が高く、購入を先送り。その結果、きちんと石畳を掃除しないまま5年が経過、すっかり灰色になっていました。今回、GoToキャンペーンが停止され、息子の誕生日に泊まるはずの富士急ハイランドのホテルをキャンセルした結果、時間もお金も浮いたので、念願のケルヒャーを購入する事にしました。

ただ、以前に高圧洗浄機でなくホースリールを購入して石畳を掃除しようとしたけれど、ホースが蛇口に合わずに断念したことがありました。そこで、ホームセンターでどれを買えばいいのか聞くのですが、これがなかなか要領を得ません。本体だけ購入して大丈夫なのかと店員に聞くと、耐圧ホースが必要なので別の売り場に行けと言います。その売り場に行って別の店員に聞いてみると、どのホースなら対応可能か、高圧洗浄機売り場の担当に電話で聞く始末。そこで勧められたホースを購入して家に帰ってみると、ホースの片方についたシャワー口が外れずケルヒャーにくっつきません。急いでお店に電話して交換してもらい、家に帰ったら、もう暗くなっていました。仕方なく道路に面した一部分だけ試しに使ってみて、そのまま元旦を迎えました。

朝起きて驚いたのが、その効き目の凄さで、ケルヒャーで掃除した部分だけ見事に白く光っています。その結果、まるでパンダの様に掃除した部分としていない部分とが分かれてしまい、かえって掃除していない部分の汚れが目立つ結果となってしまいました。これはまずいと元旦の朝に残った部分も掃除したところ、見事に白い石畳が出現。特に生まれてから、きれいな石畳の姿を見たことがない3歳になる長女は、本来の色を見て、おうち白かったんだ、と驚いていました。

そんなこんなでコロナ下で帰省も遠出もしない久しぶりのゆっくりしうたお正月を過ごして仕事始めを迎えたのですが、今度は1都3県で今週中にも緊急事態宣言発令を検討との報道、お正月気分が吹っ飛びました。昨年のBTC相場はコロナショックとロックダウンで失われた需要を押し返そうとした巨額の財政支出とそれを支えるFRBなどの無制限緩和の政策ミックスに不安を覚えた米HFなどがインフレヘッジとして買い始めた事で3万ドルを超えています。今回、もし日本で再度、緊急事態制限が出たらどうなるか、前回の緊急事態制限時を振り返りながら考えてみたいと思います。

前回の緊急事態宣言は昨年の4月7日から5月6日までの1か月間、関東の1都3県、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、関西の大阪府と兵庫県、そして九州の福岡県を対象に発出されました。4月16日には全国に拡大され、5月4日には5月31日まで延長されました。しかし5月14日に東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫、北海道の8都道府県以外の39県で解除、続く25日に全国で解除されました。この間、48日間、全国が対象だった期間は28日間でした。

これによって失われた需要を埋め合わせるべく、政府は3度の景気対策を行います。4月の1位次補正予算で28兆円、5月の2次補正では33兆円、そして12月の第3次補正が32兆円、真水部分で合計93兆円の財政支出(内閣府など、一部重複あり)を決定、財源は全て国債となっています。この対策がどれだけ効いているのか名目GDPの前年同期比で比べたのが下の表。

緊急事態宣言があった第2四半期に名目GDPが前年同期比で12.5兆円減少しています。Q3にも回復しきれず同6.3兆円の減少、コロナショックと自粛が始まったQ1も同1.6兆円、この合計20.4兆円がコロナによる需要減ということになります。内訳を見てみると、やはり家計消費が75%を占めています。これに対し公的需要は直近3四半期で2.5兆円増で、まだ景気対策が十分に消化しきれず、需要減を押し返しきれていない状況が見て取れます。

更にインフレとの関係で注目すべきは日銀のベースマネー(日銀当預残高+現金)。日銀が発行した円の残高です。これをベースに民間金融機関が信用創造して市中に流通するお金の量が決まります。上図ではそのベースマネーがアベノミクスで100兆円台から500兆円台に拡大、その後、増加ペースがなだらかになっていましたが、コロナショック後の金融緩和で約90兆円増えています。これでもインフレが起こらないのは大したものですが、このまま無限に増やしていけばどこかでハイパーインフレが発生することは自明です。

即ち、前回の1か月半の緊急事態宣言で名目GDPは20兆円失われ、それを跳ね返すために約90兆円の財政支出と赤字国債の発行、そして日銀による購入が行われていることが分かります。それでも完全に押し返しきれていないのが実情です。あくまで机上の計算ですが、今回1都3県で新たに1か月の緊急事態宣言が発出された場合、この3県のGDPは全国の1/3(平成29年内閣府)、期間は前回の2/3なので約4.4兆円のGDPのマイナスとなり、これを打ち返すのに約20兆円の財政支出と金融緩和が必要となり、2か月ならその倍になることになります。BTC相場との関係で言えば、例えば休業補償などが議論に上がっていますが、こうしたものは全て(税金ではなく)赤字国債と日銀の購入に支えられていると国民の一部が気にし始めるかどうかにかかっていると思われます。

お正月と言えばお年玉ですが、今年は郵送でやってきました。なんだか味気ないと思いましたが、6歳になった長男にとっては嬉しいみたいで、小職のお古の財布に入れて喜んでいます。うーむ、やはり、日本人の感覚的には、その金がどこから来ようが、誰がくれようが、関係ないのかもしれませんね。

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