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2020年08月31日 更新

金融リテラシーのお話

暗号資産CFDと外国為替証拠金(FX)取引

1.暗号資産CFDは差金決済取引でデリバティブ取引の一種。

2.日本における暗号資産CFDの取引額は現物の8倍。

3.暗号資産CFDのレバレッジ手数料はFX取引のスワップ金利とは異なる。

4.暗号資産は外国為替に対して平均で6倍、最大で12倍のボラティリティがある。

暗号資産CFDと外国為替証拠金取引(以下、FX取引)は、似ている点もあれば異なる点もあります。ここではそれらについて様々な角度から確認してみます。

1.暗号資産CFDとは

暗号資産CFD(*1)は、暗号資産を対象とした差金決済取引でデリバティブ取引の一種です。レバレッジを利用し少額の資金(証拠金)を元手に大きな金額の取引ができることが特徴です。 日本においては取引業者によって、暗号資産FX,レバレッジ取引などと呼ばれる場合がありますが、これらは概ね同じものです。 なお、差金決済を行わず暗号資産と日本円などの法定通貨との交換が行われる取引は現物取引と呼ばれています。(2020年8月現在、FXcoinは現物取引のみを取り扱っています。)

2.日本における暗号資産CFD

日本における暗号資産CFDは金融庁の認定自主規制団体である一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の指導・管理下にあります。JVCEAは会員の取引についての統計情報(*2)を公開しており、最新のもの(2020年4月分)によると、現物取引は593,279百万円、暗号資産CFDは4,695,482百万円であり、暗号資産CFDが現物の約8倍の取引額があります。 なお、FX取引は、同じ時期の取引額が513,795,720百万円あるので、暗号資産CFDの109倍ということになります。

3.暗号資産CFDとFX取引の違い

暗号資産CFDとFX取引は似ているといわれていますが、異なる面もいくつかあるので注意が必要です。以下その代表的なものを挙げておきます。

① 取引時間

暗号資産CFDは暗号資産の現物取引をベースとしているので24時間365日いつでも取引が可能です(*3)。 FX取引は外国為替市場をベースとしているため土曜日、日曜日などの休日があります。

② レバレッジ手数料とスワップ金利

暗号資産CFDでは買い建玉、売り建玉のいずれのポジションについても、コスト(利用者の支払い)が発生することが通常となっています。これはレバレッジ手数料、建玉管理料などと呼ばれています。 FX取引では米ドル(USD)や日本円(JPY)の金利差に基づきスワップ金利の受け払いが業者と利用者の間でなされます。例えば利用者が高金利通貨を低金利通貨に対して買いポジションにしている場合、スワップ金利の受け取りとなります。

③ レバレッジ倍率

暗号資産CFDは、原則として最大2倍です(*4)。これは今年5月に施行された改正金融商品取引法に関する内閣府令に基づいています。 個人向けFX取引ではレバレッジ倍率が最大25倍とされており、こちらは暗号資産CFDに比べて大きなものとなっています。

④ 税制

暗号資産CFDで発生した利益は「総合課税」の雑所得となります。「総合課税」の税率は所得額が大きくなるほど税率が上がる累進課税で、1年間の所得をほかの所得と合計して所得税が計算されます。 FX取引は「分離課税」となり、一律20%(所得税15%・住民税5%)となります(*5)。

4.値動き

暗号資産というと"値動きが荒い"というイメージを持たれる方が多いと思います。では外国為替と比べるとどれくらい値幅が大きいのでしょうか。試しに今年に入ってから先週金曜日までのすべての取引日においてBTC/JPY(暗号資産)とUSD/JPY(外国為替)の値幅を比べてみました。 その結果、BTC/JPYの1日の平均の値幅は5.0%、USD/JPYは0.8%で、約6倍の値動きの差があることがわかりました。また、前日比で相場が動いた最大値で見ると、BTC/JPYは37.8%の下落(3月12日)、USD/JPYは3.2%の上昇(3月9日)で、約12倍となります。

つまり、暗号資産は外国為替に対して平均で6倍、最大で12倍のボラティリティがあるともいえます。こうしてみると、レバレッジ倍率が暗号資産CFDが2倍、FX取引が25倍というのも頷けます。

(*1) CFD

Contract For Differenceの略で一般的には「差金決済取引」と呼ばれているデリバティブ取引の一種。金融市場における株価指数などで、取引開始時と終了時の価格差により決済が行われる。個人が行うCFDでは東京金融取引所に上場されている株価指数証拠金取引「くりっく株365」などが代表的。

(*2) 一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)の統計情報

JVCEAでは暗号資産CFD、レバレッジなどの取引をまとめて「証拠金取引」と表記している。

(*3) 暗号資産CFDの取引時間

業者のシステムメンテナンスなどのため、取引が中断する場合もある。

(*4) 暗号資産CFDの最大レバレッジ倍率

今年5月に施行された改正金融商品取引法に関する内閣府令では最大2倍であるが、現時点では移行期間として最大4倍のレバレッジを提供している業者もある。

(*5) FX取引の課税

FX取引で発生した利益は、「先物取引に係る雑所得等」として、申告分離課税の対象となる。申告分離課税の税率は一律20%(所得税15%・住民税5%)であるが、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間については、所得税額に対し2.1%の「復興特別所得税」が課される。したがって同期間の税率は一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)+住民税5%)となる。

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